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男「最近現実が二次元に侵略され始めてて困る」女「諦めなよ」1/4


男「最近現実が二次元に侵略され始めてて困る」女「諦めなよ」



1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:47:48.50 ID:wZBCjrPM0
男「……」

女「きっと良い事あるって」

男「叩き落してから普通に慰めんな。
  てか今のはどう考えてもお前に対する皮肉なわけだが」

女「ふふん、ボクは心が広いからね」

得意げな顔しやがって。

男「心が広いなら今すぐにでも俺を自由にしろ」

女「答えはNo.だよ、それとこれとは話が別だろ?」

女は青い瞳を細める。

女「だって面白いじゃないか」


SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1330994868(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)




元スレ
男「最近現実が二次元に侵略され始めてて困る」女「諦めなよ」
[SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServise掲示板]




2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:48:35.99 ID:wZBCjrPM0
男「……まあ予想してた流れだが、それよりもだ」

女「何だい?」

男「ボクっ子とかマジきもい」

女「ふふ、ハッキリ言うね」

男「三次元にボクっ子とか有り得ないから、媚売ってる様にしか見えん。
  それ以前に昨日までお前、自分の事『私』って言ってただろ」

女はあからさまに不満げな表情を見せた。

女「え~、そうかな。ボクは良いと思うんだけどな、キャピ♪」

男「……」

女「そんな顔しないでさ。ほら、元々私は男っぽい口調だし、日本語だとね。
  私にボクっ子属性がついたらボクっ子、美少女、金髪碧眼、お嬢様の4属性になるんだよ?」

男「それがどうした」

こいつが何を言いたいのかはわかるが、

女「完璧にラノベの主要人物クラスの個性が手に入るじゃないかっ!」クワッ

何故そんなにキラキラ楽しそうな顔してそんな事を言うのかが理解できん。
あと4属性とか欲張りすぎだろ。



3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:49:00.64 ID:wZBCjrPM0
女「別に構わないだろ? 私が素で話すのは男と会長ぐらいしかいないんだから」

男「……勝手にしろ」

女「でもやっぱりボクっ子は止めといた方がいいね」

どっちだよ。

女「だって私が男なんかに媚を売ってるなんて、天地がひっくり返っても有り得ないよ」ニコッ

男「こいつっ……!」

生徒女「あっ、男くんに女さんおはよ~」

男・女「「おはよう(ございます)」」ニッコリ



4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:49:27.65 ID:wZBCjrPM0
男「(よくそんなに裏表都合よく変えられるなお前)」

女「(男にだけは言われたくないね)」

生徒女「始業式も一緒に登校だなんて仲良いよね~」

男「あ、あはは……」

女「もう、勘違いしてもらっては困ります。
  高校への道がたまたま一緒なだけで、
  クラス委員としてこのクラスの落ちこぼれを引率してるだけですから」

俺は幼稚園児じゃねぇ。

男「……そういう事」

生徒女「でも男くんのクラスって特別選抜クラスでしょ? 
    私達のクラスに来れば一番頭良い筈なのにね、あはは」

男「そっちに行ったらよろしく頼むよ」





5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:50:02.05 ID:wZBCjrPM0
女「すっかり有名人な私達も今日から高校2年生だ」

男「あと2年もお前に巻き込まれ続けなきゃいけねぇのか……先が暗い」

女「頑張りなよ。ボサボサ頭、眼鏡の冴えない2属性の男でも活躍できる場面はきっとまだまだあるからさ」

こいつ、俺の負の属性のみを取り上げてやがる。
女は俺に微笑を浮かべて語りかける。

女「いざとなったらその眼鏡をとればいいじゃないか」

男「何の為にこんな事してると思ってんだ!?」


6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:50:33.65 ID:wZBCjrPM0
――――――――高校・教室

クラス男「よっ」

男「おはよう」

クラス女「へぇ、2年に上がれたんだね~、良かったじゃない」

俺はこのまま上がりたくなかった。

男「はは……理由はわからないんだけど……」

どうでもいいやり取りを終えて席に着く。

男「……だるい」

後方から声が届く。

友「どうした? 機嫌悪そう」



7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:51:34.47 ID:wZBCjrPM0
男「友か、……」ジロッ

友「……ああ、把握」

友「正直まだ信じられない、あの女さんがねぇ……」

男「あいつの本性なら全部話しただろ」

友「それでもさ~……」

会長「男くん!」

友は会長がいきなり喋ると毎回ビクッってなるな。

男「おはようございます、会長さん。今年も」

会長「そんな面倒くさいやり取りなんかどうでもいい。それよりも先生から聞いたわよ」

男「何をですか?」

会長はこの時を待っていたかのように顔をほころばせた。

会長「今日の始業式から1週間後のテスト、全教科70点以上とらなきゃ貴方下のクラスに落ちるって」

この人、テストの時期になると毎回話しかけてくんな……。



8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:52:04.42 ID:wZBCjrPM0
会長「流石に貴方も下のクラスにはいきたくないでしょう? 今度こそ真面目に勉強するのね」

