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死神「こんばんは、しにがみです」1/2


死神「こんばんは、しにがみです」


死神「こんばんは、しにがみです」



1 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/24(土) 23:49:22.23 ID:6QYPfskw0
初投稿、初SS、プロットあり書き溜め少量でほぼ即興、たぶん短め?

そんな感じで、お願いします。



2 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/24(土) 23:50:47.70 ID:6QYPfskw0
男「……はい?」

死神「しにがみです」

男「……コスプレ?」

死神「違います」

男「ドッキリ?」

死神「違います」

男(なにこいつ…電波?)

死神「違います」

男「心を読まれた!?」

死神「言ってみただけです」

男「」



元スレ
死神「こんばんは、しにがみです」
SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPService掲示板- VIP Browser




4 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 00:00:05.32 ID:oVL2KcwB0
死神「さあ、さっさと逝きますよ」

男「ちょ、どこへ連れて行くつもりだよ!?」

死神「死神につれていかれるところなんて、あの世に決まってるじゃないですか」

男「あ、あの世って…ちょ、ころされる!?誰か、誰か助けてー!」

死神「いや、もう死んでますってば」

男「たーすーけーてー!」

死神「あぁもう、おとなしくしてください」

男「だーれーかー!」

死神「いい加減n 「こーろーさーれーr」 黙れ」 男「ハイ」


5 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 00:19:34.05 ID:oVL2KcwB0
死神「まったく…年末で忙しいっていうのに、手間をかけさせないでください」

男「いや、いきなり死神とか言われても…」

死神「事実ですので」

男「刀持ってないし」

死神「必要ないでしょう」

男「えー。死神って言ったら刀持って虚と戦うんでしょ」

死神「それは漫画です」

男「デ○ノート持ってる?」

死神「それも漫画です」

男「いっぺん死んでみる?」

死神「それ死神じゃないです」


6 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 00:45:00.62 ID:oVL2KcwB0
男「そもそも俺、この通り生きてるし」

死神「死んでますよ?」

男「可愛い顔して冗談きついよww」

死神「冗談ではありませんよ。ほら、後ろを見てください」

男「後ろ?後ろになにが……へ?…え、なにこれ……血?」

死神「あなたの血ですね。この量だと、まず無理でしょうね」

男「……いや、やっぱりドッキリでしょ」
 「死んだって言うなら死体はどこだよ?これだって、どうせ血のりだろうし」
 「カメラどこ?いきなりこういうことされても反応に困るよ。テレビ的にも面白く無いっしょ」

死神「だから、ドッキリじゃないと言ってるでしょう」
  「はぁ…そんなに疑うのなら、ちょっとついてきてください」

男「いやいや、そんな手にはのりませんよ?」
 「連れていかれた先に怖いおにーさん達がいて金とられるんでしょうけど、そんなのに引っかかるほど馬鹿じゃn」

死神「いいから黙ってついてこいや」

男「ハイ…」



9 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 01:04:59.64 ID:oVL2KcwB0

ザワザワ

男「ん?なんか、通りの方が騒がしいな」

死神「そのようですね」



警官A「はーい、関係ない人は黄色い線から入らないでー」

警官B「はい、そうです。被害者は男性、腹部に重度の刺し傷あり。所持していた保険証から名前は――」

ガヤガヤ


男「……なんだよこれ。今あの警官が言ってたの俺の名前じゃん…刺された?え?」

死神「だから言ったでしょう」

男「そんな…そんな馬鹿な……お、おい、そこのあんた、これはいったいどういう…」


モブA「通り魔?現場ってこの路地の奥なんだろ?」

モブB「よくわかんねーけど、なんかすげー血が出てたみたい」


男「おい、無視すんなよ。ちょっと!」


モブC「刺されたやつ、救急車にのせられていったけど、ありゃ終わったな」

モブD「せっかくのクリスマス・イブだってのに、ヤダねー」


10 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 01:13:54.11 ID:oVL2KcwB0


