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王様「もう余が魔王倒しに行く」勇者「えっ」2/2


王様「もう余が魔王倒しに行く」勇者「えっ」



45 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:25:41 ID:9xU.cq/k
【洞窟】
上級魔物「ゼエ……ゼエ……」

若王「……」

上級魔物「……貴様らが魔王様の元へ辿りつけると思うな……」

若王「……」

上級魔物「人間めが……、魔界を私物化しよう等……」

若王「うるさいよ」

上級魔物「ぐっ……ぁあ゛あああ!!」
ビチャッ バタバタッ

勇者「……っ」

兵士D「陛下!こちらも、下級魔物の殲滅、終わりました」

若王「ご苦労」

勇者「……」

若王「……勇者」

勇者 ハッ





元スレ
王様「もう余が魔王倒しに行く」勇者「えっ」




46 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:31:29 ID:9xU.cq/k
若王「あんまり見るんじゃない、夢に出るよ」

勇者「平気だよ…こんぐらい」

若王「そう…」

勇者「………埋めなくていい?」

若王「必要ない。僕らの仕事じゃないよ」

勇者「……わかった」

若王「とにかく出よう、勇者。ここは空気が悪い」

勇者「うん」

若王「…………どうしたんだい?」

勇者「ううん。………これで、最後なんだと思って」


47 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:38:56 ID:9xU.cq/k
【森】

―サヤサヤ

男「……」

男「……」

男「今日は来ない、か………」


―サヤサヤ

男「……」

フードの男「……」

男「はあ…お前か」

フード「男様……」


48 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:39:46 ID:9xU.cq/k
―サヤサヤ


フード「そろそろお戻りになって頂きませんと……」

男「わかっている」

フード「……」

男「……まあ、どうせそろそろだろうしな」

フード「……は」

男「いいだろう、戻る。…先に帰って準備をしていろ」

フード「……はい」

.


49 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:46:49 ID:9xU.cq/k
【天幕】

若王「……」

若王「……」



若王「……お入りよ」

騎士「!……お気付きだったので」

若王「うん」

.


50 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:49:00 ID:9xU.cq/k
騎士「失礼を。ご執務中かと」

若王「もう終わったよ。…ああ、騎士も言葉遣いを崩して構わないよ」

騎士「し、しかし……、城外でそのような」

若王「気にすることはないのに」クスクス

騎士「う。は、はあ……。では、……兄さん」

若王「城はどう?」


51 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:50:46 ID:9xU.cq/k
騎士「案の定、諸国派の大臣達が水面下で動き始めました」

若王「ふむ」

騎士「このまま泳がせますか?」

若王「そうだね……」


騎士「? 悩んで?」

若王「うん、まあ……出来れば諸国と火種になるようなことはしたくないよ」

騎士「……。…ですが、戦争は避けられません」

若王「そうだねえ」


52 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/02(木) 23:59:17 ID:9xU.cq/k
騎士「諸国からの再三の要請はありますが…」

若王「受け入れるつもりはないよ」

騎士「……そうですか」

若王「失望したかい?」

騎士「いいえ。……国民は受け入れるべきと思うかもしれませんが……。私は……。…俺個人で言わせて貰えば、兄さんがそれを受け入れない事に、安心しています」

若王「ふふっ、少しは正直になったね」

騎士「いえ……王族としては最低です」

若王「どうかな」

.


53 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:00:16 ID:E1D46Yxk
若王「結局、自分の家族を慈しめない人間なんて、自分の民も慈しめないもんだよ」

騎士「そう…でしょうか」

若王「うん。そう。例えあちらの要望通り、婚姻で和平を結んでも、完全にうまくいくなんて保証はない。あちらが和平を破り攻めこんで来たら、こちらは姫を差し出すだけ無駄だ」

騎士「…ええ、ですが」

若王「姫を差し出す気はないよ」


騎士「……王」

若王「だって僕も、君も。超ド級のシスコンで、ブラコンで、家族大好きファミリーコンプレックスなんだからね」




騎士「……一緒にしないで下さい」プイッ


54 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/02/03(金) 00:14:31 ID:E1D46Yxk
【森】

勇者「はあっ、はあっ、はあっ」タッタッタッ


―リリー、リリー

勇者「はあ…、はあ…、」タッタッ…

勇者「……はあ、いない……。そうだよね、いないよね」

勇者「……はあ、はあ、……」
勇者「……」

―リリー、リリー




勇者「……そうだよね」
.


