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さやか「あたしって、ほんとバカ」まど神「さやかちゃん……」1/2

さやか「あたしって、ほんとバカ」まど神「さやかちゃん……」


 さやか「あたしって、ほんとバカ」まど神「さやかちゃん……」


1 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/13(金) 01:21:39 ID:PPu7JKUY
さやか「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない」

さやか「あたしたち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」

杏子「お……おいさやか」

さやか「あたしって、ほんとバカ」ピシッ



パッ

まど神「さやかちゃん……」

さやか「!?」



元スレ
さやか「あたしって、ほんとバカ」まど神「さやかちゃん……」





2 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:26:53 ID:PPu7JKUY
さやか「ま、まどか!? 何であんたがここに……? 大体あんた、その恰好……」

まど神「うん……わたしも、魔法少女になったんだ」

さやか「うそ、あんたいつの間に……。まさか、あたしが『あんたが戦ってよ』なんて言っちゃったから……」

まど神「違うよさやかちゃん。これはわたしが自分で考えて出した答えだから」

まど神「それにね、この時間の『わたし』はまだキュゥべえと契約してないんだ」

さやか「ど、どういうこと?」



杏子「おいさやか!一体何一人で喋ってんだ?」

さやか「!?」

さやか(杏子には見えてない……?)


3 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:30:08 ID:PPu7JKUY
まど神「今のわたしは、さやかちゃんにしか見えないし声も聞こえないんだね」

さやか「そうなんだ?」

まど神「わたしの願いは全ての時間の全ての魔女を生まれる前にこの手で消し去ること」

まど神「希望を信じた魔法少女が最後まで笑顔でいられるために」

まど神「魔法少女が誰も呪わなくていいように、みんな私が受け止めてあげたい」

まど神「だから絶望に染まる前に、こうやって迎えに来ているんだよ」

さやか「……そっか。はは、まどからしい願い事だね。やっぱりまどかは……優しすぎるよ」

まど神「さやかちゃん……」

さやか「ありがとう、まどか。わざわざ迎えに来てくれて。さ、連れてってよ」

まど神「………………」


4 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:35:35 ID:PPu7JKUY
まど神「……どうしても、連れて行かなきゃ、ダメ、かな……」

さやか「まどか?」

まど神「どうしても、さやかちゃんがこの世界に絶望したまま連れて行かなきゃダメなのかな」

さやか「………………」

まど神「いろんな時間の魔法少女の最期を導く概念になってからこんな思いをするなんて考えもしなかったけど」

まど神「やっぱりさやかちゃんには絶望なんかに負けてほしくないかなって」

さやか「まどか……」

まど神「やっぱり大切な親友のさやかちゃんには希望を持ってずっと生きててくれたら、それはとっても嬉しいなって」

さやか「……そっか、ありがとう。まどかの気持ち、伝わったよ」

さやか「まどかはあたしなんかよりずっと辛い戦いの道を選んだんだもんね」

さやか「そんなの見せつけられたら……あたしもこんな所でへこたれてるわけにはいかないよね!」


5 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:41:26 ID:PPu7JKUY
杏子「……やか!おいさやか! しっかりしろ!」

さやか「……杏子……?」

杏子「ったくよ、気が触れたかと思っちまったよ」

さやか「……うん、あたしはもう大丈夫」

杏子「大丈夫ってアンタさっきまで……」

さやか「あんたには本当に手間かけさせちゃったね。ごめん」

さやか「でも今のあたしは、もう少しだけ希望を持って生きてみようって思えるようになれたから……もう心配ないよ」

杏子「……その言葉、信じていいんだな? ならコイツを今すぐ受け取るんだ」

コロン

さやか「……これは……」

杏子「アンタが倒した魔女が持っていたグリーフシードだ」

杏子「本当に生きてみようって言うんなら、アタシの目の前でコイツを使ってみろよ」


6 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:49:08 ID:PPu7JKUY
さやか「……ありがと」コツン