男「どうなってんだよ…」

死神「これで分ったでしょう。今の貴方は霊体、いわゆる浮遊霊ですから誰の目にも見えないし、貴方の声も届かない」

男「いや、冗談だろ……おいあんた、無視しないでくれよ!」グッ

スルッ

男「…手が…すり抜けた?」

死神「もちろん、霊体ですから物に触れることもできませんよ」

男「…そ、そんな…俺はもう死んでる?…嘘だろ?」

死神「しにがみうそつかない」


15 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 01:53:35.62 ID:oVL2KcwB0
男「は、はは…マジかよ…」

死神「わかってくれましたか。それじゃあ、早速――」

男「……」

死神「?男さん?」

男「……ダ」

死神「はい?」

男「ヤダ」

死神「」


17 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 02:14:01.46 ID:oVL2KcwB0
死神「……わがまま言ってないで、早く逝きましょう」

男「いやだ、 絶対いかねー…」

死神「そんな事言っても、もう死んでいる以上はどうしようもないんです」

男「うるせー!いかねーっつったらいかねーの!」

死神「はぁ…あーもう、面倒くさいの担当しちゃったなぁ…」ポリポリ


18 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 02:28:56.74 ID:oVL2KcwB0
男「そもそも納得がいかねーっての」

死神「何がですか」

男「なんで俺が死んでるんだよ。今日はバイト終わって、ケーキ買って、帰ってただけだぞ!?」

死神「知りませんよ。私はうちの管轄で死人が出たから回収しにきただけですから」

男「あんた死神だろ、神様だろ?そのくらい分かるじゃねえの?」

死神「死神と言っても外回りですからね。そういうのは上司に聞いてください」

男「上司いるんだ」

死神「ええ、まあ、一応。別に理由を聞かなくても、あの世に連れていけばいいだけですしね」

男「なんていうか、大雑把だなー」

死神「そもそも、年間に何人の人間が死んでると思うんですか。いちいち死の理由なんて聞いてられませんよ」

男「まぁ、たしかに…」


19 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 02:51:09.71 ID:oVL2KcwB0
死神「つまり、貴方が死んだ理由が分かれば大人しくついてきてくれるんですね?」

男「…あぁ」

死神「分かりました。それでは今日の貴方の行動を思い出してください」

男「思い出すって…さっき言った通りだぞ?」

死神「そうではなく、今日一日の行動を思い出すんです」
  「おそらく貴方は死んだ時のショックで忘れているだけです」
  「一日の行動を1つ1つ思い出して追跡すれば、死の瞬間の記憶もよみがえるはずです」

男「…なるほど」


29 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 16:46:04.30 ID:oVL2KcwB0
死神「それでは、まずは朝から思い出してみましょう」

男「朝は、起きてから飯食ったりバイトの準備したくらいかな」

死神「そのあとは?」

男「バイト先へ行って、夜まで一日中働いてた」

死神「…寂しい一日ですね」

男「うっせーよ」

死神「イブというのは、家族や親しい人間といっしょに過ごすものと聞いていますが」

男「…一人暮らしだし、そういう付き合いもなかったし」

死神「やはり寂しいものですね」

男「放っとけ」グスッ


30 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 17:04:17.68 ID:oVL2KcwB0
死神「それで?」

男「…それでって?」

死神「そのあとですよ」

男「そのあとって言ってもな…バイト終わって、ケーキ買って帰るだけだったしな」
 「それで、帰る途中で気づいたらあんたが目の前にいた、と…」

死神「…はぁ、仕方がないですね。やはり、実際に行動を追跡したほうがいいでしょうね」

男「まぁ、いいけど…俺が住んでるアパートまでは大分かかるぞ?」

死神「問題ありません」
  「『魂は千里を一日で駆ける』と言われているように、霊体である私達には物理的距離はあまり関係ありません」

男「へぇ、そうなのか」

死神「そうなのです。それでは、早く行きますよ」ガシッ

男「え、ちょ、うお!?」グイッ




 
32 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 17:17:17.33 ID:oVL2KcwB0
男「おー、すげえ。ホントに一瞬でついた…」

