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紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」3/5

紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」


紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」


371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:02:35.26 ID:0nFvq2Ge0
翌日

黒髪「どうしたんですか、先生」

男(女)「……いや、考え事を、な」

黒髪「そうですか」

朝は、自称紳士の男と話すことなく家をでた

男(女)(一体、何を隠してるんだあいつ……)

チェックメイトには程遠い、といっていた
つまりどこかにゴールはあるはずなのだが……

……分からない

男(女)「っていうか今、授業中だぞ。四時間目」

黒髪「なんだかやる気でなくって」

男(女)「嘘でもいいから体調不良とでも言えばいいのに」



 


元スレ
紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」





375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:13:48.81 ID:0nFvq2Ge0
黒髪「そこで寝てるじゃないですか、可愛い子が」

男(女)「寝てますね」

黒髪「気になったの」

黒髪「今日は病み上がりでがんばって学校に来たみたいだけど」

黒髪「すぐこれですし」

男(女)「……体弱いからなあ」

黒髪「生まれつきみたいで、仕方ないけれど」

男(女)「……そうなのか」

黒髪「……、なんか、上の空ですね」

男(女)「え? あ、ああ、ごめん」

黒髪「何に、なやんでいるんですか?」



 
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:25:02.15 ID:0nFvq2Ge0
何に悩んでいるのか
どう答えていいのか、難しいところだった

男(女)「んー、そうだな……」

男(女)「どういっていいかわからないんだな」

黒髪「はあ」

男(女)「そもそも、問題が分かり難いんだ」

男(女)「例えば……、そう、漂流教室のようなイメージ」

男(女)「突然右も左もわからない奇妙な状況に置かれる、みたいな」

黒髪「ふむ」

男(女)「うん、そうだな。その時に、どうすればいいのかな、って考えてた」

黒髪「小説でも書くつもりですか?」

男(女)「いやいや、そんなつもりは無いよ」


 
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:33:19.06 ID:0nFvq2Ge0
黒髪「まあ、鉄板でいうなら、状況の整理から始めればいいのでは」

男(女)「整理か……」

黒髪「何に関してもそうですけど、自分の持ち札がわかって無いと、そもそも何もできませんし」

男(女)「……なるほど。その通りだな」

黒髪「そのあとは、周りを見回して、何とかできるものを探せばいいんじゃないですか」

黒髪「勉強する時も、わからない部分を探しますし」

黒髪「そうすればほら、問題も浮彫りになる……と思う」

男(女)「そうだね」

前にエンピツで色をつけて文字を浮かした、なんて事があったなあと思い出す
真っ白では分からないけれど、回りを埋めていけば、いいのではないか

男(女)(……なるほど)


382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:36:47.23 ID:0nFvq2Ge0
そういえば、今までは行き当たりばったり立ったなあと思う

男(女)「ありがとう」

黒髪「こ、こんなので役に立ちましたか」

男(女)「うん。順序立てる、ってことを忘れていた気がする」

黒髪「……そうですか」

クールな少女が、ふっと笑った

眼鏡「ふあ……」

黒髪「あ……、おはよう」

しかしそれも一瞬で、彼女はいわく可愛い子のもとへとててと走る

眼鏡「おはよう、ございます」

黒髪「よだれたれてる」

ティッシュも何も使わず、彼女は指でそっと、それをふき取った

眼鏡「わ、わわっ、き、汚いですよっ」

黒髪「そんなことないない」



 
385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:45:57.01 ID:0nFvq2Ge0
とはいえ、そんな彼女達の会話も、四時間目にしかなかった
やはり体調不良の子は多く、忙しいのだ

ほっと息をつけるのは、放課後

男(女)「んー」

仕事を終えるまで、余計な事を考えている暇はあまりなかった
既に七時を回っている
部活動も終っているし、学校に残っている人間はもうあまりいないだろう

男(女)「……まあ、急がなくてもいいか」

俺が望むまで続く妄想の魔法
急ぐ必要は、ない

男(女)「校内の巡回でもするかなー」


 
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:49:48.65 ID:0nFvq2Ge0
養護教諭の巡回というのは、警備的な意味ではない
警備員は警備員で、いるからだ