男「……」

クラス女「ちょっと会長さん、一体何時の話持ち出してるの?
     男くんが頭良かったのって入学試験とクラス振分けの試験の時だけでしょ?」

会長「嘘ね、だって男くんは努力していないもの。
   ここのクラスの皆はテストの度に身を削る思いで勉学に励むけれど、
   男くんにだけはそれが見られない……怠けている証拠だわ」

クラス女2「……2回もテストで負けた事をまだ根に持ってるなんて陰湿」

会長「……うっ」

……この流れも聞き飽きた。

男「会長、先ほどの話は本当ですか?」




9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:52:35.59 ID:wZBCjrPM0
会長「えっ、そ、そうよ」

男「……」ニヤリ

テストの時の会長に関しては笑って済ませるのが一番早い。

会長「……まさか自信があるの?」

男「はは……ははは」

クラス女3「お、男くん……!?」

会長「……わかった、今度こそ負けない」

男「はははははははははははははは!」

会長「あははははははははははははははは!」

友「……何なんだ、これ」

ガラッ。

教師「……何を騒いでいる?」

男・会長「「いえ、何でもありません」」





10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:53:04.71 ID:wZBCjrPM0
教室は静まり返っている。

教師「……お前達も今日から高校2年生だ、大人としての自覚も育ってきている頃だと思う」

教師「このクラスで将来のビジョンが定まっていない奴はいないだろうし、私が何か言う必要はないだろう」

会長「……」

女「……」

教師「今のお前達に必要な事は、目の前の問題を解決する為に最大限の努力をする事だ。
   時には挫折し、またそれを乗り越える根性をつけて欲しい。その為に私も努力は惜しまないつもりだ」

教師「さて、今の私達の課題は一週間後に控えるテストなわけだが……」

何故俺を見る。

教師「良い結果が出る事を願うよ、以上だ」





11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:53:32.77 ID:wZBCjrPM0
友「息がつまりそうになった……流石は先生」

男「内容は最小限かつ最重要か、俺はあまり好かない」

友「あれ? 男って先生の事嫌いだったっけ?」

男「今日から嫌いになった」

他人に個人情報を話す様な人間は信用できん。

女「……」




12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:54:03.49 ID:wZBCjrPM0
――――――――帰路


男「やっぱお前が原因かよ……」

女「あは、バレちゃったかな?」

男「おかしいと思ったんだ、クソッ」

女「そんなにイライラしないでほしいな、普通の感覚の持ち主なら感謝する所だよ?」

男「どこに感謝する要素があんだよ」

女「テストも提出物も全然駄目な男くんの為に教師に弁解をする私。
  ああ、なんて優しいのだろうね。男が二次元の住民だったら一瞬で惚れてるね」

男「っは、やっぱスーパー金持ちの影響力は違うな」

女は俺の皮肉など意にも介さず言葉を続ける。

女「でも困った事にとうとう限界が来てしまったみたいなんだ」

男「俺は全然困らないんだが? むしろ大歓迎なんだが?」

女「しょうがないからここらで一発キメちゃってくれよ☆」

男「気軽に何言っちゃってんだお前!?」





13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:54:29.94 ID:wZBCjrPM0
男「いやいやいや、常識的に考えて不可能だろ。
  入学当時の2回のテスト以来ずっと学力・運動面において駄目駄目なこの俺がだぞ」

女「できるさ」

男「お前も俺が駄目な所散々見てただろ」

俺のアリバイは完璧だ。

女「いやあ、去年の学園祭は面白かったね。あの時の事覚えてるかい?」

男「っ……!」

女「運動神経がない筈の君のあの走りっぷりをさ」ニヤッ





14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:54:57.96 ID:wZBCjrPM0
男「……」

女「あ、あとどこから出てきたのか知らないけど君の入学試験の内容がこんな所に」ペラッ

男「俺の個人情報はどうなってんだ!?」

女「わぉ、すごいねぇ。君、後先考えずに試験受けたでしょ?
  流石は去年の新入生総代、……こんな馬鹿げた成績をとる人間がたった一年でここまで落ちぶれるものかな」

女「さて、もう一度聞いてみよう。 ……できるよね?」

死ぬほど愉快そうな顔しやがって。

男「俺の切ない一年間の努力を返せ畜生!」





15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:55:27.32 ID:wZBCjrPM0
――――――――男自宅

男「俺の馬鹿野郎!」バフン!