死神「貴方の部屋はどこですか?」

男「こっちだ…あっ」

死神「どうしました?」

男「部屋の鍵……俺のしt…っ…体の方にあるんだけど…」

死神「それも、問題ありません。肉体が無いのですから、こうすれば」

スルッ

男「おお!?壁をすり抜けやがった…えーと、よっと…」

スルッ

男「…ホントにできた」



33 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 17:42:45.16 ID:oVL2KcwB0
死神「ふむ…なんというか、殺風景な部屋ですね」

男「…」

死神「貴方くらいの年齢でしたら、もう少し色々とあると思いますが…」

男「別に…生きていくだけならこれで十分だろ…」

死神「?まあ、私には関係ありませんか。それでは、ここから行動を追って行きましょう」スルッ

男「…あれ?部屋に入る意味あった?」

ヌルッ

死神「なにしてるんですか、早く行きますよ」

男「うぉぅ生首!?」

死神「私ですよ」

男「お前だったのか」

死神「暇を持て余した」

男「神々の」

男・死神「「遊び」」

男「……」

死神「……///」

男「……いきますか」

死神「はい……///」



 
38 名前: ◆dUccESCegJM5[saga]投稿日:2011/12/25(日) 22:36:37.68 ID:oVL2KcwB0
死神「それで、バイト先というのはどこですか?」

男「駅まで10分、電車で20分、そこからまた歩いて10分くらい」

死神「わかりました。それでは行きましょう」

男「あれ、歩いて行くの?」

死神「行動を追うと言ったでしょう、先程の様な移動では意味がありません」

男「そっか」



男「……」

死神「どうかしましたか?」

男「いや、道の真ん中歩いてるのに誰も避けて行かないから、ホントに俺たちのこと見えてないんだなーって」

死神「当たり前でしょう、死んでいるんですから」

男「まぁ、そう言われればそうなんだが…」


 ――……同じだな…――


死神「なにか?」

男「いや、なんでもない」




 
40 名前:イブどころかクリスマスも終わるけど気にしたら負け ◆dUccESCegJM5[saga]投稿日:2011/12/25(日) 22:58:59.99 ID:oVL2KcwB0
男「改札口も素通りか。なんか幽霊も悪くないかも」

死神「ぼーっとしてないで、早く乗りますよ」



男「混んでるなー…」

死神「休日ですし、イブですからね」

男「それもそうか…ん?」

死神「なにか?」

男「いや、あそこにいる女の人…なんか様子が変だなって」

死神「あぁ、痴漢のようですね」

男「げっ、マジかよ」

死神「まったく…人間というのはどうしてこうも欲にまみれているのか…」

男「いや、そんなことより、何とかしないと」

死神「無駄ですよ。私達には何も出来ないとわかっているでしょう」

男「わかってるけど、それでも何かさ…」

死神「…やれやれ……代償はしっかりいただきますからね…ゴニョゴニョ…」

男「え、代償っt 「…ゴニョゴニョ…」 ちょ、なに代償って!?」

死神「黙っていてください」


41 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 23:18:19.63 ID:oVL2KcwB0
おっさん「フトモモハァハァww」

ナデナデスリスリ

女性(……気持ち悪いよう…でも怖いよう…)

おっさん「フヒヒww」

女性(…うう……あれ?やめてくれた…?)

おっさん「ハァハァwww」

「…ちょっと」

ガシッ

おっさん「フヒ!?」

おばちゃん「あんた、あたしのおしり触ったわよね!?」

おっさん「チョッwwチガイマs」

おばちゃん「とぼけるんじゃじゃないよ、触ってた腕を掴んだんだから!すいませーん!この人痴漢です!」

ザワザワ エーマジ? サイテー ザワザワ オイ、ダレカコイツツカマエトケ


42 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 23:39:02.20 ID:oVL2KcwB0
男「…えーと、何がおきたんだ?」