俺がするのは、例えば掲示物の画鋲がとれていないか、とか
お手洗いなど汚れやすいところをちょっとみてみるとか
そんな程度

お気楽なものである

男(女)「ふあー」

あくびをしながら、ふらふらと歩く
学校を歩くのは、朝と夜の二回だけだ
昼間は保健室にばかりこもっているから、生徒で騒がしい廊下というのは、余り見ないなと思った

男(女)「ん」

教室の扉が開いていた

男(女)「鍵、閉め忘れたんかな」



 
390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 02:59:29.95 ID:0nFvq2Ge0
金髪「……ごめんなさいね、こんな時間に呼んでしまって」

栗毛「う、ううん。大丈夫だけど……、どうしたの?」

少女が二人
カーテンを閉め切った教室の角で、向かい合っていた

金髪「……お伝えしたい事がありますの」

栗毛「えっと……?」

金髪「……貴方の事」

栗毛「え、……え!?」

栗毛の少女は、一瞬胸に淡い思いを抱いた
予想はしていたのだ
こんな時間に呼び出されて、そして「貴方の事」からはじまるその言葉を

――だが

金髪「貴方の事……知っている」

栗毛「……え……?」



 
394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:06:31.76 ID:0nFvq2Ge0
金髪「貴方は……男、ですわね」

栗毛「な……なん、な……」

少女――いや、少年は、耳を疑った
まさか彼女から、そんな事を言われるとは思っていなかったからだ

栗毛「先生から……、聞いたの……?」

金髪「いいえ。先生は、秘密を守っています」

栗毛「な、なら、どうして……」

金髪「ごめんなさい」

金髪「私が、盗み聞きをしてしまったのです」

栗毛「盗み聞き……?」

金髪「ええ。あの日、貴方が先生に秘密を打ち明けたあの日」

金髪「私は保健室のベッドで、寝ていたのですから」

栗毛「あ……」

少年は思い出す
あの日ベッドのカーテンが二つ、しまっていた事を


395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:10:37.62 ID:0nFvq2Ge0
栗毛「じ、じゃあ、もう一人の子も……」

金髪「おそらく、それはないかと。彼女はぐっすりと寝ていたと思います」

金髪「私が偶然、起きてしまっていただけの事」

栗毛「……僕が、注意していなかったから……」

少年は秘密を打ち明ける時、周りが見えないほどに焦っていた
だから気づかなかった

金髪「……そこで、貴方に持ちかけが、ございます」

栗毛「もち、かけ……?」

少女もまた、こんな形で話を持ち出すつもりはなかった
本当は「貴方の事」のあとに「が、好きです」と伝えたかった

でも、出来なかったのだ
彼女もまた、あとに引けなくなっていた……


 
397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:17:55.95 ID:0nFvq2Ge0
ブロンドの髪を揺らし、少女は少年を壁際に追い詰める

金髪「ばらされたくなければ……」

金髪「私の言うとおりに、しなさい」

それは両者にとって甘いささやきであった

栗毛「そ、そんな、こと……」

少年は高校二年生という今の年になるまでずっと、女性に囲まれ過ごしてきた
大きくなるにつれて膨らむ男を抑えつつ抑えつつ、まるでその場しのぎのように

金髪「……ね」

だから少女の直接的な誘惑に、逆らえるどうりは無かったのだ

少女の手が、黒いタイツの上から少年の足を撫でた



 
400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:23:47.05 ID:0nFvq2Ge0
なで上げるようにして、上部へ
スカートの中へと、侵入する

金髪「これ……?」

栗毛「ぁ……っ」

少女はその盛り上がりに、触れた

栗毛「だ、だだだ、だめ、だめだよ……ぅっ」

金髪「……」

少女は大きさを確かめるように、それを触れる
彼女にそのつもりは無かったが、それはまるで擦るようであった

栗毛「く……あっ」

金髪「ね、気持ちいいの……?」

栗毛「い、言えない、よ……、そんな……」

金髪「言ってごらんなさい」

栗毛「……っ」

さわり、さわり

金髪「気持ち、いいのでしょう……?」



402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:30:07.46 ID:0nFvq2Ge0
金髪「ばらしちゃいますよ……?」

栗毛「ひっ……ぃっ……」

少女はもう、分かっていた
手の内で膨れるそれが、もう彼女の求める問いに答えていたからだ

それでも、声を、聞きたかった
――いや、言わせたかった

栗毛「きもち、い、い……です……っ」

少年は羞恥に、頬を紅く染める

金髪「ふふっ」

その言葉で、少女の知覚しない感覚が満たされる

嗜虐心と、支配欲
じくり、と腿の内が震える

少女は少年の頤に手を当てて、そっと顔を上げた

金髪「良い子、ね」



 
404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:35:55.41 ID:0nFvq2Ge0
金髪「ねえ。いつもこんなふうにしていたの……?」

