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着物商人「レアなアイテム売ります買います!」8/9


 


着物商人「レアなアイテム売ります買います!」


571 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 02:43:18.13 ID:KAeyhUjO0
竜少女「ふむ、的外れじゃったのう。いや、失念しておったと言うべきか」

騎士「何か気になることでも?」

竜少女「2、3日前に親子の魔物ウサギの話をしたのを覚えておるか?」

騎士「ああ、それなら。お前らが気にかかっていたウサギと今回現れたっていうウサギがどうのこうのって事か?」

竜少女「それもあるが……その親子ウサギの巣を確かめようと思っておったのじゃが」

竜少女「資料を流し読みしかしていなかったワシの落ち度じゃのう。奴らの習性を忘れておったわ」

騎士「習性?何かあるのか?」

竜少女「うむ、この魔物ウサギは定期的に住居を変えるらしく、その都度前の巣を壊して新しい巣を違う場所に作るようなんじゃ」

騎士「だとしても子連れだろ?遠くには行ってないんじゃないか?」

竜少女「だといいのじゃが……まぁいい、今は同種のものを見つけることに専念しよう」

竜少女「例えハズレでも何か狂化の手がかりにはなるハズじゃ」






元スレ
着物商人「レアなアイテム売ります買います!」
SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServise掲示板





572 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 02:48:39.12 ID:KAeyhUjO0
怪人男「あのぅ……」クタン

騎士「なんだオッサン?」

怪人男「結構な高さから落ちたので体が動かないんですよ~。出来れば治癒魔法かけていただけるとありがたいんですが……」

竜少女「転移先を上空にしたお主の責任じゃろう」

騎士「俺たちは竜になれば飛べるから地面に埋まるよかマシだったが」

怪人男「いや、さすがに3人同時にワープはキツイものがありましてねぇ」

騎士「一人ずつ飛ばすとかもっと賢いやり方があったろう」

怪人男「あ、それもそうですね!往復がちょっと面倒ですけど」

竜少女「まぁ、送ってもらった手前無下に扱うわけにもいかん。仕方がないから治してやろう」

怪人男「ありがとうございます~」

竜少女(さて、どうしたものかのう……)

――――――
―――



573 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 02:54:22.55 ID:KAeyhUjO0
商人「部屋に戻ったことですし、それじゃあ始めますかね」

剣士「仕込みと言っていたが、何をするんだ」

商人「まぁ、よく使いそうなものを出しておいたり手入れしたりですかね」

商人「まだあなたに任せられるような事は無いのでとりあえず自由にしておいてください」

商人(竜さんや女神様がパパーッと解決してくれれば私たちの出番もないんですけどね)

商人(その場合はどうしよう……結局ストーカーされることには変わりないし)

剣士「自由と言ってもな……見ていてもいいか?」

商人「ええ構いませんよ。あ、品物には触らないでくださいね?」

剣士「ん、わかった」


574 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 03:00:37.21 ID:KAeyhUjO0
商人「回復薬とか多めに出しておいたほうがいいかな?あの人たち見てたら必要無い気がするけど……」

商人「武器の替えは……みなさん大層なもの持ってるせいで私の手持ちが霞んで見えるレベルだなぁ……」

商人「役に立ちそうな変わり種のものを用意しようとしても全部危険薬品か、一歩間違えればこっちが全滅しかねないものばかりだな」

商人「……アレ?私って初めからいらなくね?」

剣士「変なものしか持ってないなお前」

商人「こ、これじゃあ戦えねぇ……」


575 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 03:05:59.39 ID:KAeyhUjO0
剣士「なぁ、することが無いなら斬姫を見せてくれないか?」

商人「することが無いってあんた……まったく、今ですか?渡しませんよ?」

剣士「ああ、私の手に取らなくていい。見たいだけだ」

商人「それならホイ、これがお目当ての刀です」キラン

剣士「ああ、その青い刃。やはり美しい剣だ……今すぐにでも手にしたい……」

商人「目が危なくなってるよ!?」

剣士「……ところで、前々から気になっていたんだが」

商人「前から気になること?」



剣士「カタナってなんだ?」

商人「」


576 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 03:12:12.92 ID:KAeyhUjO0
商人「あ、いや、まぁ……そういえばあなた一回も斬姫の事カタナって言ってなかったですね」

剣士「察するに剣の呼び方の違うものか?」

商人「そうなんですけど……厳密な分け方は分かりませんが、おもに片刃のものをそう呼ぶんです」

剣士「ほう、それは知らなかったな」

商人「剣士やってて知らなかったって言うのも変な話ですが」

剣士「一般常識なのか?」

商人「そういわれると対応に困りますね」


577 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 03:20:28.94 ID:KAeyhUjO0
剣士「あと、その剣……いや、カタナだったか」

剣士「……魔剣か?」

商人「ゲッ、わかるんですかそういうの?」

剣士「いや、なんとなくそう思っただけだ。何度も呼びかけられているような感じがしているからな」

商人(鍛冶師ヴォーグの作品は所有者を選ぶ……結局はそういうことなんでしょうね、これも)

商人(でもダメです。こっちだって商売でやってるんですから!そんな簡単に手放してたまるかってんだ!)

ガタガタ

商人「ひぅ!?」ビクッ

剣士「どうした?」

商人「いえ、何でも……」

商人(斬姫が震えた……私に忠告でもしてんのか!?)