壊れない物にしか当たらないのは当然。

男「……どうしてこうなった」

男「思ってたのと違う、普通の高校生活ってこんなもんなのか……?」

想像してたのは生活してても、特に何も起こらない平凡な毎日だった筈だ。
あの女が原因の大半を占めている事は間違いないが……待てよ?

男「俺のクラスにまともな奴って……」

いや、待て待て待て。
俺のクラスにはどんな奴がいるんだ。
俺、あの女、友、大半坊ちゃまかお嬢様……。
…………。

男「……行く高校、間違えたな」

……まぁ転校するにも金に余裕がないから詰んだ事には変わりは無いが。

男「独り言多いな俺」






16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:56:06.14 ID:wZBCjrPM0
――――――――1週間後


女「おはよう、男」

男「……今日は一人で登校したい気分なんだが」

女「駄目だね、これは私と男の契約だからさ」

男「ならさっさと行くぞ」スタスタ

女「随分と早足だね、……それよりも今日は何の日か覚えてるかい?」スタスタスタ

男「また今日も入学当時の俺の失態を後悔するだろうな」

女は満足そうに口元をゆるめた。

女「期待してるよ」





17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:56:33.88 ID:wZBCjrPM0
――――――――学校・教室


会長が俺が席に着いた時に話しかけてきた。
どう見ても目元の隈を化粧で誤魔化しきれてない。

会長「ふふふ、今回は自信がある。誰よりも勉強したもの」

男「ソレハ、スゴイデスネ」

会長「……どうしたの? 顔色悪いわよ」

男「イエ、ソンナコトハ」

会長「まあいいわ、それよりもテストが待ち遠しいわねっ」

男「……アハハ」

……家帰りたい。





18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:57:01.04 ID:wZBCjrPM0
――――――――1週間後 学校・掲示板

<テスト 学年順位>

1位 男     

2位 会長     

3位 女

4位 友

以下略


会長「……嘘、あんなに勉強したのに」

クラス女「やっぱり男くんって頭良かったんだね、すごいよ」チラッ

会長「……っ」

会長をちらちら見ながら言うのやめろ、気まずいから。

男「……たまたまね」

会長「ここの試験で偶然なんて……有り得ないわよ」スタスタ

クラス女2「……いくら生徒会長でも3回もテストで負けると悔しいのかな、あはは」

男「……」





19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:57:33.59 ID:wZBCjrPM0
――――――――帰路


男「お前の所為で散々な目に遭った」

女「それは毎度の事じゃないかな、観念するんだね。
  良かったじゃないか、今のクラスになんとか残れる事になってさ」

男「嬉しくねぇ」

女「でも会長が可哀想だったね。
  一生懸命勉強したのに君は軽々と一位をとっちゃうんだからさ、慰めのメールを送ってあげないと」

男「何シンミリしてんだ! 原因はお前だろ!」

女「おや? 会長の件で感情を乱すとは同情でも感じてるのかい? 一年前とは大違いだね」

男「……」

女「あははっ、いいじゃないか。君も随分と他人に興味を持つようになったんだね、良い事だ」

男「俺はお前が嫌いだ」

女「私は君が好きだよ? ……面白いから」




20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:57:58.60 ID:wZBCjrPM0
――――――――高校・自習室廊下


時計の短針は8を指している。

会長「もうこんな時間、か」

最後に自習室を出るのはいつも私。そのくらい頑張った筈なのに。

会長「……悔しい」

プルルルルル

会長「……メール?」


【From】女
【Sub】遊ぼう
――――――――――――――――ー――――――――
 ちゃんと時間に気を遣った私は偉いだろ?
 用件は題名の通りだよ、遊ぼう。今高校の門の前にいるんだ。


会長「……ふふっ、これじゃ断れないじゃないの。
   夜遊びなんて生徒会長として許される事じゃないわ」

会長「……でも今日だけ、少しだけなら……いいよね」




21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:58:35.05 ID:wZBCjrPM0
――――――――男自宅


男「……腹減ったな」

『君も随分と他人に興味を持つようになったんだね』

男「上っ面だけだろ」

自然に顔が険しくなるのを感じた。

男「俺のどこが変わったって?」

部屋に高々と積まれているゲームを一瞥する。

男「……いや、変わった。すげぇ変わったが」

『お前は人間じゃない、……ただの機械と変わらないんだ』

男「……そんな簡単に芯まで変わるわけがねぇ」




22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:59:00.52 ID:wZBCjrPM0
ピピピピピ