シュウゥゥゥ

杏子「ホント、面倒掛けさせやがってよ。まぁどういう心境の変化か知らねぇけど希望が見えたってんなら悪くないか」

さやか「……アンタの考え方は、やっぱりあたしには受け入れられない部分があるけどさ」

杏子「……まだそんな事をっ」ギリッ

さやか「あたしはね、世界で自分がたった一人ぼっちだと思ってた。あたし一人が誰も知らないところで苦しみ続けているって」

さやか「でもそうじゃないんだって、大事な親友に気付かされたんだ。同じように苦しんで、それでも戦い抜いてる人がいるって」

杏子「さやか……」

さやか「杏子もさ、あたしのことをずっと心配していてくれてたんだよね」

さやか「あたしが何もかも、自分のことすらも冷静に考えられなくなっていても」

さやか「別の部分に目が行っちゃって、あたしはそんなことにも気がつけなかったけど」

杏子「……そんなんじゃ、ねぇよ……」

さやか「ありがとう、杏子」

杏子「!? ……ふん、あばよ」ダッ


7 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:52:23 ID:PPu7JKUY
ほむら「佐倉杏子、美樹さやかは、もう……?」

杏子「一先ずは心配ないね。グリーフシードを使ってソウルジェムの汚れは取り除いたし、心の方も落ち着いたみたいだよ」

ほむら「何ですって!?」

杏子「へー、冷静だと思ってたアンタも意外な反応するんだな。まあついさっきあんなに拒絶されたばかりなんだ、仕方ないか」

ほむら「そう……(ここまでの状況に陥って、美樹さやかが魔女化しないなんて事、今まで……?)」

杏子「さて、アンタに一つ聞きたいことがある」

ほむら「何かしら?」

杏子「ソウルジェムに関する何かしらの秘密を知っているんだろ?」

ほむら「………………」

杏子「聞かせなよ。魔法が使えなくなるってだけじゃ済まないんだろ?コイツが濁り切ったらどうなるかをさ」


8 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 01:58:29 ID:PPu7JKUY
~真夜中の駅~

さやか「こっちのまどかとは、これでお別れだね」

まど神「えっ?」

さやか「あたしはもう大丈夫。まどかは他の魔法少女も迎えに行く仕事があるんだよね?」

まど神「わたしは他の子のところにも同時に存在してるから大丈夫だよ」

まど神「今ここにいるわたしはさやかちゃんを迎えに来ただけの存在なんだ」

さやか「ふーん、そうなんだ。じゃあこっちのまどかはこれからどうすんの?」

まど神「本当はわたしはただ魔法少女の絶望を受け止めるだけの概念なんだ」

まど神「でも……もしよかったらなんだけど、もう少しさやかちゃんと一緒に過ごしたいかなって」

さやか「……うん。まどかがよかったら、いいよ」

まど神「えへへ、嬉しいな。またさやかちゃんと一緒だね」

まど神「あ、わたしのことはみんなには内緒だよっ?」

さやか「………………」


9 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 02:05:40 ID:PPu7JKUY
~通学路~

仁美「おはようございます、まどかさん。今朝は顔色がよろしくなさそうですが」

まどか「おはよう仁美ちゃん。……うん、昨日は何だか眠れなくて」

仁美「そうでしたの……さやかさんは今日はお休みでしょうか?」

まどか「……わかんない」

仁美「後でお見舞いに行くべきでしょうか……でもちょっと、今はさやかさんとはお話しづらいんですが」



コソコソ

さやか「うぅ……いざ二人を前にすると話しかけ辛いなあ」

まど神「さやかちゃん……」

さやか「それにしても昨日のことは夢じゃなかったんだなあ。隣にまどかがいるのにあそこにもまどかがいるし」

さやか「それはまあいっか。問題は目の前の現実だよな、うーん」

さやか「……うん、ダメだ。今日は帰ろう。仁美とは何となく気まずいし、まどかには合わせる顔がない」

まど神「えっ」


10 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 06:54:09 ID:PPu7JKUY
まど神「さやかちゃん、学校休んだら絶対こっちのわたしがお見舞いに来ちゃうよ?」

さやか「あたしまどかにあんなにひどいこと言ったのにお見舞いに来るわけないよ」

まど神「そんなことないよ!」

さやか「ごめん今はちょっと何も考えたくない。少し休ませて」

――――――
――――
――



ピンポーン

まど神「さやかちゃん、さやかちゃん!」

さやか「んん……あたし、寝ちゃってたのか……」

ピンポーン

さやか「あれ? 誰か来たのかな」


11 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 07:22:57 ID:PPu7JKUY
まど神「………………」