金髪「体育の時や、プールの時」

金髪「いいえきっと、普通の授業のなかでも……」

金髪「女の子達が回りを囲む中で一人、貴方はこんなふうに、求めていたの……?」

栗毛「ち、ちが……」

金髪「嘘は、ダメです」

少女はきゅっとしめるように、ソレを掴んだ

栗毛「うっ……うぅぁっ」

金髪「そうなのね……?」

栗毛「…………は、ぃ……」

金髪「ふふ。褒美よ」

少女は少年の耳元を、きらりと唾液の光るその舌で、舐めた



 
408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:42:29.68 ID:0nFvq2Ge0
栗毛「はぁ……ぁ」

肺から空気がもれ出るような嬌声
それを聞くだけで、少女はじくん、じくんと、自信の内側の蠢きを感じていた

少年は、何かをもとめるように、足を捩る

金髪「何がほしいのです……?」

栗毛「な、なに……も……っ」

金髪「嘘はダメだといっているのに」

少女はもう、それの扱いを心得始めていた
さすっていたその手を、ぴたりと止める

栗毛「ぁっ……、くう……」

無くなった感覚に縋るような声のあとに、悔しさをにじませる呻き

金髪「ああ……」

彼のことを、支配している

ぞくり、と少女の体が、震えた



 
410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 03:55:50.70 ID:0nFvq2Ge0
学校の制服は、ブレザーだ
少女はその前ボタンを、片手ではずす

栗毛「ぁっ……」

すぐにブレザーの前は開かれた
そのまま、シャツのボタンにも手をかける

金髪「ふ、ふふ……」

全てが外れると、少年の肌があらわになった
少女はその肌を撫でる

這うごとにあがる彼の声が、心地よかった

金髪「そうれ」

栗毛「……っっ!」

胸の突起へ触れると、彼はもう、声すら上げずに背を反らせた
じわりじわりと、その周囲をなぞる
ツメで、引っ掛ける
そんなふうに弄ぶ事が、たまらなく快感だった


 
412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:02:18.99 ID:0nFvq2Ge0
少女はそこで、一つ思いついた

金髪「そこに、座りなさい」

床に座らせようかと迷ったが、ソレは少し彼がかわいそうだと思った
だから少年は、椅子に座らせた

金髪「行儀がわるいですが……」

少女は机に腰掛ける

金髪「足を、開きなさい」

栗毛「ふ、ぇ……っ!?」

少年はいやいやと顔を振る

金髪「……足を、開きなさい」

それでも、少女のもち札は彼を従わせるに十分だった
少年は顔をうつむかせ、両手で体を抱きながら、震える足をゆっくりと開く

金髪「スカートをたくし上げなさい」

栗毛「ぇ……っ」

少年はおずおずと、スカートの裾を持ち上げた
下着とタイツに隠されたままではあるが、彼の局部はもう、無防備



 
414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:08:57.97 ID:0nFvq2Ge0
少女は履物を脱いだ
黒いタイツをはいた足を持ち上げると、彼女はそれを少年の局部へと押し当てた

栗毛「はっ……あぁあッ!」

金髪「どう、ですか……?」

栗毛「ぁ、ぁああ……」

金髪「答えなさい」

栗毛「……い、いい……、いい、です……っ」

ぞくり

金髪「そう」

足を、ぐいと押し付ける
指くねりと動かせて、さする

栗毛「は、ぁあ……っ」

足などで、こうもよがっている彼を見て、彼女は恍惚を覚えた
そして次第に、隠されたままではなく、全てを剥ぎ取ったその姿を見たいと、思った……



 
416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:16:17.04 ID:0nFvq2Ge0
俺は壁に背をついて、頭を抱えていた

男(女)「俺が、ちゃんと注意していれば……」

本当は、男女だったのだ
もしあのような形で知られなければ
彼女達二人はもっと、まともな付き合いができていたはずなのに

男(女)(――ッ)

そのとき、足音が聞こえてくる事にきがついた
時刻は七時半
警備が、巡回する時間だった

男(女)(すまない……っ)