死神「あの者の運命をちょっと弄っただけです」

男「死神すげぇ」

死神「代償として、貴方の徳を消費しましたけどね」

男「徳?」

死神「生前につんだ善行です。徳が高ければ天国にいけますが、低ければ地獄行きです」

男「ほうほう……ん?ということは俺、地獄行き!?」

死神「まあ、あの程度ならそれほど影響はないでしょう」

男「…ハァ…びっくりした…」

死神「あの世での待遇が変わりますけどね」

男「どのくらい?」

死神「豪華ディナーがメザシ一匹になるくらいです」

男「…なんだか地味だな。…まぁ、あの人が助かったんだから良いか」

死神「…」


43 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/25(日) 23:54:47.61 ID:oVL2KcwB0
死神「…貴方、いつもそうだったのですか?」

男「どういう意味だ?」

死神「お人好し、という意味です。生前は、さぞや損な役回りだったのでしょうね」

男「…いや、別にそんなことはなかったけどな」

死神「はい?」

男「むしろ、ああいうのは見て見ぬふりしてたというか……あれ?」

死神「何を言っているのですか」

男「いやー、なんだろう。なんだか急に、何かしたいって思ったんだよな…」

死神「…意味がわかりません」

男「俺もさっぱり…あ、次の駅で降りるよ」


44 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/26(月) 00:08:15.73 ID:YFMS771P0
男「さて、駅からバイト先まで、特に何もなく来たわけだけど…」

死神「何か思い出しましたか?」

男「いや、さっぱりだな」

死神「はぁ…本当に面倒な人にあたったものですよ…」

男「大変ですね」

死神「だ れ の せ い で す か」

男「ごめんなさい…」

死神「まったく…」



47 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/26(月) 01:49:17.83 ID:YFMS771P0
男「バイト中は特に何もなかったかな」

死神「バイトのあとは?」

男「そこのケーキ屋でケーキ買って、そのまま帰ったぞ」

死神「…一つよろしいでしょうか?」

男「ん?」

死神「その買ったケーキというのは、一人で食べるのですか?」

男「」

死神「ん?」

男「……シクシク…」

死神「ああ、その…」

男「サミシクナイ、サミシクナイ…シクシク…」

死神「ああ、もう。そんな、泣かないでくださいよ。よしよし」ナデナデ

男「グス…」


48 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/26(月) 02:00:30.67 ID:YFMS771P0
死神「落ち着きましたか?」

男「…なんか、すみません」

死神「いえ、お気になさらず。それで、このあとのことですが…」

男「えっと、帰りは来た時の道が混雑してたから違う道を通ったんだ」

死神「先ほど、貴方が死んだ路地のある方ですね」

男「あぁ…」

死神「行きましょう」


49 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/26(月) 02:27:42.32 ID:YFMS771P0
死神「それにしても、賑やかなものですね。もう随分と遅い時間だと思いますが」

男「まぁ、年に一度の祭だしなぁ」



死神「もうすぐ、あの路地ですね。どうです、何か思い出しましたか?」

男「うーん…なんだろう…思い出せそうな、そうでないような…」

死神「ふむ、もう一歩というところでしょうか」

男「それにしても、誰が俺のことを刺したんだろう…」

死神「それを思い出すために、わざわざこうして歩いているのでしょう」

男「それはそうなんだけど…」
 「そもそも俺、そういう危ないことに首を突っ込むような方じゃなかったから、刺される理由なんてさっぱりで」

死神「野次馬の人が言っていたように、通り魔というものだったんじゃないですか?」

男「うーん…」


50 名前: ◆dUccESCegJM5[sage saga]投稿日:2011/12/26(月) 02:29:40.83 ID:YFMS771P0
今日はここまでにします
明日には終われる…かな?


51 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]投稿日:2011/12/26(月) 07:56:09.32 ID:/ucc9fy70
お疲れかつ丼


52 名前: ◆dUccESCegJM5[saga]投稿日:2011/12/28(水) 00:55:35.12 ID:R26PXfpL0
なんでこんなに忙しい時に書き始めたのか…数日前の自分を叱ってやりたい

昨日、少しずつ書きためた分を投下していきます


53 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 00:56:57.74 ID:R26PXfpL0
死神「もう、路地の前まで来ましたね」

男「ああ…」
 (……見覚えは、ある。いや、思い出した、のか…さっきはなんとも思わなかったけど…)

死神「男さん?」

男(この真っ暗な路地の入口……確かに俺は帰り道でここに立っていた……でも…)

死神「おーい、男さ~ん?」

男(何か…何かが足りない?あの時あって、今無いもの…)

死神「しにがみむしすんなー」


54 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 01:03:00.93 ID:R26PXfpL0
男「何か…」

死神「え?」


キャー!