男「……」ピッ


【From】女
【Sub】ちょっと来て欲しい
――――――――――――――――――――――――
 面白い事に巻き込まれたんだ。
 私の貞操の危機だから急ぐように。
 居場所は随時伝えるからよろしくね♪


男「随時伝えるとかいくらなんでも余裕ありすぎるだろ。 俺には関係ない」ピッ

ピピピピピ

男「……」ピッ


【From】女
【Sub】警告
――――――――――――――――――――――――
 役者が揃わないとつまらないだろ?
 もし来なかったら……君の事全部バラしちゃうよ。


男「……脅迫とかねぇわ」



23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 09:59:42.28 ID:wZBCjrPM0
――――――――街・表通り


女「遅かったね。じゃあ、役者は揃ったし行こうか」

男「……は? 何言ってんだ」

会長「この人が女の言っていた男の人なの?」

男「……ん」ジロッ

会長「ど、どうも(か、顔近い……)」ニコ

男「……はああああああああああああああああああああ!?」クワッ

会長「ひいッ」ビクッ

女「こらこら、会長を怖がらせないでくれよ」

男「おっ、お前これはどういう事だ!?」

女「ああ、さっきのは嘘だから」

男「はぁ!?」

女「女の子2人で夜の街を歩くなんて危険すぎるじゃないか、当然だろう?
  君にボディーガードを頼みたくてね。あ、勿論拒否権は存在しないよ?」

男「ざけんな! 自分で雇えばいいじゃねぇか! 金なら持ってんだろ!?」

女「やだよ、堅苦しい。それに金があるからって軽々しく使うわけじゃないよね?」

会長「あっ、あのもし都合が悪いのなら断って頂いても結構ですけど……」

女「ああ、君は本当にそんな奴なのかい? 本気で女の子を置いてきて家に閉じこもる臆病者なのかな」

男「っ……この……!!」

なんで俺はこいつに目をつけられちまったんだ。

男「……もう好きにしろ」


24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:00:13.72 ID:wZBCjrPM0
――――――――街・ゲームセンター

女「初めてゲーセンに来た感想はどうかな? 会長?」

会長「えっと……ちょっと騒音がすごいかも」

女「あー、駄目駄目。反応が冷えてるね、もっと良いリアクションしてよ」

女「『わぁっ、すごーい。色んなのがあるんだね~楽しそう~』とかさ、いつものキャラと違う感じで」

身振り手振りで楽しさを表現する女。

会長「素でそんな反応するのは小学生ぐらいなものだと思うけど……」

女「むむ、いつか見てなよ。必ず会長キャラの殻を破ってみせるから!」

会長「会長キャラって何なの……?」

女「さて、私はここらでお花を摘みに行ってくるよ。
  せっかくの機会だから会長は男と何か話してみたらどうだい?」

こいつ俺の名前あっさりバラしやがった。

男「……」ジロッ

会長「……あはは」

……顔見られちまってるし素でいくしかねぇな。


25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:00:51.09 ID:wZBCjrPM0
どうしよう、すごく気まずい。
女ってばこの人と友達じゃなかったの?
気を晴らそうと思ってきたのに、これじゃ逆に気が重くなるじゃない……。
……一緒に手洗いに行けば良かった。

会長「……」

男「……」

な、何が話題を……。

会長「瞳、青いんですね。やっぱり女の友達だから外国の方なんですか?」

男「まぁ……そうだ」

会長「あっ、髪は黒いんですね」

髪さらさら……。

男「染めてる」

会長「へ、へぇ~……、どうして染めてるんですか?」

男「言いたくない」

会長「そうですか……」

男「……」

会長「……」

女、早く帰ってきてお願い。


26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:01:18.21 ID:wZBCjrPM0
会長「……」

男「……」

会長「女なかなか戻ってきませんね、ど、どこ行ったんですかねー?」

会長は男に愛想笑いを向ける。

男「さぁ」

会長「……」

男「……」

会長「……なんだかすいません。都合が悪いのにこんな事を」

男「……敬語」

会長「……え?」

男「敬語とかいらないから。俺は会長?だっけか、会長に敬語を使うつもりはねぇ」

会長「あっ、すいま」

男「あと会長が俺に謝る理由がない、気晴らしの為にここまで来たんだろ。
  なら気にせずに思う存分遊べ、俺の役割はただの壁だ、無視すればいい」

会長「わかりまし」

男「……」ジロッ

会長「……わかった」

……怖い人じゃない、のかな?



