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男「人を食べる少女?」祖父「そうじゃ」2/3


 


男「人を食べる少女?」祖父「そうじゃ」




161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:02:18.08 ID:wRILEqxk0
男「ん? なんだここ」

男「夏祭り? やたら目に映る人たちが古風だけど」

坊主「……どうやらお爺さんの記憶の中のようですね」

坊主「原理は良く分からないですが、どうやら拙僧たちは迷い込んでしまった様子」

坊主「まぁ、見てみますか。話を聞くより、見たほうが早いでしょうし」

男「……俺は間違ってかいだからまだ分かるんですが」

坊主「はい?」

男「坊主さんはどうしてここに?」

坊主「なんの手違いか、拙僧もかいでしまったのですよ」

男(うわぁ……なんか自分は大丈夫だけど?見たいな面しててそれはねぇわ)




元スレ
男「人を食べる少女?」祖父「そうじゃ」




163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:07:20.50 ID:wRILEqxk0
祖父「へへへ、夏祭りは女をひっかけ安いって相場は決まってらーな」

坊主「どうやらアレっぽいですねぇ」

男「う~ん、自分の祖父だと思いたくない」


祖父「ねぇ、お姉ちゃん、俺と遊ばない?」

女「あらあらお兄さん嫌ですわぁ、わたくしそんなに安い女ではなくてよ」

祖父「え~またまた~」

女「あらひつこいのね」

祖父「男らしいと言うてほしいね」


166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:15:09.84 ID:wRILEqxk0
女「随分と自信がおありのようで」

祖父「まぁね。俺ぁ女に優しく自分と野郎には厳しく、という心根持ってるんで」

女「それで男らしいと? 面白い方ですわぁ」クスクス

女「ええでしょう。それでは短い間、遊びましょうか」

祖父「えっ?」

女「どうかしましたか?」

祖父「いや、駄目だよ」

女「はい?」

祖父「いやいや、男の誘いをそんな簡単に受けたら、お姉さん駄目よ」

祖父「こういう時は逃げないと後で怖い目にあうかも知れないよ」

女「お兄さんはそんな方ではないのでしょう?」

祖父「まぁそりゃそうだけど」

女「お兄さんよう分からん人ですなぁ」

祖父「良く言われますね、それ」


167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:22:27.43 ID:wRILEqxk0
坊主「スケベなんだか誠実なんだか良く分からない方ですねぇ」

男「今とそんな変わってないなぁ」


少女「おーにさんこちら、手のなるほうへ、新芽のお花、摘んでみてくーださい……」

祖父「おう?」

少女「……おにいさん、新芽のお花、摘んで見たい?」

祖父「残念」

少女「?」

祖父「俺はね、新芽より咲き誇ってる花のほうが好きなんだ」

少女「新芽のお花は、お嫌い?」

祖父「う~ん、嫌いじゃないけど、好きでもないかな」

祖父「見てる分にはいいけど、摘むかと言われればどうだろうか」

少女「……きっと冥土の土産話くらいにはなるよ」

祖父「死ぬ頃には忘れてそう」


169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:30:52.10 ID:wRILEqxk0
坊主「どうやらくだんの鬼と接触した様ですね」

男「おお、俺の見た少女と全く同じだ」

坊主「どうやら間違いないと」


祖父「まぁいいよ、お嬢ちゃんの話相手くらいならしてやろう」

祖父「それで、ちなみにどんなお花なんだい?」

少女「……んーとね、凄く綺麗で、儚くて、一瞬で散ってしまうお花」

祖父「新芽なのにすぐに散ってしまうとはこれいかにwwwww」

祖父「なんかスゲェwwwww」


男「なんか凄いデジャヴ」


少女「どう? 摘んで見たい?」

祖父「うーん、ちなみにいくらすんの?」

少女「お金はいらないよ」

祖父「お金はいらないって、せっかくその綺麗なお花を売ろうっていうのに?」

少女「うん、お金『は』ね」



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:38:26.72 ID:wRILEqxk0
祖父「うーん……」