男「!」ビクッ

死神「おや、なんでしょう」


ウー、コロンダー ナニシテンダヨー モウ、サイアクー


死神「やれやれ、人騒がせ…いえ死神騒がせですね。ねえ、男さん……男さん?」

男「…ぁ……ぁあ……」ガクガク

死神「男さん!?どうしたんですか!」

男「そう…だ……そうだった……」ガクガク




――…あのときも……悲鳴が聞こえたんだ……――




55 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 01:14:40.35 ID:R26PXfpL0
「おつかれっしたー」

「?今なんか聞こえたような…」

  ――…誰かっ…きゃあ!

「悲鳴?…こっちの路地から?」

「…何考えてんだ…面倒なことには関わるな、危険なことには首をつっこむな、そうすれば…」

   ――イヤァ!誰か、助けてー!

「…くそっ!」


56 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 01:22:25.22 ID:R26PXfpL0
「ぉ…お、おい!お前、何してんだよ!?」

    「…オレは悪くないのに、なんでクビにされるんだよ……ぜんぶ…全部ぶっ壊してやる…殺してやる…」

「んなっ…そんなもの振り回すなよ!?くっ、この……おい、あんた早く逃げr」

 「あっ、後ろっ…危ない!」

「え…」

ドンッ

「…あ、れ?」

    「あ、あぁ…お、オレは…オレは悪く…う、うわああぁぁ……!!」

(なん、だ…?力が、入らない…)

「大丈夫ですか!?あ、いやっ…しっかりしてください!」

(あつい、熱い、アツイ……痛い?俺…刺されたのか?)

(…何も見えない……昏い…暗い……闇い……)

(……)


57 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 01:52:14.05 ID:R26PXfpL0
男「……俺、ずっと幽霊だったんだ」

死神「どういう意味ですか?」

男「目的もなくて、やりたいこともなくて、」
 「誰かに関わることなく、誰からも見られることもなく、」
 「そこにいても、どこにもいなくてさ」

死神「…」

男「ただ毎日を、なんとなく生きてる。……生きてるだけ……息をしてる、それだけで…」
 「そんなの、死んでるのと同じだろ?」

死神「…それで、『幽霊』と」



58 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 02:11:22.33 ID:R26PXfpL0

男「さっきアパートから歩いて来る間、誰にも気付かれないのを見ててさ」
 「生きてても死んでても、結局は同じなんだなーって。改めて自分が『幽霊』だって感じたよ」

死神「その『幽霊』だった貴方が、どうしてそんな危険な真似を?」

男「…なんでだろうな…俺にもよくわかんねーよ」

死神「自分のことなのに、ですか?」

男「自分のことだから、かなぁ?」

死神「…よく、わかりません…」

男「まったくだよな…」



59 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 02:17:41.70 ID:R26PXfpL0
男「…そうだな…多分、『助けて』って聞いちゃったからかも」

死神「『助けて』、ですか」

男「俺は何もしない、何も出来ない『幽霊』だったけどさ」
 「死ぬまでに一度くらいは誰かの役に立ちたいって、そう思った…のかな」

死神「……それで本当に死んでどうするんですか…」ハァ

男「ホント、そのとおりだよな」


60 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/28(水) 02:25:31.88 ID:R26PXfpL0

男「まあ、あれだ。下心がまったくなかったわけでもないかな」

死神「助けたお礼にその女性と、とでも?」

男「まぁ…ちょっとだけ……///」

死神「何ですかその都合の良い思考回路は、童貞ですか」

男「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」

死神「違うんですか?」

男「あ、いや…」

死神「……」

男「……」

死神「……」

男「……」

死神「……プッ……フフッ…」

男「……くっ…くく……あっははっ」



65 名前: ◆dUccESCegJM5[saga]投稿日:2011/12/31(土) 22:19:18.34 ID:X8GBRKHe0
男「さてっと。死んだ理由も分かったことだし、そろそろ逝きますか」