俺は悪いと思いながら
その教室の扉を、トントン、と、中にいる人間に聞こえる程度の大きさで、叩いた



 
418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:22:54.84 ID:0nFvq2Ge0
そして俺は、足止めのつもりで警備の人と軽い世間話を交わしてから、保健室へと戻った

男(女)「無事に帰れているといいんだが……」

保健室で一人、ごちる

騒ぎは起こってないようだったから、おそらく大丈夫だろう

特に片方は生徒会の生徒だ
雑務で遅くなったとでもいえば何とでもなろう

男(女)「さて……、俺も帰るか」

俺は鞄を持って、保健室をでるのであった



420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:29:59.59 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「帰ったぞ」

紳士「おかえりなさいませ」

男(女)「……」

紳士「まだ怒ってらっしゃいますか」

男(女)「……もういい。俺がバカだっただけだ」

男(女)「挽回してやるからみてろよ」

紳士「おお、これは楽しみにしております」

紳士「ところで、夕食は」

男(女)「食べるかー」

紳士「ふふ、やはり食卓は複数で囲うのが良い」

男(女)「……そうだな」



 
422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:42:31.64 ID:0nFvq2Ge0
翌日

男(女)「さて、整理だな」

保健室の仕事もそうそうに、状況の整理をすることにした

男(女)「俺は……」

現時点での俺は、二人存在する
“俺”と“私”だ
だたし、どちらも同時には存在できない
俺が女になれば“私”になり
俺が男になれば“俺”になるだけのはなしだ

これらは元々別の人間だったはずだが、何らかの理由で、一つになっている
いや、俺に統合されていると考えた方がいいだろう
なぜなら俺はどちらにもなる事ができるからだ

では、“本来の私”はどこへいったのか
問題はここだ

しかし、この問題に関して俺は有効な手札を持ち合わせていない
二人は別人である、という以上に迫る事ができない
だから俺は先日の問答で、負けたのだ

男(女)(なら、俺の持ち札って、なんだ……?)



 
425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 04:50:59.70 ID:0nFvq2Ge0
“本来の私”が誰なのか分かれば手もあるのだが……そう簡単ではない

男(女)「なら、逆に“本来の俺”を考えればいいのかな……」

本来の俺は、ただのその日ぐらしである
社会人を少しやってはいたが、途中で会社が潰れて以降働いていない
とにかくその時の貯金で、今はその日暮らしをしていたのだ

知り合いも友人も、ほとんどいなかった

男(女)「だからこそ、“俺”を無視して、“私”に専念できるわけだが……」

つまるところ“俺”は――いてもいなくても、問題がなかった

男(女)「ぐ、そう考えるとつらいな……」

少なくとも“私”は、居なくなれば困る人間が出てくるのだ
誰も困らない“俺”とでは、雲泥の差だった

男(女)「家族とも連絡とってねーしな……」

家族すら困らないとなると、もうどうしようもない


426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:00:28.36 ID:0nFvq2Ge0
住んでいるのは、三階建てのマンションだ
俺が住んでいるのは205号室
しかし204号室や104号室は存在しない
四や九はよく縁起が悪いとかで抜け番にされるが、まさにそれ

家賃四万円の1Kで、南向き

男(女)「ううむ、普通だな……」

趣味は――まあ、雑多に
普段はPCをいじったり音楽を聴いたりなどなど……
料理は余り得意ではない、たぶんあの紳士には負ける

男(女)「ううむ、俺自身の持ち札ってこういうことか……?」

なんか、違う気がする

男(女)「……実際に持ってるもの、っていうことかな……」

とすると最初に思い浮かぶのは――保険室の先生お仕事ノートだった

男(女)「うーむ」

これはもうすみからすみまで読みつくした
今更手がかりも何も――

男(女)「あ」


427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:05:45.30 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「“先生あのね。を目指すために”……だったか」

一番最後のページ、裏表紙。そのくぼみから浮き出た文字

男(女)「うーむ……」

先生あのね、とはどういうことか

男(女)「先生、あのね? ……かな」

話しかけられる先生、という事だろうか

男(女)「……む、もしそうなら……」

俺は勝手に思い込んでいた
このノートを書いたのは、あの紳士だと

男(女)「い、いや、違う……」

>男(女)「可愛い字、書くんだな」
>紳士「……人は見かけによらないというものです」

あいつは自分で書いた、とは言っていなかった
そしてただのマニュアルならば、“先生あのね。を目指すために”なんて書かない――つまり

男(女)「コレを書いたのが、“本来の私”……?」



 
429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:15:33.04 ID:0nFvq2Ge0
一歩前進、だろうか