578 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/23(火) 03:30:37.89 ID:KAeyhUjO0
剣士「にしても、暇だな」

商人「なんだかんだで私もやることなくなっちゃいましたしねぇ」

剣士「……これから先、私がすべきことはなんだ?」

商人「当面はやっぱり待機。情報が出そろうまで私の出番自体ありませんし」

商人「本当なら竜さんたちと一緒にウサギの調査と討伐に行ってほしかったんですけど」

剣士「私には剣が無いからな……本当なら私が仕留めていたハズなのに」

商人「かといって私が武器を無償提供するのは本末転倒ですし」

剣士「……やっぱり待機か」

商人「ですねー」



584 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 00:38:37.46 ID:WxxMt4iF0
鎧少女「ああ、見事に暇そうにしているな」

剣士「ッ!?」

商人「どわ!?音もなく現れないで下さいよ!?」

鎧少女「悪いな、こうやって人が驚く反応を見るのが好きなんでな」

商人「人が悪いなもう……にしても、なんでこの宿が分かったんですか?あの後一度も連絡はしてなかったハズですけど」

鎧少女「便利な連絡係がいるだろう、奴から聞いた」

商人「ああ、怪人さんですか」


585 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 00:42:15.99 ID:WxxMt4iF0
剣士「……」

鎧少女「そこの女は何者だ?出来れば他人に聞かれたくない話をしたかったんだが」

商人「あー、この娘は気にしないでください。何話しても理解しないと思いますので」

剣士「サラッと失礼なことを言うなお前」

鎧少女「ま、どっちでもいいが……」

商人「いいのかよ」

鎧少女「他の連中は?もう森のほうに行ってしまったのか?」

商人「はい、朝から調べるって言って3人で行ってしまいました」

鎧少女「ちょっと遅かったか、出来れば全員いるときに話しておきたかったのだが」


586 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 00:48:16.18 ID:WxxMt4iF0
商人「何かわかったんですか?」

鎧少女「色々とな。叩けば叩くほどホコリが出てくるものだな、あの大臣は……」

商人「そんなの一晩でどうやって調べるんですか……」

鎧少女「ちょっとあいつの部下を絞め上げてやっただけだ、絞めたのは私じゃないけど」

商人「詳細は聞かないことにしておきます」

鎧少女「それがいい」


587 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 00:54:15.74 ID:WxxMt4iF0
剣士「……なぁ、こいつ何者だ?ここまで接近していたのにまったく気が付かなかったぞ」

商人「あー、なんと説明していいのやら……」

鎧少女「女神だ、敬えよ?」

商人「あっさりカミングアウト!?隠しておきたかったんじゃなかったの!?」

鎧少女「先にこう言っておけば誰も信じないだろう」

商人「でもこの娘は底抜けのバk……」

剣士「女神か、珍しいな。なら仕方がない」

商人「仕方がないの!?ってか案の定信じちゃったよ!?」

剣士「生きていればたまにはこういう信じられないような体験もするだろう」←本気で信じてる

鎧少女「そうそう、なんでも柔軟に対応すればいいんだ」←話に乗ってくれたとだけ思ってる

商人「微妙に噛み合ってないなぁ」


588 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 01:09:47.57 ID:WxxMt4iF0
商人「あ、一応報告しておきますけど、その娘も関係者ってことになっちゃいました」

鎧少女「何?話したのか?」

商人「いえ、なんというか、関係していたというか……」

鎧少女「話を聞こう、何があった?」

剣士「何かよくわからんがどういうことだ?」

商人「私が話すのであなたは首を突っ込まないでくださいね?話がややこしくなりますので」

剣士「失礼な奴だな」


589 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 01:15:06.32 ID:WxxMt4iF0
……

鎧少女「……なるほど、偶然にも私たちが請け負っていた依頼のウサギが狂化の実験体になった可能性があるということか」

商人「危機に陥ると巨大化した姿から元の小さい姿に戻って逃げたそうです」

鎧少女「やっぱりな……」

商人「やっぱり?心当たりがあるんですか?」

鎧少女「それも追々、揃ってから話そう」

剣士「私が戦ったあいつ、お前たちの知ってる魔物だったのか?」

商人「今はその可能性があるってだけですよ」


590 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 01:21:10.77 ID:WxxMt4iF0
鎧少女「しっかし参ったな。私のミスとはいえ連絡する手段くらい持っておくべきだった」

商人「たしか竜さんって使い魔いましたよね?それで連絡取れないんですか?」

鎧少女「使い魔は基本的に主が召集することで召喚される。あらかじめ命令しておかない限りこっちからのコンタクトは取れん」

商人「えっと、それじゃあ女神様は使い魔とかいないんですか?」

鎧少女「私はそもそも契約の方法を知らないから無理だ」

商人「むぅ、なんか神秘的な人たちはみんな使い魔とかいると思ってたんですけどそうでもないんですね」

鎧少女「妙な偏見だな」


591 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 01:24:57.29 ID:WxxMt4iF0
剣士「携帯電話……とか言ったか?金持ちはみんな持っていると聞いたが、それはどうなんだ」

商人「携帯電話って魔動式でも本体も維持費も高くて一般人はとてもじゃないですけど買えませんよ……流石の私も扱ってないですし」

鎧少女「そうなのか?金の事は今まで気にしたことが無かったから知らなかったな」

商人「やはり金持ち!一味違うッ!」

鎧少女「請求書は全部実家の息子に届いてるハズだからな、私の知るところじゃないな」

商人「あ、ダメな人だった」


592 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 01:59:34.40 ID:WxxMt4iF0
鎧少女「いや、家の財産はもともとは私のものだったし……うーん」

商人「さいですか。それよりも旦那さんは一緒じゃなかったんですか?」

鎧少女「あいつはまだ調べることがあるみたいだったからな。私が連絡係でここに来たんだ」

鎧少女「正直、出歩くだけで暗殺者どもに狙われるからお前たちを巻き込まないようにしてるんだけどな」ボソッ

商人「……今なんと?」

鎧少女「お前の気にすることではない、今日は来られないということだ」

商人「お、おう」


593 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/27(土) 02:14:08.65 ID:WxxMt4iF0
剣士「それで、結局ほかの連中が来るまでどうするんだ」