男「なんか悩んでますね」

坊主「身売りかと思ったら、お金は要らない、と言われてナンダコレ状態ですね」

男「なるほど」


少女「悩む必要があるの?」

少女「新芽のお花がただで摘めるのに」

祖父「いや、なんと言うか、その、お嬢ちゃんは大変なんだね」


男「なぜそうなるのか意味分からん」

坊主「きっと、少女が体を売る事に抵抗を感じなくなったと勘違いしてるんでしょう」

坊主「抱かれ過ぎて、もうお金よりも、そうしていないと心が保てないだろう、かわいそうに、
    とか考えたのでは?」

男「真面目に見えて頭の中は桃色か」

坊主「ですねぇ」



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:46:32.84 ID:wRILEqxk0
祖父「お嬢ちゃん、大変かも知れないが、真面目に生きるんだ」

少女「真面目に?」

祖父「そうだ。お兄さんはもう行かなくちゃ行けないけれど」

祖父「それだけは伝えておこう」

少女「私は真面目なの」

祖父「いいや、真面目ではない。花をただで売るなんてしちゃあいけない」

祖父「君の心は擦り切れてしまっている」

祖父「どういった事情があったのか、それは俺には分からない」

祖父「けれど、自暴自棄になっては行けないよ。信じていれば、必ず大切な何かが見つかる」

少女「……信じていたけれど、何も無かったの」

祖父「そんな事は無い。信じる力は、自分を裏切らない」

少女「……」

祖父「いいね、もうこんな事は辞めるんだよ」



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:52:29.76 ID:wRILEqxk0
坊主「おや、なにやら急いでどこかに行きますね」

男「本当だ」

坊主「何やら財布をごそごそ弄ってますねぇ」


祖父「えーと、俺いまどんぐらい金持ってたっけ」

祖父「三千円か……」


男「俺の小遣いより少ねぇ」

坊主「いや、この時代だと、一円がいまの十円くらいの価値だったハズですよ」

男「と言うと、大体三万円くらいですか」

坊主「ですね」


 
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 10:57:16.50 ID:wRILEqxk0
祖父「……」

祖父「……まぁ、なんとかなるだろ」

祖父「三千円もあれば、少女も二ヶ月は生きていける、と、思う」

祖父「その場しのぎにかならないだろうが、それでも俺には見捨てられない……」


坊主「なんだかんだで優しい人ですねぇ」

男「さすが爺ちゃんだぜ」


祖父「……やっぱり二千円でいいかな」


坊主「ヘタれましたね」

男「さすが爺ちゃんだぜ……」


ごめんちょっと出かけてくる


207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 12:59:49.86 ID:wRILEqxk0
祖父「いや、俺の財布の金と少女どっちが大事かって考えれば、少女の方が大切だ」

祖父「全部だ、全部渡そう」

祖父「また家賃を滞納することになりそうだが、仕方ない」

祖父「大家の憤怒した顔も怖いが、何より少女の未来のほうが大事だ……」


坊主「おお、どうやら覚悟を決められたようで」

男「爺ちゃん……男前だぜ」

坊主「家賃を滞納するのは褒められた事ではないですがね……」


祖父「さて、少女はどこだ……ん?」


細い男「お、お、お嬢ちゃん? ほほほ、本当に良いのかい!?」

少女「うん、おにいさん、お花」

細い男「うんうん詰んであげるよ。丁寧にじっくりゆっくりね……」

祖父「助けないとな……この金があればしばらくはそんな事しなくても……」


208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:04:50.02 ID:wRILEqxk0
少女「あっ……」