さやか「今親もいないからな……。はいは~今出ますよ~、モニターはと」ポチットナ

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「まどか……!?」

まどか「え、と……あの……ごm」

さやか「!!」プツッ

まどか「えっ……」

まど神「えっ……」

さやか「………………」


12 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 07:27:03 ID:PPu7JKUY
まど神「さやかちゃん!」

さやか(……まどかに謝罪なんて言わせたくない……悪いのはあたしなんだから……)

~♪ ~♪

まど神「さやかちゃん、着信来てるよ」

さやか(この音は……まどか……)

~♪ ~♪

まど神「………………」

さやか「………………」

~♪ ……

まど神「………………」

さやか「………………」バッ

カチカチカチカチ


13 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 07:29:03 ID:PPu7JKUY
~♪

まどか「!?」カチカチ



差出人:さやかちゃん

件名:ごめん

本文:

落ち着いたらこっちから連絡するから。



まどか「………………」


14 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 09:56:47 ID:PPu7JKUY
さやか「……さて、あたしも魔法少女の役割を果たさないとね」

まど神「さやかちゃん……」

さやか「まだまどかが近くにいるかもしれないし」

シュパアァァァァ!

さやか「窓から失礼しますよっと」

まど神「………………」


15 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:01:11 ID:PPu7JKUY
使い魔「ティロティロティロティロティロティロ」

さやか「逃がすか!」ジャキン!

ヒュンヒュンヒュンヒュン!

ザンッ!

使い魔「」



さやか「……ふう」

杏子「相変わらずだなさやかは」

さやか「あんた……」

まど神「あ、杏子ちゃんだ」

さやか「またあたしが使い魔を倒すのを止めに来たの?」

まど神「ちょっとさやかちゃん!」

杏子「そう早合点するなよ」

さやか「?」


16 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:05:10 ID:PPu7JKUY
杏子「アンタが使い魔まで狩り続けるにしろアタシと張り合うにしろ、今のままじゃ無謀だね」

さやか「何が言いたいのよ」

杏子「教えてやるよ。効率的な戦い方ってのを」

さやか「なんであたしにそんなこと……」

杏子「生き抜くって決めたんだろ? 一度は絶望しかけたこの世界をさ」

杏子「無駄にソウルジェムを濁らせていちゃ、そいつは到底ムリな話だからね」

さやか「……どういうつもりよ」

杏子「……さやかを見てると、思い出すんだよ」

さやか「……?」

まど神「………………」


17 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:09:30 ID:PPu7JKUY
杏子「アタシも……今はこんなだけどさ、やっぱり正義の魔法少女ってのに憧れてたんだ」

さやか「………………」

杏子「前に言ったことと逆になるけどさ、アタシはそんな風に思い続けられなかったけど、さやかはそれを守ろうとしてる」

杏子「敵わないなあって、思っちゃったのさ」

さやか「杏子……」

杏子「でもさ、知ってると思うけどさ、この世界そういう奴ほど早死にするんだ。まあ当然なんだけどね」

さやか(……マミさん……)

杏子「そんなんだから、アタシは……アンタにはそうなって欲しくないから。きちんとした強さを手に入れて欲しいんだ」




 
19 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:12:26 ID:PPu7JKUY
杏子「アタシの生き方は変えられないけど、かつてのアタシの思いを、さやかに託したい」

杏子「……なんてな! 自分じゃ出来ない面倒をアンタに押し付けてるだけなんだけどね」

さやか「……そっか、じゃああたしも頑張って強くならないとね」

さやか「今のあんたの生き方を後悔させるほどにバッチリ強い正義の魔法少女になっちゃいますよ!」

杏子「へっ……言ってくれるね」

さやか「というわけで、よろしく」スッ

ガサッ

杏子「食うかい?」

さやか「それは無理」

杏子「ちっ」




 
21 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:20:15 ID:PPu7JKUY
~魔女の結界内~

杏子「さっそく近場で魔女の結界が見つかってちょうどよかったな」

魔女「ウェヒヒウェヒヒウェヒヒウェヒヒウェヒヒウェヒヒ」

ワラワラ……

さやか「使い魔があんなに……」

杏子「アンタもアタシも近接戦特化の魔法が中心だ。全部を落とすなんて考えなくていい」

杏子「近づく奴を確実に仕留めるんだ」ザンッ!