男(女)「そうか……、そういう先生になりたかったんだな」

ならばきっと、その人物は俺なんかより暖かい人間だ

男(女)「どこにいっちまったのかな……」

この姿は、俺にとっては殻でしかない
できることならば、本来の中身に返してやりたい

男(女)「まだ、ピースがたりないなあ……」

あいつを追い詰めるには、こんなんじゃ全然だめだ
もっとはっきりとした確証を……

男(女)「あと持っているものは……」

何度も言っているように、この代えられる体くらいか

男(女)「あー、あとそうだ……。一応部屋の模様替えも、できるか」

人を招く時くらいにしかつかえないけれど、一応持ち札ではある



 
431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:21:53.49 ID:0nFvq2Ge0
金髪「こんにちは」

男(女)「んっ!? あ、ああ。いらっしゃい」

一瞬、昨日の事を思い出してどきりとしてしまった

金髪「何か考え事をしていらしたようですわね」

男(女)「ああ、少しな。体調不良か?」

金髪「いいえ。サボりですわ」

男(女)「は、はっきり言うなぁ……。生徒会の人間がそれでいいのか」

金髪「まあ、それでも生徒の一人ですし」

男(女)「ふむ……」

金髪「ところで……、保健室には今、お一人ですの?」

男(女)「え? あ、ああ。特に誰も居ないが」

金髪「……そう」


432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:24:45.30 ID:0nFvq2Ge0
金髪「……昨日」

男(女)「……はい」

金髪「私たちのこと、見ましたわね?」

男(女)「……、……はい」

金髪「ノックをしたのは、先生?」

男(女)「はい」

金髪「そう」

金髪「……よかった」

男(女)「え……?」

金髪「ふふ、もし先生以外に見られていたら、大変でした」

金髪「もし違ったらなんて、とても考えてしまいましたわ」


 
434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:35:36.79 ID:0nFvq2Ge0
金髪「とても助かりましたわ、警備の人がきていたのを、報せてくれたのですよね」

男(女)「う、うむ」

金髪「ありがとうございます」

男(女)「いや……、そのなんだ、あの場合感謝されていいのか、難しい」

金髪「でもそのおかげで見つからなかったのですから」

金髪「……もしかして、一部始終をみておられました?」

男(女)「い、いやそんなことはない。見つけたときに、少しだけ、だ」

男(女)「まあその、どうしたものかと困って、廊下にはいたが……」

金髪「ふふ、そのまま見過ごせばよかったのに」

男(女)「……ちょうど、君が彼の秘密を知った理由を、聞いてしまってな」

金髪「なるほど……」

男(女)「すまない」

金髪「……いえ」


435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:38:52.58 ID:0nFvq2Ge0
金髪「アレを聞いたからこそ、私は悩みから一つ、解放されました」

金髪「……同性愛ではないのだ、と」

男(女)「そうだが……、しかしもっと普通なやり方があったと」

金髪「そんな事言ってたら、キリがありませんわよ?」

男(女)「む、そうだが……」

保健室の扉が、開かれる

金髪「あら」

栗毛「あの……」

男(女)「……いらっしゃい」


436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 05:43:42.40 ID:0nFvq2Ge0
栗毛「昨日の……事、ですけど……」

金髪「やはり、ノックしたのは先生でしたよ」

男(女)「む、うむ」

栗毛「……そうでしたか」

金髪「昨日は、ごめんなさいね。つい、犯したくなってしまいました」

栗毛「お、犯しっ……」

金髪「ふふ。……嫌いに、なってしまわれましたか」

栗毛「.……え、えっと……」

栗毛「ううん……、そんなことは、ない、よ」

金髪「よかった」

栗毛「なんだかその、優しかった、から……」

金髪「あら、あんなことまでしたのに」

栗毛「そ、それはその、あの……っ! ぅ、ぅう……」

金髪「ふふ」



 
438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:01:41.98 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「……すまんな」

栗毛「い、いえ……、ここで話しちゃった僕もいけませんし……」

男(女)「しかし秘密がもれてしまったのは……」

栗毛「う……」

金髪「安心ください。別にバラしたりはしませんわ」

栗毛「ほっ……」

金髪「まあ、でも、それでたまにはゆすらせてもらおうかな」

栗毛「なっ!? そ、それは……冗談だよねっ!?」

金髪「ふふ、どうかなー」

男(女)「ううむ、まあ、悪い方に転がらなくてなにより……」

男(女)「あとはがんばれ、少年」

栗毛「見捨てないでくださいーっ!!」




 
440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:32:33.04 ID:0nFvq2Ge0
金髪「……ところで、何に悩んでいたんですか?」