細い男「ど、どうしたんだい?」

少女「……」

細い男「あ、あっちの男が、ど、どど、どうかしたのかい?」

少女「優しい、おにいさん」

細い男「ん、んん? ち、違うだろ? 優しいお兄さんは、僕だろ?」

少女「……桔梗の匂いがしたの。柔らかくて、良い匂い……」

細い男「い、いいから、あんな男はいいから、ぼ、僕と、だろ?」グイ

少女「……うん」

祖父「あっ、クソッ、屋台の隙間に……追いかけないと」 



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:13:54.29 ID:wRILEqxk0
細い男「く、くそっ、追いかけてくる」

少女「……」

細い男「そ、そこのあばら屋のうう、裏でいい。も、もう構うもんか」

少女「……」

細い男「へ、へへへ、ほ、細くていい太ももだねぇ。触ってるだけで、ぼ、ぼくいきそうだよぉ……」

少女「……そう」


祖父「あークソ、どこ行きやがった……」


細い男「ど、どうだい、ぼぼ、僕の一物、見てみたいだろ?」

細い男「ち、小さなお花を摘むのに、ちょうど良い大きさの、は、鋏なんだよ……」

少女「……おにいさんは、新芽のお花が好みなのね」

細い男「そ、そりゃあそうさ、し、新芽のお花を摘む瞬間に、ぼぼ、僕は最高に興奮するんだよ」

少女「……いままで、どれくらいの新芽を摘んでしまったの?」

細い男「かか、数えてるワケ、なな、ないじゃないか」

少女「……そう、やっぱり、栗の花」



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:22:02.58 ID:wRILEqxk0
細い男「え、えっ?」

少女「……私はね、栗が好きなの」

細い男「ど、どどど、どういう事かな? ん? んん?」

少女「ううん、栗は美味しいから」

少女「匂いは嫌いだけれど、とても美味しいの」


祖父「ここらへんの裏通りに行ったと思ったが……」

祖父「不気味だな……あばら屋ばかりなのは見慣れた光景だけれど」

祖父「夜になるとどうにも怖い」

祖父「ひとつ道を違えば夏祭り、人通りも多いから、なお更……」ブルル

祖父「でもまぁ、見てしまったからに、どうにも体が勝手に、悪い癖だな」


坊主「へらず口の割りに、なんとも綺麗なお心をお持ちのようで」

男「まぁ、今と変わりないといえば無いですが……」


221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:33:00.71 ID:wRILEqxk0
祖父「ん、あれは……」

坊主「どうやら、少女を見つけたようですね」

男「えぇ……」


細い男「く、栗? 栗が食べたいなら、ぼ、ぼくの栗を食べるといいよ、か、噛んだら痛いから、
     や、優しく、舐めて、ね? ね?」

少女「……ううん、そんな汚い栗はいらない」

細い男「え? えっ?」

少女「私の言う栗はね……」


ポタ……ポタ……


222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:38:25.68 ID:wRILEqxk0
坊主「……少女の言う栗とは、心臓と脳みその事だったんですね……」

男「う、うえぇええ……」ゲロゲロ


少女「おいしい、おいしい……」

ピチャ……ピチャ……

少女「今日は、とても良い日……おいしいご飯と、やさしいお兄さん」ピチャ

少女「両方見つかったの」ピチャ

少女「向日葵の日」ピチャ

少女「花火も大きくて、向日葵の花」ピチャ


祖父「ひっ……あ、あっ……」ペタン


男「あーマジで腰抜かしてたのか爺ちゃん……」

坊主「そりゃまぁこんな光景見たら腰抜かしますよ」



225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:47:23.73 ID:wRILEqxk0
少女「お月さまも出ているから」