死神「もう、よろしいのですか?」

男「ああ。これ以上、死神さんに迷惑かけるわけにもいかないしな」

死神「まったくです。…まあ、貴方が地縛霊にならずに済んでなによりです」

男「自爆霊?」

死神「爆発してどうするんですか」


66 名前:sage忘れた… ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 22:30:29.89 ID:X8GBRKHe0
男「えっと…あれだろ?死んだところから離れられないっていう」

死神「はい。不慮の事故などによって、自らの死を受け入れられない、理解出来ない…」
「そんな人は地縛霊となって死んだ土地に縛られ続けます」
「ああ、殺されたりしても憎しみや恨みといった強い感情によって地縛霊化しますね」

男「うわっ、俺そのまんまじゃん」

死神「ですから、そうなる前に死んだことを理解させるのも私たちの仕事の1つなんです」
「まぁ、無理やり連れていくことも出来きますが…」

男「…なんか不味いの?」

死神「土地とつながった霊体を無理やり剥がしますので、かなり痛いです」

男「どのくらい?」

死神「……」メガオヨグ

男「え、何その反応、ちょ、こわっ!?」


67 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 22:41:46.62 ID:X8GBRKHe0
死神「…こほんっ……大丈夫です、貴方はちゃんと自分の死を受け入れましたから、安心して下さい」

男「ホントに?」

死神「はい。あとは私が責任をもって、あの世へとご案内いたしましょう」

男「…そっか。よし、それじゃあ、よろしくお願いします」

死神「はい」

男「なんか、死神さんとは出会ってまだ少ししか経っていないのにすごく名残惜しいな」

死神「正直に言いますと、私も少しだけ……いつもは死者を見つけて連れていくだけでしたから」

男「ははっ…ホントにご迷惑をおかけしました」ペコッ

死神「ふふっ、もういいですよ。さあ、一緒に逝きましょう…」スッ

男「はい」ギュッ


68 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:11:24.64 ID:X8GBRKHe0
フワッ……ガクンッ

男「ん?」

死神「え?」

男「……あれ?」

死神「あの、踏ん張らないでもらえますか?」

男「いや、そんなことしてないんだけど…あれ?」

死神「…ちょっと、いいですか」

男「あ、はい」

死神「」ジー

男「…あの」

死神「…」ジー…

男「……」

死神「……な…」

男「…な?」

死神「なんで地縛霊化してるんですか」

男「え」


69 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:23:25.23 ID:X8GBRKHe0
死神「なんですか、ふざけてるんですか」ズイッ

男「え、いや、俺は別に…」

死神「ふざけて地縛霊化とか、ふざけてるんですか」ズズイッ

男「あの、落ち着いてください…?」

死神「……ありえません……こんなの…グスッ…こんなに苦労したというのに……」ウルウル

男「その…元気出してくださいよ」

死神「……ずっと地道に…ヒクッ…がんばってきたというのに…どうしてこんな目に……」ズーン…

男「えっと…あの……」
 (お、俺が悪いのか!?)

死神「…グスンッ…」


70 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:28:37.36 ID:X8GBRKHe0
死神「…すみません…グスッ……お見苦しいところをお見せしてしまって」ゴシゴシ

男「いえ…」
 (むしろ、拗ねたような表情が可愛らしかったっていうか…)

死神「…私の顔になにかついていますか?」

男「え、いや、なにも?」

死神「そうですか?…さて…なぜ貴方が地縛霊化してしまっているのかについてですが…」

男「死んだ理由はわかったし、ちゃんと自分が死んだってことも理解してるぞ?」

死神「ええ…ということは、他の要因があるのでしょう」

男「他のって言われてもな…」


71 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:34:45.14 ID:X8GBRKHe0
死神「その通り魔に対して、恨みや憎しみを持っているのでは?」