27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:02:00.24 ID:wZBCjrPM0
女「ふふ、遅くなってごめんよ」

男「……」

会長「いいよ」

女「さて、何から遊ぼうか……会長は何かやってみたいのあるかな?」

会長「あ……じゃあUFOキャ」

女「やっぱりまず音ゲーからやるよね、普通は! じゃあ太鼓の達人でもやろうか!」タッ

会長「ちょ、ちょっと待ってよ」タッ

男「……結局お前が決めんのかよ」スタスタ


28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:02:43.93 ID:wZBCjrPM0
『フルコンボだどん♪』

女「……才色兼備の生徒会長も流石にきついかな?」

会長「もう一回! もう一回やるわよ!」

女「いいよ?」

もうこれで何回目だよ、これだけで11時回るぞ。

男「……ふあ」

会長「もう! また負けた! 女強すぎじゃない!?」

女「ふふ、昔はよくゲーセンに通ってたから。ここのゲームで負ける気はしないね」

会長「……そうだ! 次は男と勝負する! いいでしょ?」

女に勝つのは諦めたのか。

女「それは名案だね」ニヤ

男「2人でやってろ、だるい」

女「……中学時代」ボソッ

男「よし、俺は2Pでいいんだな」

いいだろう、2年間友からオタク文化について教わった俺の力を見せてやる。


29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:03:12.87 ID:wZBCjrPM0
男「……嘘だろ」

会長「やった! 勝ったわ!」

女「へーい」パシッ

俺の目の前でハイタッチをする女と会長。

男「何故だ」

女「君、ゲームの才能ないんじゃない?」

男「っ……3日だ」

女「ん?」

男「3日あればゲームぐらい完璧にこなせるわ!」

女「あー出た出た。『本気出してないから今の無しね』宣言とか女々しいよね? 会長」

会長「……そうね」

男「……」

女「あれ、もうこんな時間だね。最後に何か一つやって帰ろうか」

男・会長「「UFOキャッチャー(だな)(ね)」」

女「」


30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:03:40.00 ID:wZBCjrPM0
女「ふん、全く君達も性格悪いよね、私が唯一苦手な奴を指名するなんて」

男「いや、会長が初めからやりたがってたのはコレだ」

会長「そうよ」

男「つーか……何ガラスに張り付いてんのお前」

女「う、うるさいよ。ああ、なんて酷い商売なんだろうね。
  取れる筈もないのに、こんなにも面白そうな物を餌にして……財布の中身を全部吸い取るんだから」

なぜか女は急に遠い目をしだした。

会長「……貴方が見てるぬいぐるみってそんなに面白い物なの?」

女「会長は何を言ってるんだ? どう見ても可愛、いや面白いじゃないか! 君の眼は節穴だね!」

会長「ぷっ……あははっ」

女「何がおかしいんだ!?」

会長「あはは……、私ここに来て良かったかもしれない。女のそんな一面、今まで見たことなかったしね」ニコ

女「……く」カァアア

男「そろそろ帰った方がいい、終電がなくなる」

会長「あら本当、じゃあ出ましょうか、女」

女「」


31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:04:07.36 ID:wZBCjrPM0
――――――――街・表通り


女「ほら、早くしないと終電に遅れるよ?」タッタッタ

女の右手にはぬいぐるみが抱えられている。

男「……急に元気になったな」

会長「ふふ、子供みたいで可愛いんだから」

女はそのまま駅へ走っていった。

会長「……男、今日はありがとう。女にも言ったけど」

男「……だからそんなもんは」

会長「たとえそうでもお礼は必要よ?」

男「俺には理解できない」


32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:04:39.99 ID:wZBCjrPM0
会長「ふふっ、私と同じクラスでも男という名前の人がいるけど、まるで性格が逆ね」

それは俺だ。

会長「……でも」

会長が黒髪をかきあげ、黒曜の瞳で静かに俺の顔を覗き込んでくる。

会長「どこかで見たことあるような気がするのよね……」

男「気のせいだ」

会長「そうよね、うん。女がきっと待ってる、早くいきましょう?」

男「……そうだな」



33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:05:12.29 ID:wZBCjrPM0
――――――――駅


女「男が一緒に着いてくる意味なかったよね」

男「なら呼ぶんじゃねぇ!」

会長「女ったら……」

女「いやだってさ、普通あるよね? 
  男1人と美少女2人が夜中の街を歩いてたら起こるイベント、まぁ男一人で大勢と戦うとかさ」

男「どこの世界の基準だソレ!?」

会長「(漫才みたい……)」

女は急に気の毒そうな表情を見せた。

女「……男も残念だったね、せっかく私達にいい所を見せる機会だったのに」

男「ごく普通に生きてればそんな機会来る筈ないのにな!」

女「だから今日はもう用なし。帰っていいよ?」ニコッ

男「あー……、もういい、帰る」スタスタ

会長「あっ……」

会長「……行っちゃった、本当にいいの? 女」

女「いいのいいの、いつもあんな感じだしね」

会長「……なんというか、同情する」

女「それはどういう意味かな?」



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:05:42.80 ID:wZBCjrPM0
――――――――電車内