商人「どうしましょうねぇ、結局待機という結末を迎えそうですが」

鎧少女「よし、なら携帯ゲームで時間を潰すぞ」サッ

商人「またそんな近代的なものを……」

鎧少女「好きなんだからしょうがないだろう」ピコピコ

剣士「待つことには変わりないんだな……」

――――――
―――




598 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 22:40:37.72 ID:gpGt00AX0
竜少女「いま戻ったのじゃ!」

騎士「先に言っておくが収穫は無しだ」

商人「お帰りなさい、ダメでしたか……」

怪人男「連続でワープしまくって疲れました……ちょっと休みます」

騎士「お疲れさん、俺たちは随分楽できたし明日も頼むぞ」

怪人男「ヒィッ!安易にワープ使わせるんじゃなかった……」

鎧少女「ん、揃ってるな。私のほうからも報告がある」

竜少女「なんじゃ、来ておったのか」


599 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 22:46:26.75 ID:gpGt00AX0
怪人男「一休みしてからじゃダメですか?」

鎧少女「後にしろ、私も忙しいんだ」

剣士(さっきまでゲームして時間を潰してたじゃないか)

鎧少女「狂化の魔導核を埋め込まれた生物についての特徴と少し不味い事がいくつかわかった。話しておこう」

竜少女「その……ウサギの事じゃが……」

鎧少女「すでに聞いた。特徴からして核を埋め込まれている可能性が高い」

竜少女「……やはりお主が言ったように、魔物は始末しておかねばならなんだのか……」

鎧少女「極論だ、お前の言ったことも間違ったことじゃない」


600 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 22:54:59.03 ID:gpGt00AX0
騎士「それより不味い事ってなんだ?計画がバレたとか?」

鎧少女「潰そうとしているのは既にバレているだろう。現にウチのがパーティ後も何回も暗殺者に襲われている」

騎士「それは不味い事に入らないのか……」

鎧少女「暗殺のベテランがそこらの若い奴に負けるわけがないだろう」

商人「旦那さんって魔王……ってか国王じゃなかったでしたっけ?暗殺て……」

鎧少女「気にするな、こっちの話だ」

商人「はぁ」


601 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:00:08.15 ID:gpGt00AX0
鎧少女「なに、不味いと言ってもそう大したことじゃない」

竜少女「被検体が何匹か研究所から逃げ出していた、とか言う話ではないじゃろうな?それじゃとかなり不味い事じゃが」

鎧少女「うん、まぁその通りなんだが」

商人「おいぃ!?重大だよ!?」

鎧少女「逃げた数も分かっている。見つけて一匹ずつ始末するか保護していけばいいさ」

騎士「そう簡単なことじゃないと思うけどな……結構強いみたいだし」

剣士「だが私よりは弱い」

商人「そこはアピールしなくていいから」


602 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:04:17.80 ID:gpGt00AX0
鎧少女「いや、そこも重要だな」

剣士「ほら見ろ」

商人「誇らしげになるなよ……それで、なぜ重要なんですか?」

鎧少女「捕獲にあたる奴がその魔物より強くなくてはいかんだろう、だからその青髪の女がギリギリ勝てる強さのボーダーラインにしておく」

剣士「……ギリギリだと?」

鎧少女「文句なら後で聞く、話を続けよう」

鎧少女「魔物の特徴だが、すでに交戦したことがある者がいるみたいだが、その特徴がほとんど当てはまるんだ」

竜少女「やはりウサギの魔物か」


603 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:12:48.05 ID:gpGt00AX0
鎧少女「そうだ、『異様な大きさ』『額に赤い石』『弱った時の収縮』と、調べて分かった要素がそろっている」

鎧少女「まぁ、捕まえるかすれば分かる事だ」

鎧少女「例え目に傷を負っていたとしても私たちの知っている奴とも限らんだろう」

竜少女「うむ……」

鎧少女「お前たちにはその魔物の捕獲を頼もうと思っていたが、もう始めていたから私は若干無駄足だったな」

商人「そんなことはありませんよ、明確な目標が立てれましたし」

騎士「やっぱり生け捕りが好ましいか?」

鎧少女「ああ、確固たる証拠として大臣に突き付けてやるからな」

鎧少女「本当に手におえないなら始末してもいいが……まぁ、その場合は私たちの仕事が遠回りになるだけだ」


604 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:16:49.15 ID:gpGt00AX0
剣士「話は終わりか?」

鎧少女「ああ、何か質問でも?」

剣士「先ほど、まるで私が弱いかのように言われたからな。それについて」

鎧少女「弱いとは言ってはいないだろう、語弊があったなら謝るが」

商人「いやー、普通にあの言い方はイラッと来る人は来るんじゃないですか?」

鎧少女「……なら実力を見ておくか。外へ出ろ、相手をしてやる」


605 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:19:36.80 ID:gpGt00AX0
……

騎士「で、本当に戦うのかよ」

竜少女「協力者の実力を見ておきたいんじゃろう。勝手に死なれても困るしのう」

少年「……戦うの?」

商人「教育上こういうのは子供に見せていいのやらどうやら」


鎧少女「一本勝負でいいな?私の獲物は槍だ、お前は」

剣士「今は持っていないが……片手剣を使いたい、誰か貸せ」


606 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:25:28.56 ID:gpGt00AX0
騎士「俺のはデカ過ぎて使えないだろ、パス」

竜少女「ワシのは2本セットで使う細身の剣じゃから無理じゃのう、パス」

怪人男「私、武器を持ってるとか以前に戦えません、パスで」

商人「で、結局私かよ!?持ってる武器全部売り物だよ!嫌だよ!」

少年「ねーちゃんケチだなー」

商人「ケチでもなんでも商品を貸せるか!」

眼帯少女「……なら私の剣を使うといい」ヌッ

商人「流れぶった切って突然出てきた!?」

剣士「スマン、借りるぞ」

眼帯少女「……私の剣だから大切に扱って」


607 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:36:02.41 ID:gpGt00AX0
鎧少女「準備はいいか?」スチャ

剣士「構わん、捻り潰してやる」チャキ


ギィンッ!!