55 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:16:49 ID:E1D46Yxk
【天幕】

騎士「帰ります、もう伝えましたし」

若王「うん、王子や近衛大臣にも、宜しく言っといてくれ」

騎士「はあ……若王兄さんは相変わらずとお伝えしますよ」

若王「ひどいなあ」クスクス


若王「じゃあ、次はまた王宮で。……先に帰って準備をしといてくれ」

騎士「はっ」

騎士「……ご武運を」


56 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:20:24 ID:E1D46Yxk
 




勇者「ただいまー、あれ?何かあったの?外出てるなんて珍しい」

若王「あ、お帰り勇者。実は内密で騎士が来てたんだよ」

勇者「へっ、騎士兄ちゃんが?」

若王「うん――君と入れ代わりでね」

勇者「へえ~………………………………………………」


58 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:23:30 ID:E1D46Yxk
勇者「……」

若王「…勇者、やはり王宮へ帰っていたね?」

勇者「え、えーっと…」

若王「はあ…、まあいいけどね。どうだった?王宮は?」

勇者「あ、うん、姫姉ちゃんが早く城を丸洗いしたいってイライラしてたよ」

若王「丸洗い、か……」

勇者「鼠が嫌いなんだって」

若王「うん」

勇者「大掃除しなきゃ出てっつやるって」

若王「それは困るなあ……」ははは


59 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:27:12 ID:E1D46Yxk
勇者「魔王城、おっきいね」

若王「そうだね」

勇者「向こうからはこっちの陣営見えてないのかな?」

若王「多分、見えてるだろう」

勇者「そうなの?」

若王「うん」

勇者「へー…余裕なんだねえ、魔王って」

若王「まあ、今までもそういうスタンスだったしねえ」


60 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/03(金) 00:44:03 ID:E1D46Yxk
勇者「明日は、あの魔王城に行くんだよね」

若王「そうだよ」

勇者「俺も……!連れてってくれるよね…?」

若王「ふ……、もちろんだよ」

勇者「本当に…っ?!」

若王「ああ、約束したからね」

勇者「良かった…良かった、じゃあ、明日の朝9時決行であってるんだね?嘘じゃないよね?」

若王「嘘じゃないよ、何故?」

勇者「だって、若王兄ちゃんのことだから、俺に嘘の時間教えて勝手に先行くかもしれないじゃん!!」

若王「ははは、流石にそこまではしないよ」



63 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 19:56:18 ID:afWePT2E
【陣営】

将軍「……」

兵士「お疲れ様です、将軍」

将軍「うむ」

兵士「明日ッスよ」

将軍「ああ」

兵士「魔界が手に入ったら隣国との膠着も落ち着きますかねぇ」

将軍「わからん。魔界を手に入れたとして、統治するにも多大な労力がかかる」

兵士「ッスか。なかなか簡単には落ち着かないんですねぇ…」

将軍「…」ズズー…

兵士「勇者様はどうなるんッスか」

将軍「さあな…。そこは、王も何かお考えでいるだろう……」

兵士「オレ狙っちゃおっかなあ」

将軍「不敬罪でひっ捕えるぞ、ガキ」


64 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 19:58:17 ID:afWePT2E
【天幕 夜明け前】

人工精霊 フヨフヨ

勇者「くかーzZZ」

人工精霊 フヨフヨ フヨフヨ

勇者「ぐーっ」

人工精霊 がぶがぶ

勇者「zZZ」

人工精霊 ……

人工精霊 がぶがぶがぶがぶがぶがぶ

勇者「んがっ!」

人工精霊 !

勇者「zzZ……」

人工精霊 ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカ!!