さやか「わかった!」バシュッ!

杏子「前みたいに痛みを消して被害を省みず無理矢理攻撃する戦法は却下だ。回復も考えると魔力の消耗が激しい」

杏子「相手の攻撃を見切るんだ。初めてアタシの槍を受け止めたようにな」ガキイィン!

さやか「はっ!」ガァン!

杏子「今だ!一気に懐に潜り込め!」

さやか「てえぇぇぇりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!」ゴオッ!



ザシュッ


22 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:29:35 ID:PPu7JKUY
杏子「こいつグリーフシード持ってたぜ。ほらよ」

さやか「あたしはいいよ」

杏子「さやか、アンタ」

さやか「また会えるんでしょ? 次はあたしがもらうから」

杏子「! そうか、そうだな。じゃあ……またな!」ヒュン

さやか「うん」

まど神「よかった。さやかちゃんまたケンカするかと思っちゃった」

さやか「まあそういう可能性もあったけどね」

まど神「もう……お願いだからもう無茶しないで」



ザッ

さやか「……あれは」


23 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:33:19 ID:PPu7JKUY
さやか「転校生……」

まど神「ほむらちゃん……」

ほむら「意外にも無事だったようね。まどかにあなたの破滅を見せることにならなくて安心したわ」

さやか「あんた……」

ほむら「私の用はそれだけよ。これからもまどかを巻き込むようなことがないように願うわ」

さやか「……あんたってさ、どうしてそんなにまどかに執着するんだ?」

まど神「………………」

ほむら「その質問に答える必要はないわ」


24 名前:全部書き上がってないので中断[sage]投稿日:2012/01/13(金) 10:39:16 ID:PPu7JKUY
さやか「……あんたは相変わらず得体が知れないけどさ、まどかのことになると本心が見え隠れするんだよね」

ほむら「………………」

さやか「一つだけ、疑問があるんだ。ううん、答えは分かる気がするけど、これだけはあんたの言葉で聞きたい」

ほむら「……何よ」

さやか「あんた……ほむらはさ、まどかのために行動してる。それは間違いない?」

ほむら「……ええ、そうね。あなたやまどかにはどう映っているかは分からないけど、少なくとも私はそのつもり」

さやか「そっか、それを聞いて安心したよ。……じゃあさ、まどかが自分の意志でどんな選択をしてもそれを応援できる?」

ほむら「!?」

まど神「!!」


28 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 23:44:00 ID:PPu7JKUY
ほむら(繰り返した時間の中で、まどかは何度も自分の意志で魔法少女になった。私は――)

ほむら(違うわ。あれはキュゥべえに騙されているだけ。そうよ、まどかだってそう言ってくれた)

ほむら(キュゥべえに騙されたわたしを助けてあげて──と)

ほむら(……でも……)

ほむら「……それについても答える必要なんてないわ」

さやか「そっか。残念」

まど神「ほむらちゃん……」

さやか「前にまどかが言ってたんだけどさ。ほむらが転校してきた日」

さやか「世界の終わりの様な場所で、たった一人で巨大な怪物に挑むほむらが出てきた夢の話」

ほむら「……!?」

さやか「最初その話を聞いた時は大笑いしちゃったけどね」


29 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 23:46:43 ID:PPu7JKUY
さやか「ほむらはさ、ほんの数週間前に見滝原に転校してきたばかりの人のはず」

さやか「なのに、すごい長い間まどかのことを見てきたような雰囲気がする」

ほむら「………………」

さやか「あたしの知らないまどかの時間を共有しているような、そんな感じ」

ほむら「……何の根拠のない戯言ね」

さやか「正直そうだったらいいなって思うよ。でも、ほむらが誰よりも何もかもを知っている様子からしても、ね」

ほむら「そうでなきゃ、あの全てを諦めた目なんてできない」

ほむら「……っ」


30 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 23:50:14 ID:PPu7JKUY
さやか「でもいいんだ。ほむらがまどかの味方だって聞けたから、それで十分」