商人「おーい、力見るだけだからマジにならないでくださいよー」

竜少女「残念じゃがあの剣士に勝ち目はないじゃろうな」


ギンッガンッ


商人「善戦しているように見えますけど実力に差があるんですか?」

竜少女「差なんてレベルではなくアレは壁じゃ、先の見えん絶壁じゃ」


剣士(なんだコイツ!?)ギンッ

鎧少女「先の意気込みはどうした?守りに徹し始めているぞ!」ガッガッガッ

剣士(舞うよな身軽な動き、手足を動かすかのような槍捌き)

剣士(そして……遊んでいるッ!)


竜少女「完全に手を抜かれておるな」

商人「確かにあの娘が防御に徹し始めてるのは分かりますが……ぐぬぬ、それ以上は分からない」

騎士「これが強者の戦いか……俺もそれ以上がわからない」

竜少女「お主、まだ弱いからのう」


608 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:41:41.72 ID:gpGt00AX0
キンッ

少年「あ、弾かれた……」


鎧少女「勝負アリ、だな。絶対的な自身があったみたいだが、なに大したことは無い」

鎧少女「お前程度の腕前だったら星の数ほどいるぞ?」

剣士「……クソッ」

鎧少女「ここまで徹底的に叩きのめされたのは初めてか?悔しいのは分かるが上には上がいる」

剣士「クソックソックソッ!!」

鎧少女「お前はまだ若いみたいだし、これから伸び代もあるだろう。才能も十分だし、あとは自分にあった武器を見つけて気長に……おい聞いているのか?」

剣士「クソがッ!!凍り付け!!」

鎧少女「何ッ!?」ピシピシ

商人「おいバカ何やってんだ!?」


609 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:47:35.30 ID:gpGt00AX0
剣士「負けるのは嫌いなんだよ!このまま砕いてやる!」

鎧少女「ほう、氷の魔法も使えるのか。しかも中々強い」

鎧少女「不意打ちも申し分ない、これは将来有望だな」

商人「感心してる場合か!?止めなきゃ!」

竜少女「放っておけ、勝敗は決しておる」


剣士「グッ……あ……?」

鎧少女「だが、不意打ちでの魔法はこう使うんだ、わかったか?」

剣士「私の背後から……何が当たった……」ドサッ


商人「……えと、何が起こったんでしょう?」

竜少女「説明しよう!」


610 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:54:15.05 ID:gpGt00AX0
竜少女「あの娘が氷を張った時にあの女神は既に娘の背後に火球を作っておったのじゃ」

竜少女「そしてそれを……ボカーンじゃ!」

商人「そんなこと一瞬でできるんですか?」

竜少女「熟練の魔法使いなら簡単なことじゃろう」

竜少女「勝敗が決まって戦いをやめなかったあの娘の自業自得じゃ」

商人「そりゃそうですけど……なんかなぁ」


剣士「……完璧に負かされたのは……初めてだ……」

鎧少女「年季が違うんだよ、年季が。もっと経験を積め、お前なら上も目指せるだろう」


竜少女「カッコつけたがりのお主が好きそうなセリフじゃのう」

騎士「あー、俺もあんなこと堂々と言ってみたいなぁ」


611 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/29(月) 23:58:42.02 ID:gpGt00AX0
剣士「……悔しいな」

商人「大丈夫ですか?結構痛そうでしたけど」

剣士「これくらいなら大丈夫だ……最後の最後まで手加減していたのか」

鎧少女「さてな?……っていうか、私と戦っても何の参考にもならんな」

鎧少女「おい、デカい方の竜!」

騎士「その呼び方やめろよ……」

鎧少女「コイツと戦ってみろ、お前ならマシな戦いが出来るだろ」

騎士「いいけど……女が相手かぁ」

竜少女「まーたそうやって差別しおって!」

騎士「でもなぁ」


612 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:01:27.45 ID:HLvGyfqi0
剣士「よし……こい!」

騎士「ちょ、ちょっと待て!インターバルくらい入れたらどうだ?お前疲れてるだろ?」

剣士「この程度で疲れるわけないだろう、問答無用!」ザッ!

騎士「うわッ危ねぇ!!」

ギンッギンッ



鎧少女「これはこれは、元気な事だ」

少年「ね、ねぇ……」

鎧少女「ん?どうした?」


613 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:06:41.88 ID:HLvGyfqi0
少年「君、俺とそんなに歳変わらなさそうなのに強いんだね?」

鎧少女(そんなに私は子供っぽく見えるんだろうか……)

少年「その槍に何か秘密とかあるの?」

鎧少女「槍?ああ、これは確かに強い槍だが」

商人「真っ赤な血の色の槍ですね。そういえば、これも何か逸話があったりするんですか?」

鎧少女「あるにはあるが……最近出来た物だから神器や魔剣と比べたら大した事は無いぞ?」

少年「き、聞かせてよ!」


614 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:15:10.41 ID:HLvGyfqi0
鎧少女「天使を990体、神を9体、そして魔王を1体刺殺した槍だ」

少年「……」

商人「……怖いよ」

少年「流石に冗談だよね?」

鎧少女「ま、信じるか信じないかは自由だ」

商人(女神様が天使とか神殺しの武器を持ってるってのは普通に信じられませんけど)

少年「強い武器を持ってれば、強くなれるの?」

鎧少女「妙なことを聞くな?答えはNOだ」

鎧少女「一般人相手なら包丁を振り回すだけで殺せるが、実戦で使うには技術だっている」

鎧少女「ま、確かに使い手の身体能力を高める魔法がかかった武器やそういう魔導核も存在するが……それに頼ってるようじゃ2流もいいところだな」

少年「そういう武器って魔剣とかって言うんでしょ?」

鎧少女「魔剣が必ずしもそういう効果を持っているとは限らないが……確かに多くは何らかの効力を発揮するな」

少年「……」

商人(この子はさっきから何を……?)