65 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 20:05:06 ID:afWePT2E
勇者「はっ!!」

人工精霊 プンプン

勇者「あっ」

勇者「ごめんごめん、起こしてって頼んでたね、ありがとう」
人工精霊 プンプン

勇者「はい、真珠」

人工精霊 !

人工精霊 ♪~

勇者「うん、ありがとね、戻っていいよ」

人工精霊 フヨフヨ~

勇者「うん?」

人工精霊 ナデナデ

勇者「…!」

人工精霊 フヨフヨ~… フッ

勇者「……」

勇者「……バレてるのかな」


66 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 20:13:30 ID:afWePT2E
勇者「そういえば人工精霊は作り主の感情を反映するって、魔法学校の先生も言ってたっけ」ヨイショっと

勇者「うーん…修行がやっぱり足りないのかなあ…」



側近「…!」

側近(あれは)


67 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 20:22:43 ID:afWePT2E

【魔王の間】

魔王「……」

側近「魔王様、勇者が単独でこちらへ向かっております」

魔王「……」

側近「如何なさいますか」

魔王「……良いだろう、通せ」

側近「ですが」

魔王「……」

側近「……」

魔王「…いいから、鎧面をよこせ」

側近「………はい」
.


68 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 22:24:04 ID:afWePT2E
【魔王城廊下】

魔物「納得がいかねぇなあ」

側近「魔王様の命だ。お前達は黙って従えばいい」

魔物「しかし勇者だ」

側近「勇者とは名ばかりの小娘だ。お前達がまともに対応すれば死ぬ。だが、あの娘には大変な利用価値があるのだ。そんな魔王様のお心もわからんのか?」

魔物「わかるさ。わかるがな。その魔王様が全く魔王としての役目を果たさない事にだって、こっちは腹をたててるんだ」

側近「…色んな事を口にする輩はいる」

魔物「ああ、そうさ。過激派の奴らは魔王を腰抜けという。でも俺達はめったに魔王の姿を見る事はない、魔王が本当に腰抜けなのか、何か策があるのかもわからない」

側近「……」

側近「…魔王様はこれからの魔界の事を憂いてくださっている」


69 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 22:32:05 ID:afWePT2E
魔物「憂うだけなら簡単だろうよ。人間に狩られる魔物達の事を憐れんでくれるってなら、行動派の新たな魔物に譲ってくれればいいじゃねえか」

側近「……そう思うのなら」

魔物「おっと、よしな。俺は極論を言っただけだぜ」

側近「……」

魔物「ひーおっかねぇ、アンタ真面目だもんなあ」

側近「……」

魔物「別に俺は魔王を腰抜けとは思っちゃいねーぜ。ただそう思う奴はゴマンと居るって話で、俺もいつかはそう判断するかもしれない。そんな奴増えたら国は破綻の一途だぜ」


70 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 22:37:25 ID:afWePT2E
側近「言うな。俺にも魔王様の本当のお心を推し量る事は出来ていない」

魔物「へー、へー。それなのに馬鹿正直に従うってか」

側近「……」

魔物「まあ、わかんなくもねぇけどよ。だからってな、やっぱり易々…「ねえ、おっちゃん」

魔物「あ?なんだ今話の途中だぞ」

勇者「あ、ごめん魔王の間ってこっちであってる?」

魔物「あーあってるぞー…ってオイ」

勇者「やっぱり?だよねあってるよね、なのに」

魔物「オイちょっと待って」

勇者「え?」

魔物「え?」

側近「……」


71 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/02/12(日) 22:53:43 ID:afWePT2E
側近「――勇者」

勇者「あっ、はい」

魔物「やっぱりか!!!!えっちょっと本当待って、勇者?」

勇者「え、う、うん」

魔物「何で居んの?じゃなくて、そうだよな、居るよな、向かってるって言ってたもんな、そうだよなぁ~……はぁああ!?」

勇者 ビクッ

側近「…」


72 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 22:59:12 ID:afWePT2E

魔物「子供じゃねえええかああ!!!」

側近「だから、」

魔物「だからも糞もねえよ!!小娘って言ったら普通16~20ぐらいを想像するだろうが!!見ろこいつ!13かそこらって所だろ!」

勇者「なっ、失礼な!俺はこう見えても19です!」

魔物「はぁあああ!?嘘つけぇええ!」

側近「……」ハァ


73 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 23:13:55 ID:afWePT2E
魔物「だいたいお前レベルいくつだ? 1か?2か?」