男「それが、別に恨みとかは感じてないんだよな」

死神「貴方を殺した犯人なのにですか?」

男「『幽霊』だった俺でも、あの被害者の人を助けられたっていう満足感があるからかな」

死神「そうですか…それでは、何か悔いが残ることがあったとか…」

男「悔いが残ることねぇ…」

死神「やり残したことはありませんか?」

男「やり残したこと……うーん…………………………あっ」


72 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:42:42.88 ID:X8GBRKHe0
死神「あるんですね?あったんですね?早く言ってください、さあ早く」

男「ちょ、ちょっと落ち着いて!」

死神「…失礼しました」

男「えっと……あるにはあったんだけど…その…」

死神「なんですか?私ができることでしたら手伝いますよ」

男「あー…あのとき、意識がとんでいく中でさ、ふっと頭に浮かんだんだよね…」

死神「だから、なにがですか」

男「その……」

--

男「………………………………一度もシないで死ぬのはやだなー……って///」


73 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:51:28.74 ID:X8GBRKHe0
死神「」

男「///」

死神「……」

男「……///」

死神「は?」

男「……」アセダラダラ…

死神「……やっぱりふざけてるんですね、ふざけてるんでしょう。えぇ、そうですとも、そんなふざけた理由で地縛霊になられてたまるものですか。ふふっ、そんなふざけた貴方にはお仕置きが必要ですね。なにがいいですか、鞭ですか縄ですか蝋燭ですか。それとも磔ですか釜茹でですか石抱きもいいですね」

男「うわあ!?スト、ストップ!つーか後半お仕置きとかいうレベルじゃねえ!?」


74 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:54:43.14 ID:X8GBRKHe0
死神「」プクー

男「あの、死神さん。その…機嫌直してくださいよ…」
 (うわー、むくれてる表情も可愛いな…)

死神「知りませんっ」プイッ

男「あ、あはは…」
 (やっぱり可愛い……でもさっきのは本気で怖かった…さすがは死神だ)

死神「……本当ですか?先ほどのことは…」

男「えっと…多分、はい…もう、他に思い当たることもないので…」

死神「……そうですか」


75 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2011/12/31(土) 23:57:09.22 ID:X8GBRKHe0
男「まぁ、どうしようもないっすよね。今更どうこう出来るものじゃないし」
 「痛いのはちょっと嫌ですけど……これだけ死神さんに迷惑をかけたんで、それくらいは我慢しますよ」
 「だから、ひと思いににバチッと切り離しちゃってください!」

死神「……」

男「…死神さん?」

死神「はぁ…」スクッ

男「…あの?」

死神「……ます」ボソッ

男「え?」

死神「……私が、してあげます……そういったんです…」



79 名前: ◆dUccESCegJM5[saga]投稿日:2012/01/02(月) 02:23:12.67 ID:NDhlSWUm0
男「へ?」

死神「……」

男「…あ、あは…死神さんもそんな冗談言うんだなー…なんて……」

死神「……こんなこと、冗談で言うと思いますか?」

男「…えっと……本気?」

死神「言ったでしょう。私にできることであれば手伝うと」

男「いや、手伝うとかそういう類のものじゃ…」

死神「そういう類のものですよ。私は貴方をあの世へ連れて逝きたい、貴方はシないとあの世に逝けない」
  「だったら、そうするのも仕事の内です」


80 名前: ◆dUccESCegJM5[saga sage]投稿日:2012/01/02(月) 02:30:17.20 ID:NDhlSWUm0
男「仕事って…仕事でそういうことをするのか…?」

死神「当たり前です。死者の魂をあの世へと連れて逝くこと。それが死神の仕事、それが私の役目ですから」

男「そんなっ」

死神「貴方にとっては最期に良い思いをして逝けるんです。何も問題はないのではないですか?」

男「…っ……分かりました…じゃあ、さっさと終わらせましょう…」

死神「そうですね」

男「……」ギリッ


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[ 2012/02/10 21:10 ] 神様SS | TB(0) | CM(0)
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