615 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:30:07.24 ID:HLvGyfqi0
騎士「モウヤメヨウヨ」

竜少女「惨敗じゃないか……」

剣士「お前、そんな腕でよく以前私に喧嘩を売れたな」

騎士「あの時はほら、その場のノリだよノリ」

竜少女「はぁ……」

騎士「冷たい目で見ないでください……」

竜少女「だーれが稽古つけてやっていると思っておるのじゃ?」

剣士「……竜の姿にならないのか?」

騎士「あー……アレはダメだ、フェアじゃねぇ」

剣士「負けるのも嫌いだが手を抜かれるのは嫌いだ」

竜少女「よせ、変身したら流石に強くなりすぎる。街のど真ん中暴れられたら収集つかなくなるわ」


616 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:34:23.91 ID:HLvGyfqi0
鎧少女「決着がついたみたいだな」

剣士「話にならなかった」

騎士「面目ない」

鎧少女「……お前もう計画から抜けていいぞ」

騎士「そんな殺生な!」ウルウル

鎧少女「冗談だ、竜化した時の強さは知っている。明日も引き続き捜索を頼む……信頼してるぞ」

騎士「お、おう!任せろ!」

騎士(竜になってもこの夫婦に手も足も出なかったんだよなぁ)

竜少女(ワシらとは別次元の強さじゃからのう)




617 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:42:48.70 ID:HLvGyfqi0
鎧少女「要件を伝えるだけだったのに随分長居してしまったな。私も忙しい身だ、そろそろ失礼する」

商人(アンタ待ち時間ゲームしてたじゃないですか)

剣士(戦うときも随分楽しそうだったが)

怪人男「一応今回の件、国家がらみということも考えられますが……というより確定みたいなもんですが、それはどうするんです?」

鎧少女「ウチの国の側近に連絡が取れたからそっちで片付けさせる。息子は仮病続行中だったが」

怪人男「私の方でできることはありますか?これでも一応王なので」

鎧少女「ハハッ、さすがに軍を持たない国の助けは借りれない。お前のとこの国民まで巻き込むつもりはないよ」

怪人男「国民は巻き込まれずとも国王の私がガッツリ死にかけてるんですがその辺どうなんでしょう~?」

鎧少女「では、何かあったら連絡する……おい、竜。使い魔を貸せ」

竜少女「おっと、そうじゃの。連絡手段が無いから今日みたいな面倒なことになったんじゃったのう。しばしの別れじゃ、ホレ行ってこい」

使い魔「キキッ!」

怪人男「無視かい!まぁいいですけどぉ」

商人「あなたの立ち位置が安定しまくってますね」




618 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:48:38.90 ID:HLvGyfqi0
母『みなさーん!ご飯が出来ましたよー』

竜少女「おお!ちょうど飯の時間じゃ!」

騎士「いいタイミングだな、腹が減ってしょうがなかった」

商人「なんか飯食ってばっかりな気もしますが……」

竜少女「描写的な問題じゃ、気にするな」



剣士「……剣、確かに返すぞ」

眼帯少女「……丁寧に扱ってくれてありがとう」

剣士「人の物だからな、私の剣のように使うわけにはいかん」

眼帯少女「……あの剣があなた自身だというのなら、もっと大切に使ってあげればよかったのに」

剣士「……後悔はしているが、私は間違っているとは思わん」

眼帯少女「……そっか」


619 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 00:54:21.83 ID:HLvGyfqi0
――――――
―――


鎧少女「ただいま」

仮面男「お帰り、随分といい顔をしているね」

鎧少女「色々と楽しめたからな」

仮面男「そりゃあよかったね」

鎧少女「……」

仮面男「そりゃあよかったね」

鎧少女「なぜ二回言う」

仮面男「誰かさんが私を放っておいて不必要なほど長い時間開けた事で怒っているからかな?」

鎧少女「……ごめん」

仮面男「ウソ、怒ってないよ」ナデナデ

鎧少女「……バカ」


620 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:01:09.67 ID:HLvGyfqi0
鎧少女「っと、じゃれ合っている場合じゃなかったな」キリッ

仮面男「ああ、すまない。潜入を続けようか」キリッ

鎧少女「伝えるだけ伝えたが、大臣潰しは私たちで決行するんだろう?」

仮面男「ああ、側近が手を回してくれるみたいだ。ありがたいよ」

仮面男「逃げた被検体の処理について……は彼らに任せよう」

鎧少女「既に交戦した者もいたみたいだ、あっちは何とかなるだろう」

仮面男「そうだね……私は久々のスニーキングミッションだが」

鎧少女「一国の元王が久々の潜入か、変な感じだな……私は経験が無いからお手柔らかにな?」

仮面男「完璧に姿を消せる君こそが向いていると思うんだけどね……行こうか」

鎧少女「ああ、了解した」

――――――
―――



621 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:08:07.39 ID:HLvGyfqi0
商人「ですからね?この商品はここがこうなってこうしてこうで……」カチャカチャ