勇者「2」

魔物「そうか2か。うん。帰れぇえええ!!!」

勇者「ええええ!?」

魔物「馬鹿かお前!魔王だぞ、魔王!!死ぬぞ!!一瞬で消し炭だぞお前!つーか何しに来た!2で!!」

勇者「いや、だから、話し合いで解決しよーと」

魔物「却下。帰れ」

勇者「魔物に却下された!?」



75 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 23:33:35 ID:afWePT2E
勇者「だいたい何で魔物なのにそんな心配をするの?」ムッ

魔物「いやお前、レベル2の雑魚魔物がお前んとこの王様にピギーと挑んでみ?とめるだろ」

勇者「確かに!!」

側近「しかし魔物、魔王様の命だ。勇者を通せ、と」

勇者「え」

魔物「だからってなぁ~」

勇者「あ、それで全然魔物が出て来ないの?」

側近「ええ」


76 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/12(日) 23:54:21 ID:afWePT2E
勇者「そう……魔王が……そう…」

魔物「マジでこんなん通すのか?むしろ本気で対応するのが魔界の恥なレベルじゃねえ?」

側近「だから、……。ハァ……」

側近「その問答の任は我らにない。魔王様に委ねるべきだ」

側近「それが、交渉の人質にするか、見せしめにするか――でも」ギロ

勇者「……っ」

側近 クルリ

魔物「おい側近」

側近「来い。…魔物、お前は持ち場についていろ。いつ外の陣営が来るかわからん」カッカッカッ


77 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/13(月) 00:03:56 ID:SXL2SnKk
魔物「あいつって勝手な奴だよなぁ」

メイド「どうかしら、彼の予想は当たっていてよ」ヒョイッ

魔物「おっ、居たの」

メイド「馬鹿ね、勇者をつけてたに決まってるでしょ。命令無視して襲う奴いないように、見張ってたの」

魔物「…あっ、そう」

メイド「外の人間共が起き始めたわ」

魔物「マジか?他の奴ら叩き起こさねえと。あっ、そうだ勇者の不在は?」

メイド「さあ。どうせバレてなかったとしても時間の問題よ。…行きましょ」

魔物「かーっ、戦地か~、おっさんもう引退したいんだけどねぇ」

メイド「あ?ぶっ飛ばすぞ働けデブ」


78 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/13(月) 00:18:21 ID:SXL2SnKk
側近「…」カッカッカッ

勇者「…」スタスタスタスタ

側近「…貴女が何を企んでいようと、俺に興味はありません」

勇者 ビクッ

側近「魔王様が、貴女方に敗れるなど…有り得ないのですから」

勇者「…」

側近「話し合いで解決、などと我らを馬鹿にしたような気概の貴女に」

勇者「…」

側近「我らの魔王様が本気で倒せるとお思いで?」

勇者「…」

側近「しかし…」ピタ




側近「それすらも覚悟の上というなら、――どうぞ」


側近「お入りを?」


79 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/13(月) 00:19:43 ID:SXL2SnKk

―ギィイイ…ィ


【魔王の間】



魔王『よく来たな……勇者よ』
勇者「…………」





勇者「…………魔王」


.


80 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/02/13(月) 00:34:33 ID:SXL2SnKk

魔王『勇者の癖にして、国から兵卒を率いてくるとは…なかなか狡猾な勇者だな』

勇者「……!」

魔王『まあ、自分の主を連れて来ただけでも誉めてやりたい。見上げた精神だ、どこからそんな余裕が来るやら……』

勇者「……」ガタガタ


魔王『なあ勇者』

勇者「……」ガタガタ

魔王『フ…。震えているのか』

勇者「……ごめんなさい」

魔王『ん?』

勇者「ズルくてごめんなさい弱くてごめんなさい」ぼろぼろ

魔王『……なんと。泣くとは』



魔王『全く、我もそろそろ我慢がならぬ』ガシャリ

勇者「」ビクッ!!