さやか「言えない理由があるんだよね? だったら今はいいよ」

ほむら「……誰も、未来を信じない。誰も、私の言葉を受け入れられないっ……!」

さやか「ほむら?」

ほむら「……何でもないわ。他に用がないなら失礼するわ」

さやか「もう一つ聞きたいのは、穢れを溜めたソウルジェムに関する秘密」

ほむら「!?」

さやか「ほむらは前に言ったよね。あたしが破滅するくらいならいっそこの手で殺すって」

ほむら「………………」

さやか「穢れを限界まで溜め込んだソウルジェムがどうなるか、知ってるんだよね」


31 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 23:54:07 ID:PPu7JKUY
~~~

杏子「なるほどね。にわかには信じられないけど」

ほむら「そうでしょうね。今までに信じてもらったことは皆無よ」

杏子「まあ、これでアンタがさやかを殺そうとしたのも合点がいったよ」

杏子「あのまま事態が進んで、さやかに付いてたあの友達が知ったとしたら目も当てられないだろうね」

ガシッ

ほむら「……まどかを巻き込まないで」

杏子「……へぇ。どうにも人間らしくない奴だと思ってたが、そのまどかって子が関わるとそんな事ないんだな」パシッ

ほむら「くっ……」

杏子「でも安心したよ。キュゥべえと違って人間らしい感情を持ってるって分かったし、ひとまずアンタのことは信じてやるよ」

~~~


32 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/13(金) 23:58:29 ID:PPu7JKUY
ほむら「魔法少女の最期……限界まで穢れを溜め込んだソウルジェムはグリーフシードになり、魔女を生み出す」

ほむら「これが魔法少女についての最後の秘密。いきなりあなたに信じてもらうのは難しいでしょうけど、事実よ」

さやか「……やっぱり、まどかは――」チラ

まど神「………………」

ほむら「?」

さやか「ううん、こっちの話。さっきの話、信じるよ。他の話もいつか聞けたらって思うな」

さやか「引き止めてごめん。じゃっ、あたし戻るから」

タッタッ

ほむら「………………」



ほむら(この時間軸の彼女達は何かが違う……? いえ、いつもと違うのは私なの……?)


33 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:05:20 ID:.bsc/2iA
トボトボ

さやか「まどか……」

まど神「ほむらちゃんには、絶対内緒にしてね」

さやか「こっちのまどかはさ、全部知ってるんだよね」

さやか「あたしたちがどうなるかも、全部」

まど神「………………」

さやか「安心して、こっちから何もかも聞くつもりはないよ」

まど神「……ごめんね、さやかちゃん」

さやか「まどかが謝る必要なんて何もないよ。そこは人や魔法少女が絶対踏み込んじゃいけない領域だと思う」


34 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:09:08 ID:.bsc/2iA
さやか「あとは……ほむらかあ」

さやか「ほむらは……絶対にまどかを巻き込まない、魔法少女にしたくないって考えてるんだろうな」

さやか「……本当言うとさ、今のあたしも、まどかが契約するって言ったら力づくで止めるかもしれない」

さやか「魔法少女になるってことがどういうことか、よく分かったから」

さやか「ほむらにはああ言ったけど、あたしだってまどかの選択を受け入れられるかな?って、思っちゃうんだ」

さやか「あたしはそんな存在になったことないけど、多分、死ぬよりも、魔法少女になるよりも苦しい選択」

さやか「あのまどかにそんな選択を強いるのが本当にいいのかなって……」

さやか(……そういやまどかが契約しなかったら、今横にいるまどかはどうなるんだろ?)