竜少女「おお!なるほどなるほど!これは面白いのう」

商人「いかがです?この特製ワァーイズリィーング、今ならセットでお安くしておきますよ?」

竜少女「よし買った!」

騎士「おーい、世間知らずの竜を騙すなよ。それただの知恵の輪だろ」モグモグ

商人「こういうのをいかにして売るかも商人にとって重要なスキルなんですよ!外野は黙ってろ!」

剣士「下らんな」ガツガツ


622 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:14:12.23 ID:HLvGyfqi0
母「あら?青空カフォご一考さんはお見えになってないですね?」

少年「さっき呼んだんだけど時間をずらして食べるんだって」

母「あらあら、一緒に食べた方が楽しいのに~」

少年「鉢合わせになりたくないんだってさ」

母「?」

商人「あの人たちも勝手ですねぇ」モグモグ

竜少女「お主以外にも一組泊まっておるみたいじゃったの」モグモグ

騎士「あの眼帯の人の連れか、どんな奴なんだろうな」モグモグ

商人「長い黒髪の綺麗な人と金髪の小柄な方ですね~、思えばあの人たちに絡まれてから(?)妙なことばっかり巻き込まれてるな」

騎士「長い黒髪……ねぇ」

竜少女「ここらじゃ珍しいのう」

商人「私も黒髪ロングですけどね」


623 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:15:52.37 ID:HLvGyfqi0
なるべく前のSSの話題を持ち込まないために黒髪少女と竜二人の鉢合わせを無理やり回避


624 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:27:48.37 ID:HLvGyfqi0
商人「で、明日も探索ですか?」

騎士「そうだな、ウサギ共を追っていれば手がかりくらいは掴めるハズなんだけど」

竜少女「肝心のウサギが移動しまくっておるからのう」

商人「それなら私も参加しましょうか?狼の嗅覚は獲物を捕らえるためにあるのです!」

竜少女「むぅ、それが一番かのう……林檎、ワシらはお主を守りながら戦える自信は正直無いぞ?」

商人「いざとなったら皆さんを盾にして逃げますから安心してください!」

騎士「ひでぇなオイ」

怪人男「まぁ、固まって行動していれば安全でしょう。明日同行してもらいましょう」

剣士「私はどうしたらいい?」

商人「んー……まぁ、しょうがないですね、私も命かかってますし。剣くらい貸してあげましょう」

剣士「斬姫を貸してくれるのか!?助かる!」

商人「ちげぇよ!?貸す安物だよ!?」

剣士「チッ」

商人「露骨に嫌そうな顔すんなよ」


625 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/30(火) 01:31:42.11 ID:89nKOCKDO
そういや前ので遭遇してたなww


626 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:37:36.07 ID:HLvGyfqi0
怪人男「私、疲れているのでもう寝ます……」

竜少女「うむ、お疲れ様なのじゃ」

騎士「明日は朝飯食ってから行くか、今朝は悪い事しちまったみたいだし」

母「まったくですよ!」プンプン

少年「いい歳してプンプンとか恥ずかしいって」

母「コブラツイスト」

少年「アベバ!?」グキッ

商人「女将さん強いですねぇ」

母「鍛えてますから」ニッコリ

少年(明日の朝か……)

剣士「……?」


627 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:53:43.67 ID:HLvGyfqi0
竜少女「んじゃ、ワシも風呂入って寝ようかのう」

剣士「私は面倒だからそのまま寝る」

商人「入れよ」

少年「ねーちゃん、ちょっといい?」

商人「ん?どーしたの?」

少年「ねーちゃんの商品もっと見てみたいんだ」

商人「ああ、いいですよ。おさわり禁止ですけど」

少年「分かってるよ」


628 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 01:56:45.03 ID:HLvGyfqi0
商人「あ、言っておきますけど武器は見せませんからね?」

少年「それも分かってるって!」

少年「……ねーちゃんってさ」

商人「ん?」

少年「魔物、怖いと思う?」

商人「そりゃ怖いですよ、命狙ってきますもん」

少年「俺は知らないんだけどさ、昔獣人も魔物として扱われてたんだよね?」

商人「あー、そうみたいですねぇ。それこそ私の生まれるずっと前ですけど」


629 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:01:56.60 ID:HLvGyfqi0
少年「人間とか襲ってたのかな?」

商人「どうでしょうね?ヒトがヒトを襲う理由なんていろいろありますし」

商人「ま、食事が目的じゃないのは確かですが。獣人であるこっちもヒトですし」

少年「……よくわかんないよね、そういうの」

商人「どうしました?急に哲学的になって」

少年「俺、やっぱり許せないんだ。ヒトを襲う魔物が」

商人「……お父さんの事ですか?」

少年「父さんの事はよく覚えてないけど……明日、ねーちゃんも魔物の住処に行くんでしょ?」

商人「なんだかんだで逃げ切る自信があるから行くだけですけどね」

少年「俺も、魔物と戦いたい!戦って強くなりたい!」

商人「……馬鹿げた事言ってないで、商品見るなら見るで早くしてください。そうでないなら糞して寝ろ」




630 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:06:49.83 ID:HLvGyfqi0
少年「……強くなれば、守れるものも増えるんでしょ?」

商人「私は戦いをしないのでそこらへんは分かりませんよ」

商人「ただ、無謀な勇気で命を落とそうとするのはバカのする事だということは知ってますけど」

少年「……無謀なんかじゃ……」

商人「何をしようとしているのかは知りませんが、あんまり人をおちょくってると流石に怒りますよ?」

少年「……ごめん、変なこと聞いたね。おやすみ!」ダダダ

商人「あ、おい!ちょっと!……なんなんだよ一体」



少年(魔剣があれば強くなれる……みんなを守りたいんだい……)