女「男はどうだった? 結構面白い奴だったでしょ?」

会長「面白いと言えば、まぁ面白いかな?」

女「微妙な反応だね」

会長「掴みどころがなさそうな人だったから……」

女「そうだね~、初めて会ったならまだわからないかな」

会長「女は何が知ってるの?」

女「まーね、色々知ってるよ。何か知りたい?」

会長「別に?」

女「えー、そこは乗っかろうよ」

会長「だって私そこまであの人には興味ないし……」

女「お、という事は気になっている人がいると?」

会長「ちっ、違うわよ!」カァアア

女「ふふ、わかりやすいね女は」

会長「本当に違うわ。気になっている人がいたとしても、……ただいるだけよ」

女「ん~、でも会長に告白されて断る男子なんているのかな」

会長「人には色んな事情があるの、女にもわかるでしょ?」

女「ああ、……わかるよ」


35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:06:10.72 ID:wZBCjrPM0
女「そういうわけで、男と私が友達になったキッカケについて話そうと思うんだけどいいかな」

会長「結局話すのね……」

女「簡潔に言うとね」

会長「うん」

女「知らない女の子が不良っぽいのに貞操を奪われそうな所へ私が首を突っ込んで、
  そこへ偶然通りがかった男を私が無理やり巻き込んだ」

会長「……それ、現実の話?」

女「当たり前じゃないか」

会長「一度でもそういう経験のある人っているんだ……」

女「ふふん、私はそんな事ぐらい何度も経験しているよ! すごいだろ!」

……男は何度も巻き込まれてるのね?



36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:06:43.24 ID:wZBCjrPM0
会長「もう少し詳しく話してくれない?」

女「おお、ちょっとでも興味が沸いてきたかな?」

会長はクスッと笑う。

会長「少し、ね」

女はご機嫌な調子で口を開く。

女「あれは一年前の事だったね。
  あの頃はまだ私も夜な夜なゲーセンに通っていて、よく街に来ていたんだ」

女「いつもの様にゲーセンに向かって歩いてたんだけど、途中で不良っぽい集団を見つけてね。
  学生かな? とにかく女の子が囲まれてたんだよ」

女「絡まれて何か反抗しちゃったんだろうね。
  血の気が引いた顔で周りに助けを求めた目線を彷徨わせていたのが印象的だった」

会長「それは気の毒ね……」

女「そうだね~。周りは見て見ぬ振りってヤツ、当たり前だけどね。
  誰だって痛い目には遭いたくないし、普通の神経を持っている人間ならってヤツだよ」

会長「でもそうはしなかったんでしょ?」

女「当たり前じゃないか。
  少し可哀想、とは思ったけど何より面白そうだったからね。後をつけてみた」

会長「貴方って本当にすごいわね」

女「む、そんな苦笑まじりに言われても困るな」




37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:07:13.82 ID:wZBCjrPM0
女「そのまましばらく後をつけていったら女の子がボロい建物に連れて行かれそうになってさ。
  その子すごい震えてたから、流石に可哀想になっちゃってね。友達の振りして声かけてみたんだ」

女「はぁーい、ミッキーだよ☆ 何やってるの? ってね。あ、ミッキーは偽名だよ。
  ふふ、あんなにミッキーミッキー連呼されたのは流石に生まれて初めてだったね」

某世界的有名キャラクターの声とそっくりだった、もはや某じゃないが。

会長「それで?」

女「……せっかちだなぁ。
  それで不良達は最初驚いてたけど、どうやら私まで襲う気になったらしくてね。
  こっちに詰め寄ってきたんだよ、5人ぐらいで。全く酷い話だと思わないかい?」

会長「よくそんなに意気揚々と話せるわね……」

女「ふふ、ここからが見せ場なんだ」




38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:07:45.90 ID:wZBCjrPM0
――――――――約1年前

DQN1「……君ってあの女の子のダチ?」

女「そうだね」

女「待ち合わせの場所にいなくて心配したよ。さ、行こっか」スタスタ

学生女の手を引いて、表通りに向かって歩き出す。

学生女「はっ、はい」

DQN2「勝手にどこ行こうとしてんだ?」ズイッ

女「……邪魔だなぁ、どいてもらえる?」

DQN2「はは、外人とか運がいいな。……俺達と一緒に遊んでくれるならどいてやるよ」

DQN3「騒いでも無駄だぞ? この時間帯でここを通る奴なんかいないしな」

学生女「……」ガチガチ

女「そっか」バチッ

どさっ。

生徒女「……え?」




39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:08:12.20 ID:wZBCjrPM0
DQN4「おいDQN2?……お前何しやがった!?」