まど神「………………」

さやか「さて、今日はもう遅いし……ってあれは!?」


35 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:14:51 ID:.bsc/2iA
さやか「まどか、あんたこんな時間まで」

まどか「さやかちゃん!」ダッ

ギュッ

まどか「ごめんね……ほんとにごめんね。わたし、さやかちゃんのこと、全然分かってあげられてなかった……」

さやか「まどか……」

まどか「いつも、いつもさやかちゃんに先に謝らせて、わたしはいっつも自分のことばっかり……」

さやか「ううん、あたしこそごめん。本当は今回こそあたしが先に謝らなくちゃいけないのに……」

さやか「あたし、まどかにいっぱい、酷い事言った……それこそ救いようのないくらい」

さやか「あたしってほんとバカだから、大切な友達にこんなことさせて……」

まどか「ううん、わたしが、わたしが――」


36 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:19:44 ID:.bsc/2iA
さやか「まどか、少しは落ち着いた?」

まどか「……うん。ありがとうさやかちゃん」

まどか「……じゃあ、夜も遅いからわたし――」

ギュッ

さやか「……これはあたしのわがまま。だけど、今だけはまどかにそばにいて欲しい」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「今夜、うちにお泊りしない? もちろん、無理にとは言わないけど……」


37 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:24:19 ID:.bsc/2iA
~美樹ハウス~

まどか「さやかちゃん、ママが泊まってっていいって!」

さやか「よかった、こんなに体冷やさせちゃってそのまま帰したら申し訳ないもん」

まどか「えへへ、さやかちゃんとお泊りなんて、久しぶりだなー」

さやか「そうだね、時間が時間だからお風呂に入って寝るくらいしか出来ないけどね」

まどか「さやかちゃんがいてくれるならそれで十分だよ」

さやか「にひひっ、ありがと」


38 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:27:11 ID:.bsc/2iA
さやか「まどか、お風呂沸いたから先入ってて」

まどか「わたしさやかちゃんと一緒に入る!」

さやか「いやあ……大丈夫、すぐ行くから。どうせ二人一緒に体洗えないし」

まどか「わたしさやかちゃんが来てくれるまで待ってるから」

さやか「だーいじょうぶだって。心配性だなあまどかは。あたしを信じてくれないの?」

まどか「絶対だよ! 本当の本当に絶対だよ!」

ガチャッ

さやか「………………」


39 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:32:00 ID:.bsc/2iA
さやか「……本当に、まどかはいつまでたってもまどかだよ」

さやか「可愛くて、優しくて、いつまでたっても守ってあげたくなっちゃう」

まど神「………………」

さやか チラッ

さやか「そんなまどかを、あたしたち魔法少女がこんな目にあわせちゃうなんて……」

まど神「それは違うよ、さやかちゃん」

さやか「………………」

まど神「わたしはみんなが大好きだから、みんなに希望を持ったままでいてもらいたいから、このわたしになったの」

まど神「だから、酷い目に遭ったとも思わないし、わたし自身絶望することなんてない」


40 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage]投稿日:2012/01/14(土) 00:37:33 ID:.bsc/2iA
さやか「多分、まどかのそれは本心で、これっぽっちも嘘なんてついてるなんてことはないんだと思う」

さやか「まどかが辛いとも思ってないというのも、もしかしたら本当かもしれない」

さやか「だけどさ、やっぱりあたしは辛いよ。大事な親友がそんなことになってるって」

さやか「……あたし、まどかに言おうと思う。絶対に魔法少女になっちゃいけないって」

まど神「さやかちゃん!」

さやか「あんた一人こんな目にあわせてあたしたちが生きてるなんて、許せない」

まど神「………………」

さやか「まどかがここにいるってことは多分無理なんだろうとは思うけど」

さやか「それでもあたしは、何もせずに諦めたくない」


41 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 00:41:29 ID:.bsc/2iA
さやか「……あんまりまどかを待たせても悪いから風呂入りに行くかな」ガチャッ

まどか「………………」

さやか「」

まどか「……さ、さやかちゃんがいつまでたっても来ないから、わたし……」

さやか「ああもう!」

ギュッ

まどか「さやか……ちゃん?」

さやか「さっきまで散々外で待ってた挙句にまたこんなところで待ってて!」

さやか「家の中だってそんなにあったかいわけじゃないんだよ! 風邪引いたらどうするんだよ……さっ、行こ?」

まどか「……! うん、さやかちゃん!」


42 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 00:47:17 ID:.bsc/2iA
~バスルーム~