――――――
―――



632 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:15:26.17 ID:HLvGyfqi0
翌朝


竜少女「みんな!丸太は持ったか!」

騎士「お前は何を言っているんだ……」

怪人男「ふあぁ……朝から元気ですねぇ」

竜少女「とっとと面倒事を終わらせたくなっただけじゃ!さぁ今日こそ終わらせるぞ!」

騎士「俺たちに出来ることがこれだけしかないから言えることだな」

竜少女「国の事などワシらの知ったことではないからのう」

母「あの……」

騎士「ああ女将さん、おはようございます」

竜少女「おはようなのじゃ!」

母「はい、おはようございます。ところで、ウチの子見ませんでしたか?」

怪人男「いえ、私たちはさっき起きたばかりなので知りませんよ」


633 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:28:38.24 ID:HLvGyfqi0
母「……どこへ行っちゃったんでしょう」


商人『ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


竜少女「何事じゃ!?」

騎士「偉大な王の断末魔みたいのが聞こえたぞ!?」



商人「無い!?無い無い無い無い無い!?どこにも無い!!」

剣士「なんだ朝っぱらから騒々しい……」

商人「お前か!?お前がやったのか!?出せ!今すぐ返せ!」ユサユサユサユサ

剣士「なんだ一体、私は何も知らんぞ」

商人「しらばっくれんなぁ!!お前しかいないんだよ!」

剣士「だからなんだ?」



商人「斬姫が無くなった!!」

剣士「なんだとッ!?」


634 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:42:23.16 ID:HLvGyfqi0
商人「それどころかいくつか他の物もなくなってる……」

剣士「お前の管理が甘かったんじゃないか?」

商人「そんなわけないでしょう!まぁ確かに斬姫は異次元ポケットにしまわずに常に手元に置いておくようにしてましたが……」

剣士「持ち去られたというのか?では一体誰が……」

商人「それがお前だと言っているだろうがぁぁぁぁ!!」ガクガクガク

剣士「やめろ、それならとっくに持ち逃げしている。揺らすな」

竜少女「何があった!?」

商人「泥棒です!私の持ち物が盗まれたんです!」


竜少女「なんじゃ、そんなことか」

騎士「心配して損したぞ」

商人「そんなことかとは何だゴルァ!!」


635 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:54:24.71 ID:HLvGyfqi0
母「……まさか、あの子……」

商人「……あの子が盗んだと?」

母「信じたくはありませんが、今朝から姿が見えないんです。もしかしたら」

商人「でも何のために……」

剣士「……無謀な勇気」

商人「え?」

剣士「昨日の夜、小僧と何やら話をしていたろう。あいつ、力もないくせに妙に好戦的だからな、戦う打算でもしていたんじゃないか?」

商人「私に話を持ちかけてきたのは、役に立ちそうなものを見定めるため……?でも昨日は何も見せませんでしたよ?」

剣士「ずっと私たちの話を聞いていたんだ、何か思うところがあったんだろう」

竜少女「むぅ、だとしたら一人で森に向かったということか」

騎士「タチの悪いことに寝ている隙に荷物を持ち出したって事か」


636 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 02:57:46.05 ID:HLvGyfqi0
母「……仕方がありません、私が……」

商人「連れ戻してきますッ!」ダッ

騎士「おい待て!そうと決まったわけじゃ!」

剣士「クソッ、世話の焼ける!」ダッ

竜少女「んな!?お主も武器を持たずにどうする気じゃ!」

怪人男「あー、二人ともすごい速さで出て行っちゃいましたねぇ」

竜少女「何をしておるか!お主はワープして止めにいかんか!」


637 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 03:02:02.52 ID:HLvGyfqi0
母「……こんな事が」

騎士「……ここはプロ冒険者の俺たちに任せといて、女将さんは待ってて……」

母「冒険者なんかに任せていられませんッ!」

騎士「ッ!」

母「……ご、ごめんなさい……」

竜少女「何やら訳ありのようじゃが、取り乱しておるようじゃし少し落ち着こう」

母「はい……」

怪人男「だ、ダメです。正確な位置も分からないから出鱈目にワープを続けてもあの二人を見つけられませんよ~。異様に足が速いですし」

竜少女「クソッ、役に立たん!」


638 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 03:08:45.87 ID:HLvGyfqi0
配達員「あ、冒険者さんですか?」

騎士「ん?なんだ、アンタ?」

配達員「依頼所から緊急収集が出ています、これが概要です。では」

騎士「緊急収集?」

母「……登録されている冒険者に対して行われる収集です、おそらく何かあったんでしょう」

竜少女「ん、詳しいの。して、内容は?」

騎士「……オイオイオイ、ウソだろ?」

怪人男「どうしました?」



――――――――――――
緊急収集

今日未明、東区先森林にて冒険者含む男女6名の惨殺死体を確認
いずれも数件目撃情報のあった大型ウサギの魔物仕業と思われる
一度、依頼所にて集合せよ

――――――――――――


639 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/07/30(火) 03:13:09.84 ID:HLvGyfqi0
剣士「待て!そんなに物を取られたことが憎いか!」

商人「それは当たり前でしょう!でもそれ以前に……あのバカガキッ!」

剣士「お前はどうする気だ?」

商人「ぶっちゃけるとガキンチョが心配です!連れ戻してお説教です!」

剣士「……私はどうすればいい?」

商人「少しでもあの子を心配に思うなら私の手助けしてください!」

剣士「そうでないなら?」

商人「いらん!帰れ!」

剣士「分かった、ならこのままついて行こう」

――――――
―――



647 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:01:44.62 ID:/xkJhjhE0
少年(クソ……なんでこんなことに……!!)