男(女)「え?」

金髪「ほら、さっき。何か考えているようでしたから」

男(女)「あ、ああ……」

男(女)「そうだな、アイツにも話したんだが……」

先日黒髪の少女と話したことを、伝えた

金髪「ふむ、なるほど……」

金髪「持ち札は分かったのですか?」

男(女)「うーん、大体……は」

金髪「もし考えても持ち札が思い浮かばなくなったら」

金髪「次の段階へ行ってしまえばいいと思いますわ」

男(女)「と、いいますと」



 
442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:35:44.69 ID:0nFvq2Ge0
金髪「周りを見て、探す」

金髪「そうですね……、持ち札をつかって、実験をしてみる、とか」

金髪「一回限りでなければ、ですけど」

男(女)「なるほど……」

金髪「とにかく行動をしていかないと、お話は進みませんわ」

金髪「何に関してかは分かりませんが……」

金髪「がんばって下さいませ」

栗毛「あはは……、僕は彼女以上の事はなにもいえないけど……」

栗毛「悩み事が解決すると、いいですね」

男(女)「……ああ」

男(女)「ありがとう。頑張るよ」



 
444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:39:19.05 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「ただいま」

紳士「おかえりなさいませ」

男(女)「なんかすっかり、お前が居る事になじんでしまった気がする」

紳士「ふふ、それはより親密になった、ということでしょうか」

男(女)「違うよ、慣れだよ」

紳士「これはまたはっきりとおっしゃられる」

紳士「さて、夕食にいたしますか」

男(女)「ああ。たのむ」

紳士「かしこまりました」


445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:44:55.12 ID:0nFvq2Ge0
夕食を食べながら、向かい合う

男(女)「やっぱりこれ、お前の書いた本じゃないよな」

紳士「はい、正解です。その保健室の先生お仕事ノートは、私の書いたものではありません」

男(女)「“本来の私”が書いたって事でいいのか」

紳士「然様」

男(女)「なるほどね」

男(女)「ふと思ったんだが」

紳士「なんでしょう」

男(女)「お前の言葉って、どこまで信じていいの」

紳士「私は嘘をつきません」

男(女)「……そうか。嘘はつかないが、のらりくらりとはかわすってことだな」

紳士「さてなんのことやら」


446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:52:06.81 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「だけど、正解を持ってきたときは、正解って言うんだよな」

紳士「はい。根拠をしっかりと提示していただければ」

男(女)「……やっぱり、お前ってなんなんだ」

紳士「今まで以上のお答えは、できかねます」

男(女)「じゃあ質問を変えて……、味方なのか敵なのか」

紳士「敵ではない、としか」

男(女)「ふむ……」

男(女)「仕事っていうからには、利益はあるのか」

紳士「ありますよ」

男(女)「それが目当てなのか」

紳士「まあ利益というからには、それ目当てでしょう」

紳士「副次的な利益も、含めて」

男(女)「ふーむ……」



 
448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 06:56:31.24 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「難しいなあ……」

紳士「そうでもないんですけどね」

紳士「ですが簡単なパズルも、解けるまでは難しくも思えるものです」

男(女)「ふむ……」

男(女)「まあ、いいか。ゆっくり解いていこう」

紳士「はい」

男(女)「……ところで、食後にアルコールがほしいな」

紳士「そうですね……、しかし切らしておりますよ」

男(女)「そうか、なら買ってくる」

男「よっ」

紳士「そちらでいくのですか」

男「さすがに夜だしな」

紳士「……そうですね」



 
450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:00:08.47 ID:0nFvq2Ge0
さっと玄関まで移動して、靴を履く

男「……ん?」

がちゃり

男「あれ……?」

がちゃり

男「開かない……?」

がちゃり、がちゃり

鍵がかかっているのかと思って、見てみる
かかっていない

男「…………」

今の今まで、まったりと話をしていたことで、油断していたのか
ぞっと、背筋を凍らせるような感覚が走る

もういちどドアノブをひねる

がちゃり

男「どういう……ことだ……」

玄関扉はどうしても、開かなかった


 
452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:03:34.90 ID:0nFvq2Ge0
男「……おい」