さやか「まどかとお風呂なんて十年ぶりくらいかなー」

まどか「やだなあさやかちゃん、わたしたち出会ってからまだ3年ちょっとしか経ってないでしょ」

さやか「へへっ、そうだっけ。まあいいや、早く体洗って湯船に浸かろう?」

ゴシゴシ

さやか「はい終わり! お湯流すよ」ザパーン

まどか「ありがとうさやかちゃん。今度はわたしが洗ってあげるね」

ゴシゴシ

さやか(何か落ち着くなあ……こんな気分になったのって、すっごい久しぶりな気分)

まどか「どう? さやかちゃん」

さやか「うん気持ちいいよ。ありがとう、まどか」

まどか「えへへ……」ザパーン


43 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 00:51:09 ID:.bsc/2iA
チャポン

さやか「あ゛あ゛~いいお湯~」

まどか「さやかちゃん何だかおじさんみたいだよ……」

さやか「なんだとー? そんなこと言う奴はこうだー!」バシャッ

まどか「きゃっ? やったなさやかちゃん!バシャッ

さやか「なっ? まどかめけしからん!」バシャバシャ

まどか「きゃあぁぁっ!」



キャッキャッ


44 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 00:56:41 ID:.bsc/2iA
~さやルーム~

まどさや グデー

まどか「すっかりのぼせちゃったね……」

さやか「まどかのせいだよ……」

まどか「ひどーいさやかちゃん……」

まどさや「………………」グデー

さやか「じゃあ、そろそろ寝よっか……。あたしは布団敷いて寝るからさ、まどかはベッドに……」

ギュッ

まどか「さやかちゃん……一緒に、寝よ?」

さやか「まどか?」


45 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 01:01:12 ID:.bsc/2iA
まどか「わたし、さやかちゃんを元に戻すためにキュゥべえと契約しようと思ってたんだけど」

まどか「さやかちゃんが無事だって分かってから、急に怖くなっちゃったの」

まどか「わたしは臆病で、卑怯で、さやかちゃんに何もしてあげられないけど」

まどか「さやかちゃんの幸せも分からないし、こうやって一緒についてあげるくらいしか、できないけど」

まどか「それでもわたしは、さやかちゃんと一緒にいたいから。自分勝手な考えなのは、分かってる」

さやか「まどか……」



ギュッ

まどか「さやか、ちゃん……」


46 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 01:05:22 ID:.bsc/2iA
さやか「ごめん、あたし馬鹿なこと言ってた。まどかは今のまどかのままでいるのが一番だよ」

さやか「臆病でも、誰かのために優しくなれる。そんなまどかのままでいてくれたら」

まどか「えへへ、さやかちゃん、ほむらちゃんみたいなこと言うんだね」

さやか(!? そっか、ほむらもまどかを魔法少女にしたくないはず。これはもしかしたら……)

まどか「? どうしたのさやかちゃん?」

さやか「ううんなんでもない。体が冷えるから早くベッドに入ろっか」

まどか「そうだね」ゴソゴソ


47 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 01:09:30 ID:.bsc/2iA
さやか「ねーまどか、その……ちょっと聞きにくいんだけどさ」

まどか「どうしたのさやかちゃん?」

さやか「最近のいろんなこと抜きにしてさ、まどかって今、魔法少女になりたい?」

まどか「……わかんない。わたし、どうしたらいいのか……」

さやか「迷ってるならさ。あたしは、まどかに魔法少女になって欲しくないな」

まどか「さやか、ちゃん?」

さやか「まどかは優しすぎて、誰かのために頑張ろうとするからさ。魔法少女に向いてないと思うんだ」

まどか(そういえば……)


48 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 01:11:46 ID:.bsc/2iA
まどか『さやかちゃんは、思い込みが激しくて、すぐ人と喧嘩しちゃったり……』

まどか『でもね、すごくいい子なの。優しくて勇気があって、誰かのためと思ったら頑張りすぎちゃうけど』

ほむら『……魔法少女としては致命的ね。度を越した優しさは甘さに繋がる』

ほむら『それにどんな献身にも見返りなんてない。それを弁えていなければ、魔法少女は務まらない』

まどか(ほむらちゃんも、さやかちゃんと同じことを……)