魔物「グルルルォ」

少年(こんなはずじゃ……クソックソッ!!)

少年(剣を振る間もなかった……不意打ちなんて卑怯じゃないか!)

少年(こうやって岩場に隠れるのが精いっぱいだなんて……今までコイツに出会ってもこんな事なかったのに!!)

少年(なんで突然震えだすんだよ!!どうして思うように体が動いてくれないんだよ!!)

少年(怖くて……動けないよ……)


648 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:11:26.32 ID:/xkJhjhE0
少年(……何か……何かないか……ねーちゃんから借りた(?)道具の中に何か無かったっけ)

少年(やっぱり説明くらい聞いておけばよかったな……前は碌なの無かったからな)

魔物「ググ……ゴガァ……」

少年(いつか臭いでバレちゃう……どうにかしないと!)

――――――
―――


剣士「それで?その狼の鼻で臭いを辿れるのか?」

商人「狼です。あ、狼ですねハイ。今やってますけど……こっちだ!」

商人「まったく、なんでこんなことに!」

剣士「……走りながら出いい、聞け」

商人「なんですか?」


649 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:15:52.14 ID:/xkJhjhE0
剣士「あの小僧、どうしてお前の剣を盗んでいったか分かるか?」

商人「そりゃ、魔物を倒すためでしょう?英雄ごっこでもしようとしたんじゃないですか?」

剣士「英雄気取りか……それもあるだろうが」

商人「含んで言いますね、何か他の目的でもあったんですか?」

剣士「……憶測だが」

剣士「……アイツ、誰かに認めて欲しいんじゃないか?自分の存在を」

商人「はぁ!?よくある目立ちたがりのガキって事ですか?!」


650 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:21:20.54 ID:/xkJhjhE0
剣士「魔物が許せないだの何だのとベラベラ言っていたが行動があまりにも幼稚だ」

剣士「本当にその気があるなら今こんな行動は起こさん」

商人「幼稚も何も子供ですし……」

剣士「私だって奴と歳はそう変わらん」

商人「あー……14でしたね、あなた」

剣士「……結局、人の行動原理は誰かに自分を見て欲しいということが大きい」

剣士「アイツの交友関係は知らんが、どうも目をかけてやっているのが母親だけという事もあるだろう」

商人「……ここ数日友達とかの話も聞いてないですね。学校にも行ってないみたいですし」

剣士「一人は案外辛いぞ?」

商人「……あなたは、どうなんですか?」

剣士「……どういうことだ?」




651 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:24:58.58 ID:/xkJhjhE0
商人「いえ、自分に問いかけているようにも聞こえましたので」

剣士「……まぁいい、そのことは後にしろ」

剣士「ともかく、間が悪かったな。色々と要因が重なりすぎた」

商人「と、言うと?」

剣士「小僧が2回とウサギの魔物に遭遇していること、そのどちらも傍に助けてくれる誰かがいた事だ」

商人「……それで、自分一人でもどうにかできると思い込んでしまったと」

剣士「ああ。そして、さらに都合よく自分の活躍を見せたいと思っている存在が現れた事だ」

商人「誰ですかそれ?」

剣士「……お前だバカ」



653 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:29:06.08 ID:/xkJhjhE0
商人「はい!?なぜに私!?」

剣士「色恋沙汰に目が暮れて周りが見えなくなった結果だろうな、とんだマセガキだ」

商人「何か下らな過ぎて納得いかねぇ……」

剣士「だが捜索は続けるだろう?」

商人「それはもちろん!ホントにそんな理由ならグーパンで顔面潰してやりますよ」

商人「……それにしてもあなた」

剣士「ん?」

商人「よく人を見てますね?そんなこと私は考え付きもしなかったのに」

剣士「たまたまだ」

剣士(……人を気に掛けるなんて、そんなこと一度もなかったのにな)

剣士(……どうも本当にコイツと出会ってから私はおかしくなっているみたいだ)


654 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:32:30.53 ID:/xkJhjhE0
商人「ッ!?」

剣士「どうした!」

商人「あの子の臭い……血が混ざってます!」

剣士「量は?」

商人「臭いはそんなに濃くないですが……他の獣の臭いもします!」

剣士「種類は」

商人「そこまでは分かりませんが……私が出会ったウサギと似たような臭いがします」

剣士「不味いな……」


655 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:38:59.37 ID:/xkJhjhE0
商人「この先です!」

剣士「この先は……!」

商人「あ……」

剣士「……川だな」

商人「あー……臭い切れちゃってます」

剣士「ふぅ……どうする気だ」

商人「どうするもこうするも手当たり次第行くしかないでしょ!あの子が危ないんですから!」


バシューン!!ピュルルルルル~


剣士「ッ!アレは!」

商人「私の七色信号弾だ!おそらくあの子が使ったんです!」

――――――
―――



656 名前: ◆cZ/h8axXSU:2013/08/02(金) 00:46:35.88 ID:/xkJhjhE0
少年「こ、これでいいの!?山田さん!」

山田「オッケー、上出来よ!あとは誰かが見つけてくれるのを祈るだけだけど……」

少年「よかった、たまたま獣寄せ笛持ってて……」

山田「物理的に干渉は出来ないけど可能な限りは助けてあげるよ」

山田(俺のホントの正体は笛に宿る精霊なんだけどねぇ~)

山田(吹かれなきゃ外に出られないけど、この子の荷物に紛れ込むことくらいは出来るからね)

山田「さて少年、ここで一つ問題が発生した」

少年「問題?」

山田「ああ!あの信号弾を見ているのは必ずしも人間だけじゃないってことだ」

少年「……」

山田「……」



魔物「ゴガァ!」コソッ


少年「バカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」ダダダダダ



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