女「そんなに吠えないでほしいな。ただのスタンガンだけど」バチッ

どさっ。

DQN5「てめぇ!」ガッ

スタンガンがはじき落とされた。
そしてすぐに両手が掴まれ、動きが封じられる。

女「っ! ……ったいなぁ、壁コンクリだよ?」

DQN5「何なんだお前……!」

女「そんな怖い顔しないでよ、ただの正当防衛じゃない」ニコ

DQN1「こいつも連れ込むぞ、……どうなるか思い知らせてやる?」





40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:08:45.65 ID:wZBCjrPM0
生徒女「いっ、嫌っ、嫌だぁ!」

DQN5「……なんだお前、震えてんのか」

女「顔近づけないでよ、汚いな」

……ちょっと困った事になってきたね。
架空のヒーローになるのはやっぱりキツかったかな。

???「……お取り込み中悪いんだけど」

DQN1「あ?」

女「……あはっ」

男「邪魔」

私は黒いジャージ姿のヒーローを見つけた。



41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:09:12.25 ID:wZBCjrPM0
女「……最高すぎるタイミングだね」

DQN1「今俺達が何してるかわかってんのか? なめてんじゃねぇぞ!!」

男「いや、そこ通り道。あんた達がいると通れない」

女「やっときてくれたんだねっ! 待ちくたびれたよ!」

DQN3「は?」

男「……あ?」

女「あのイケメンは私の彼氏さ! お前達なんか一瞬でぼっこぼこだよ!」

男「……何言ってんだ、こいつ」



42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:09:40.07 ID:wZBCjrPM0
男の周りをDQN3人が囲んでいる。

男「理解できん」

DQN5「たった一人で来るとか頭沸いてんのかテメェ!」

DQN1「覚悟はできてんのか?」

女「頑張れー! そんな奴らなんかボコボコにしちゃえ!」

生徒女「え……? でも……あの人関係ないんじゃ……」

男「いや、だから俺はそこを通りたいだk」

DQN3の拳が男の頬を捉えた。

DQN3「余裕ぶっこいてんじゃねぇ!」バキッガスッ

DQN1「オラッ」ドスッ

男「日本語、が通っじ、ねぇ」

男がDQN3人から一方的な暴行を加えられてる様を見て、女は深刻な思案顔になった。

女「うーん、二次元なら格好良くさらっと全員倒してる筈なんだけど……」

生徒女「そんな悠長な事言っている場合じゃないと思うんですけど!?」




43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:10:05.91 ID:wZBCjrPM0
どうなってんだ。
どうして俺は大人3人にボコボコにされてんだ。
……楽しそうな顔してんな、こいつ等。
大人しくしてても終わりそうにない。

男「……」

DQN1「ぎゃっ」

DQN3「あ? 何言ってんだ聞こえねぇぞオイ!」ドガッ

ズン、と胃に響くような音がDQN達の耳に届いた。

男「……」

DQN3「はっ……ぅ、ぅぇえ……」

DQN3が腹を押さえてうずくまる。

DQN5「……は?」

DQN5の視界に移っているのは、知らない間に倒れた仲間達と目前に立っている男のみ。

DQN5「な、何なんだよ畜生……」

男「俺が知るか」バキッ


44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:10:46.62 ID:wZBCjrPM0
「……」ガスガスガスガスガスガスガス

DQN達「ぎゃっ……も、がっ……もう、許し、ぐっ」

生徒女「あ、あの」

男の動きがピタリと止まる。

男「……何」

生徒女「そ、それ以上やったらまずいんじゃ……」

女「そうだよー、下手したら死んじゃうよ? 私達は平気だからさ」

男「お前達の事はどうでもいい」



45 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:11:27.66 ID:wZBCjrPM0
生徒女「え?」

男「こういう輩は後が色々と面倒だ。今ここでは何を言っても、いずれまた必ず同じ事を繰り返す。
  ならどうすれば良いか、……そんなのは簡単だ」ガスッ

DQN達「ぎゃっ」

男「本能に教えてやればいい。
  何を考えても、本能が拒否反応を示すようにしてやれば全て解決だ」ガスガスガス

生徒女「でもちゃんと話せばっ」

男「時間の無駄」ガスガスガス

生徒女「でも……」

女「……君の言っている事は一理あるけど」

男「……」

男は鋭い眼光を女につきつける。

女「完全に正しいってわけじゃないよね」

それに女は微笑で答えた。



46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:11:56.22 ID:wZBCjrPM0
DQN達「ひっ……も、もう許して、許してくれ」ガクガク