さやか「まどかはさ、今のままでいてくれたほうが、あたしも嬉しいしさ」

まどか「うん……」

まどか(……でもそれって、さやかちゃんたちに助けられっぱなしに……)

まどか(本当に、それでいいのかな……)




 
50 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/14(土) 04:47:45 ID:pcnRaoig
自分とまどかが風呂でイチャついてるのをまどか神はどーいう気持ちで見てるんだろ




 
54 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/17(火) 01:12:01 ID:ZEZG6PpE
~朝、通学路~

まどか「おはよう、仁美ちゃん」

仁美「おはようございます、まどかさん。今日はさやかさん、どうなんでしょうか」

まどか「昨日さやかちゃんちに行ってきたけど、元気だったよ。今日は来るはずなんだけどなあ」

仁美「そうでしたの、それは何よりですわ。ただ昨日も申しましたけど、わたくし気まずい思いをしそうで……」

まどか「さやかちゃんなら大丈夫だよ仁美ちゃん。いつもどおりで問題ないよ」

仁美「だとよろしいのですが。……あら?」

タッタッタッ

さやか「おはよう! まどか、仁美!」

仁美「どうやらよさそうですわね」ボソボソ

まどか「もー、だから言ったのに」




 
56 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/17(火) 01:14:15 ID:ZEZG6PpE
まどか「おはよー!」

仁美「おはようございます、さやかさん。お体はもう大丈夫ですの?」

さやか「うん、心配かけちゃってごめん。さあ行こう!」

まどか「さやかちゃん、一旦家に帰ったわたしより遅いってどういうことなの?」

さやか「え、えーと、まあいろいろと……」

仁美「まどかさん、昨日はさやかさんの家にお泊りに行ってらしたのですか?」

まどか「あ、ええと……うん」

仁美「それはもしかして、あの日以上に接近して2人で熱い一夜を共にして……」

仁美「女の子同士でそこまで、それはもう口にも出せませんのよ~!」タッタッタッ

まどか「相変わらずだね仁美ちゃん……」

さやか「そうだね……」


57 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/17(火) 01:17:39 ID:ZEZG6PpE
まどか「それでさやかちゃん、いろいろ大丈夫なの、かな……?」

さやか「……うん! あたしはもう大丈夫。当面の目標も出来たしね!」

さやか(まどかを魔法少女にしないっていうね)

まどか(よかった……さやかちゃん、元気になってくれて……)

さやか「あのさまどか、悪いけど今日の放課後ちょっと用事があるから先帰っててくれる?」

まどか「えっ? うん」

さやか(あとはほむらを捕まえないと……)


58 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/17(火) 01:21:24 ID:ZEZG6PpE
~放課後~

ほむら「……それで、話というのは?」

さやか「ほむらはまどかのために動くと見込んで、協力して欲しいことがあるんだ」

ほむら「貴女から私にそんな提案を持ち出すなんて意外ね。一体何の協力を求めるというの?」

さやか「まどかが魔法少女になるのを阻止して欲しいんだ。少なくともまどかが成人になるくらいまでは」

ほむら「どういうことかしら?」

さやか「詳しくは言えないけど、まどかが契約しちゃったら、あたしたちは多分死ぬまでまどかに会えなくなる」

ほむら「……?」


59 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[]投稿日:2012/01/17(火) 01:26:09 ID:ZEZG6PpE
さやか「何のことか分からなくてもいい。信じなくてもいいから、お願い。協力して、まどかのために!」

ほむら(美樹さやか……この子は本当に、誰かのために真っ直ぐで……)

ほむら(全てを私一人で行うと決めていたのに、決意が揺らぎそう)

ほむら「……私がこれほどに周りに対して素直なら、もう少しやりようがあったかしら」ボソッ

さやか「えっ?」

ほむら「何でもないわ、美樹さやか。もとより私の望みもそこにある」

さやか「じゃあ……!」

ほむら「私からも、一つ貴女に協力を要請するわ。まどかを魔法少女にしないことの必須条件をクリアする為に」


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[ 2012/02/03 19:41 ] まどマギSS | TB(0) | CM(0)
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