82 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/03/02(金) 07:38:58 ID:5os1ZJ3g
魔王『さあ、獲物を取れ、剣の握り方ぐらい心得てるだろう』
勇者「……」シャキン

魔王『…』

魔王『……ゆくぞ』ジャキッ


―ヒュンッ



バアアアン!!
若王「勇者ああああ!!」

魔王『!!』

魔王『貴様、若王!!』
ガキイィイイン!!


83 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/03/02(金) 07:40:55 ID:5os1ZJ3g
魔王『ふははは!お姫様を助けに来たのか?まさしく白馬の王子だな』キイン!

若王「黙れ!!勇者には手出しはさせん!!」ヒュン!









勇者「あ……あ、うあああ…!!」

勇者「どうしよう、どうしよう、戦いが始まっちゃった…!!」

勇者「とめなきゃ……止めなきゃ止めなきゃ止めなきゃ」ガクガクガクガク


84 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/03/02(金) 07:49:36 ID:5os1ZJ3g
魔王『くらえ!』

若王「ふんっ!余にその程度通じると思うてか!魔王!!」

魔王『! ふははははは!まこと面白き人間の王よ!!』

若王「ふっ!顔も見せぬ者が!その面を取ってから余を笑うといい!」キイイン






勇者「ひ、光よ!!」カッ

魔王『!』
若王「!」

勇者「いっ、今だ!防壁呪文!第三結界!」

魔王『なにっ、閉じ込められ――』

若王「よくやった勇者!!」バッ

魔王『ハッ!』
(しまった!)

若王「くらえ!!」

勇者「!! 待、や、やめて若王兄ちゃん!!」


85 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/03/02(金) 07:52:19 ID:5os1ZJ3g
パリィィイイン!

若王「うおおおおおお!!」ザシュッ

魔王『ぐっ…!!』

―ドサッ

若王「はあ、はあ……とどめだ」

勇者「やめて若王兄ちゃん!!」バッ

若王「!」

勇者「お願い!!お願いだからやめて!!」

若王「勇者……? 何故…」


86 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/03/02(金) 07:54:45 ID:5os1ZJ3g
魔王『ぐ……ぁ…』

勇者「ごめんなさい…俺が遅いから……弱いから…!役立たずだから! …ひっぐ、……本当に、本当にごめんなさい…………。俺一人で済ませるはずだったのに…」

魔王『なに…を』

勇者「ごめんなさい………


……嫌いになったよね、男」

魔王『!』

魔王『はあ……』カシャン


魔王「嫌いになるはずなど、…なかろう」

勇者「……ぁ」

魔王「どうした」

勇者「本当に……男だった……」

魔王「お前、自信がないのに私を呼んだのか」

勇者「うん」

魔王「……全く、私はいつもお前には振り回される…」


87 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/03/02(金) 07:58:13 ID:5os1ZJ3g
勇者「ねえ…男、言ったでしょ……ぐすっ…次会った時、お互いの望みを言うって…」

魔王「ああ…」

勇者「聞きたい……ぐすっ…教えて、男の願い」

魔王「そうだな…」



魔王「もう、同じだと思う、がな」

勇者「え?」

魔王「いいだろう。そら、同時に言うぞ、馬鹿勇者」

勇者「ば、馬鹿じゃないもん! じゃ、せ、せーのっ」








魔王「お前が欲しい」
勇者「男が欲しい」





88 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/03/02(金) 09:13:28 ID:wp9hHhPk
乙!!


89 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/03/02(金) 09:27:16 ID:2wKoEU.U
おつー


90 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/03/02(金) 09:41:38 ID:iN.4jVk.
乙だが魔王と勇者がくっつくSS多すぎじゃね


91 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/03/02(金) 11:14:04 ID:RQUtgjlQ
脇役たちが良い味だしてたなー
乙ー
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