男「……こんなもんか」

男は女達に背を向けて歩き出す。

女「感謝するよ、ヒーロー君。君の登場タイミングは完璧だった」

生徒女「あっ、ありがとうございました……」

男「……」

男「……面倒臭い」スタスタ

女は静かに男の背中を見送り、呟いた。

女「……君は本当に面白い奴だ」



47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:12:31.26 ID:wZBCjrPM0
――――――――

女「というわけなんだよ(一部隠蔽)。どうかな、感想は」

会長「えっと……凄すぎてちょっと……」

女「いやぁ、あんなに楽しいイベントはそうそう巡りあえる物じゃないからね」

会長「普通有り得ないと思う」

女「そうかな?」

会長「……」

女「どうかした?」

会長「……男は、やっぱり怖い人だと思うのだけど」

女「んー、怖いかぁ……。微妙に表現の仕方が違うよ」

会長「……どういう事?」

女「正確に言うとね、男にとっての普通は私達の普通とは異なるんだ。
  それが私達にとっては怖い、と感じさせるわけ。まぁこの一年で随分と変わったけど」

会長「……え?」

女「だから男は私が出会った中で一番面白い奴なんだよ」ニコッ



48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:12:57.79 ID:wZBCjrPM0
――――――――翌日

男「約束が違う」

女「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。それに完全に約束を破ってるわけじゃないだろ?」

男「は?」

女「君と私の契約は『君の素性を周囲へバラさない代わりに私と楽しい学園生活を送ってもらう』だからね」

男「……もはや契約じゃねぇ、脅迫だ」

女「大丈夫だって、会長は口が堅いから。
  本当に嫌なら昨日の時点ですぐ帰ってたでしょ?」

男「……」

女「あ、あと君と私の再会について会長に話しちゃった件についてなんだけど」

男「約束が違う!」



49 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:14:20.03 ID:wZBCjrPM0
――――――――高校・屋上

友「た、大変だったんだね……」

男「最悪だ」

友「……」

男「……」

友「そうだ。昨日新しいゲーム買ったんだ、今度貸してあげる」

男「マジか」

友「うん、……でもそろそろ前貸した奴返して欲しいんだけど。その前に貸した奴も」

男「いや、返したいのは山々なんだが。難しくてな」

友「結構簡単なヤツ選んだ筈なんだけど……」

男「……」

友「また今度遊びに行こうか?」

男「助かる」

友「あっ、そろそろ昼休み終わるよ?」

男「……戻るか」



50 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:14:52.96 ID:wZBCjrPM0
友「あの人って……生徒会長だよね?」

男「お前は回り道して、教室に行け」

友「うん」

会長は床に散らばったプリント類と一人で黙々と集めている。

男「……」スタスタ

会長「あっ、……男くん」

男「手伝いますよ」

会長「いえ、いいの。これは自分のミスだから……」

男「同じクラスじゃないですか」

会長「……でも」

男「わかってます」

会長「え?」

男「わかってますから、大丈夫ですよ」

会長「……」ボソッ

会長の呟きに男が何か聞きそびれたのかと顔を向ける。
それに会長は少しはにかんで答えた。

会長「ありがとうって、言いたかったのよ」



51 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:15:18.30 ID:wZBCjrPM0
会長「これでよしっ」

男「一人で持てますか?」

会長「元々一人で持ってたんだから平気。それより男くんは先に教室へ向かった方がいいわよ?」

男「……そうですね。では」

会長「あ、ちょっと待って」

男「はい?」

会長「前から思っていたのだけど」

男「ええ」

会長「私は貴方に対して敬語なんか使ってないよね?」

男「まぁ、そうですね」

会長「なら貴方が私に敬語を使うのはおかしいと思うの」

……まさか言い返されるとはな。

男「……やっぱり生徒会長ですから」

会長「それでもやっぱりおかしいわよ」ジー

男「……」

会長「……」ジー

男は困ったように笑った。

男「……わかったよ」

会長「うんっ! 行ってよし!」ニコッ


52 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[]投稿日:2012/03/06(火) 10:15:55.98 ID:wZBCjrPM0
――――――――高校・教室

友「何かあった?」

男「別に」

友「そっか」

ガラッ。

会長「遅れてすみません……」

教師「重いものを持って来てもらってすまないな、ありがとう。机の上に置いといてもらえると助かる」

会長「はい」

クスクス……

友「ああ、そういう事なんだ。だから男は……」

男「……」

友「なんとかしないの?」

男「必要ない、そう思うなら友がやれ」

友「そ、それは……」

男「……相変わらずだな、お前は」


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