紳士「なんでしょう」

男「玄関が、開かない」

紳士「さあ」

さっきまでの穏やかな空気が、ぴしりと張り詰めた

男「何が起こっている」

紳士「……さあ」

男「……閉じ込められたのか」

紳士「いいえ」

男「……」

紳士「……」

紳士を名乗る男は薄く、微笑を浮かべていたのだった……



 
456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:08:49.25 ID:0nFvq2Ge0
男「……」

一体、どういうことだ……

やつが嘘をつかないというの信じるのならば
今俺は、閉じ込められたわけではない

だが現に、出られない
俺はこの部屋から、出られない

男(女)「……まさか」

体を女に変える

そっと、ドアノブに触れた

男(女)「――ッ!?」

玄関はあっけなく、開いたのだった

男(女)「これは……、どう、いうこと、だ……」

俺は目を見開いたまま、振りかえる
紳士は先と変わらず、ただ椅子座って、背中を見せていた……


457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:14:01.55 ID:0nFvq2Ge0
男(女)「お、おい、こ、これはどういう……!」

紳士「さあ、どういうことでしょう」

男(女)「俺は、どうなっている……!」

紳士「貴方は、貴方ですよ……?」

男(女)「なぜ本来の姿のまま、外にでられない」

紳士「さあ、なんででしょう」

男(女)「おいッ!!」

俺は掴みかかった

紳士「くっ……くくく」

焦った
心の底から、俺は焦った

たとえこの部屋で男になれたところで、外に出られないのならばそれは

“俺”という存在が居なくなってしまった事と、変わらない……!



 
459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:21:19.59 ID:0nFvq2Ge0
俺は安心していた
いつでも男の姿に戻れるからと、安心していた

だから今まで女の姿で生活してきた
別人になったからといって、危機感を感じる事はなかった

だがその余裕はいま、瞬く間に恐怖へと転じる……

男「お、おいッ! 説明を……、説明をしろォッ!!」

紳士「説明もなにも。男の姿では出られない。女の姿では出られる」

紳士「それでけではありませんか」

男(女)「何故でられないかと聞いているンだッ!!!」

紳士「何故? くっくく……、自分で見つけたら、どうですか?」

男「お、お前……ッ!」

男と女、双方の体でぶれる
きっとはたからみたら“それはどちらだかわからない”


“俺”という存在は――どこへいった……ッ!?



 
463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:36:44.98 ID:0nFvq2Ge0
問題が、最初から間違っていた

“本来の私”という存在はどこへいった?

これはあまりに、足元をみない問題提起

探すべきはもとより“本来の私”ではなく――

男「自分、自身……、だと……」

――自分自身

自分がどこにいるのか、分からない

最初から
そうそれは最初からだった

俺の中に二人存在する?――違う

自分でいっていたじゃないか
同時に存在できない、と

なぜなら俺は一人だから
俺という意識は一人だから、どちらかにしか、なれない

二人だと分かっているのは俺だけで、傍から見たとき、結局俺はどちらかでしか、なかったのだ
自分しかしらないそれを「二人存在している」なんて言えるわけが無い
結局そうだ

“俺”が“私”であるとき――“俺”は、存在していなかった……!



 
465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 07:48:30.75 ID:0nFvq2Ge0
紳士「ね……?」

紳士「これもまた、最初から分かっていた事、でしょう」

紳士「今男の姿で外に出れなかった事は、いい機会でしたね」

紳士「その危機感が、貴方の間違いをしっかりと教えてくれたではありませんか」

男「き、っさま……ッ」

紳士「説明しろ説明しろと貴方は言っておりますが」

紳士「大体のことは、私から聞かなくても分かるんですよ」

紳士「最初は確かに必要事項をいくつかお伝えしましたが、それも最初だけです」

紳士「そうでしょう?」

紳士「だって私はそれ以外で結局――」


紳士「――ただの答え合わせをしているだけじゃないですか」



 
468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:01:58.81 ID:0nFvq2Ge0
恐ろしいと、思った

一体奴はどこまで答えを隠しているのか
底の見えなさが、とてつもなく恐ろしい

男「それでも……」

紳士「……?」

男「それでもお前は……、敵じゃないと……、言うのか……ッ」

紳士「……はい」

男「お前は全てしっているんだろうッ!」

紳士「しっていないと、○も×もつけれませんからね」

男「……お前が……、お前がきたから、全てがおかしくなった!!」

男「お前が敵でなくてなんだというのかッッ!!!!!」

男「俺は、俺はどこへいった……ん、だよ……!」



 
472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:20:09.88 ID:0nFvq2Ge0
紳士「……損な役回りです」

男「え……?」

紳士「私は敵ではない。なのに憎まれ役」

紳士「何度も言っているように――貴方と仲良くなりたいのですよ、私も」

男「……」

紳士「ですがそれも、仕方がない」

紳士「私はさながら、貴方が向かう問題集と対になる回答集」

紳士「その回答集をすべて私の裁量で開かれては、確かに不平も漏らしたくなるもの」

紳士「ですがきっと最後には」

紳士「貴方と仲良くなれることを、祈っております」



 
474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:28:42.17 ID:0nFvq2Ge0
翌日

男(女)(……結局、この姿のまま学校へきてしまった)

いや――選択肢が、なかった

俺は男の姿のままで出る事ができない
外に出るためには、この姿しかない

眼鏡「先生……?」

昼休みには、いつもの面々が保健室を訪れていた

男(女)「ん……」

眼鏡「顔色、悪いですよ……?」

男(女)「そう、かな……」

黒髪「そうね、先生、少し休んだ方がいいかもしれない」

男(女)「大丈夫、大丈夫だよ」


475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:33:57.54 ID:0nFvq2Ge0
栗毛「例の、悩みの件でしょうか」

金髪「かもしれませんわね」

黒髪「あ、貴方達も聞いたのね」

金髪「ええ」

ツインテ「何の話ですかお姉さまっ」

眼鏡「私も、聞いて無いかも……?」

黒髪「えっとね……」



ツインテ「……はあ、それはまた漠然とした悩みですね」

黒髪「そうね……」

眼鏡「どうにも曖昧で、なんといえばいいのか……」



 
477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:38:25.79 ID:0nFvq2Ge0
ツインテ「わざとボカしてるんじゃないですか?」

眼鏡「え?」

ツインテ「話を聞く分には、もっとはっきりとした事態があるような気がするんですけど!」

眼鏡「……そうなんですか? 先生」

男(女)「あ、いや……。どう伝えていいものか」

黒髪「私の時もこんな事いってた」

男(女)「はは……」

ツインテ「いえですから……、起こってることをそのまま伝えればいいんじゃないんですか?」

ツインテ「わざとボカして伝えようとするから、伝え方わからなくなるだけのような……?」

男(女)「え、っと……」

たしかに、それはその通りであった
しかし、これはそのまま伝えるわけにはいかない

俺は実は男で、女に変身することができて、紳士を名乗る男がいて――なんて、言えるわけが無かった


 
479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:46:33.01 ID:0nFvq2Ge0
金髪「私達が、信用に足りませんか」

男(女)「あ、いや……、そういうわけじゃないんだが……」

男(女)「ただ悩みを、どうにも伝え難いんだ」

眼鏡「……それは、言い難い事、という意味ですか?」

男(女)「……いや、そうでは、ないんだ……」

眼鏡「なら、何故……?」

男(女)「……あまりに、突飛すぎるんだ。問題が」

男(女)「例えばここで話したとして、きっと誰も、その問題を信じられない」

黒髪「でも現に先生は、悩んでいるじゃないですか」

男(女)「そう……、そうなの、だが……」

言えるわけが、ない



 
482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2011/10/31(月) 08:56:08.33 ID:0nFvq2Ge0
眼鏡「……先生。きっと、どんな悩みでも私達は、聞きますよ」

栗毛「うん。もし相談してくたら、真剣に考える」

金髪「そうですわね。伝え難いことなら、仕方ありません」

金髪「でもとにかく言ってみてくださればきっと、私達は先生のために協力いたしますわ」

男(女)「む……」

ツインテ「まー、お姉様がいれば、問題なんてすぐ解決ですよ!」

男(女)「……そうか」

黒髪「それはどうかわからないけど……」

黒髪「無理に、とは言いませんけど。でも、相談したくなったら、いつでもどうぞ」

皆がそういってくれることが、たまらなく嬉しかった

男(女)(だが俺は、裏切っている……)

“俺”は“私”じゃない
それがとてつもなく、心に響いた

男(女)「……分かった。一人で抱えきれなくなったら、たのむよ」


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[ 2012/01/23 19:04 ] 男「」or女「」 | TB(0) | CM(0)
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