少女「とても綺麗」

少女「とても……とても……」

少女「……おにいさん、来てくれたのね……」

少女「大事な大事な、私と一緒に生きてくれる人……」

祖父「あっ、あっ……」

少女「……私は、ただ、探していただけなの……」

少女「そんなに、こわがらないで……」

少女「どうしたらいいか、私、わからなくなってしまうの」


坊主「……しかし、凄い目ですね」

男「えぇ……赤黒くて、まるで……」

坊主「人の生き血の様だ、と」

坊主「……長く手入れされた髪に、整った顔立ちが、なお更不気味に感じさせますね……」

坊主「綺麗で居たかった、きちんと手入れされた髪でありたかった、そういう少女たちの願いをも
   汲んでいるのでしょう……」

 
227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 13:59:23.23 ID:wRILEqxk0
祖父「こ、これ、は……」

ポタ……ポタ

少女「おにいさん……私と一緒に……」

少女「永劫に……」

少女「……」

少女「……生きて?」


祖父「……」ゴクリ

祖父「い、いや……俺は……」


少女「見ていてくれるだけでいいの」

少女「見ているだけなら、いいと言ってくれた」

少女「だから、ずっと傍で……」

少女「桔梗の花、私、好きなの……」

少女「とても良い匂い、暖かい匂い……」


230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 14:12:13.00 ID:wRILEqxk0
祖父「あっ、いや、その、き、着物……」

少女「それが、どうかした?」

祖父「い、いや、夏なのに、な、なんで、着物かなって、は、はは……」


坊主「どうにかして逃げる隙を伺ってるんでしょうか」

男「つーかどこが口八丁だよ。ビビりまくりじゃん……」


少女「……寒いの」

祖父「……え?」

少女「ずっとずっと、寒いの」

少女「だから、暖かい人が居てくれるだけで」

少女「私はそれを望んで、いた……」

少女「おにいさんみたいな人」

少女「暖かい、暖かみが、欲しくて」

少女「それがあれば、きっとおなかは空かなくて……」

 
236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 14:27:33.31 ID:wRILEqxk0
祖父「……」

少女「ねぇ、一緒に……」

祖父「お、俺は、違う」

少女「……?」

祖父「お、俺は、君の、その、求めている人では、ない」

少女「違わなくない……」

祖父「い、いや、違う。きっと、必ず、い、いつか、現れる」

少女「そんな事はないの……」

祖父「だ、だから」

少女「違う違う違う」

祖父「ち、違わなくない」

少女「なんで? ……なんで? なんで? ……なんで?」

祖父「俺はっ……」

少女「見たから? 私が、栗を食べちゃうのを見たから? だから?」


237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 14:42:32.65 ID:wRILEqxk0
坊主「……」

男「……」


祖父「……ごめんっ」

祖父「夢なんだ……俺は、きっと、夢を見ている」

祖父「逃げなきゃ……逃げなきゃ……」ダッ

少女「どうしてぇ……」グスン

祖父「逃げなきゃ……お、俺も食われるっ……」ダダダダッ

少女「なんでぇ……一緒に、ずっと一緒に……」

祖父「……泣いて、る?」

少女「いやだぁ……行かないでぇ……」

少女「やっと、いっしょけんめい探して、やっと……見つけたのに……」

少女「おいて、いかないで……」

少女「きょうは、向日葵の日なのにぃ……」



241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 14:57:47.12 ID:wRILEqxk0
祖父「はぁ、はぁ……ここまで来ればもう……」

女「あら、さっきの男らしい人」クスクス

女「どうしました? 随分と息きれぎれのご様子ですが」

祖父「い、いやね、何、ちょいと、ね」

女「お楽しみでしたか?」クスクス

祖父「そ、そうだね、別の意味でお楽しみだったね……」

女「あらあら、ではでは、おじさん、噴出水ひとつくださいな」

屋台のおじさん「あいよ。5円ね」

女「ほら、お飲みなさいな」

祖父「い、いや、女に何か買ってもらうのは……」

女「ええからさっさと飲みなさいな」グイ

祖父「お、オウフ……」 



243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 15:04:39.28 ID:wRILEqxk0
女「ほらほら、腰掛け見えますでしょ? ここに座りなすって」

祖父「は、はぁ……」

女「それで、どういったお楽しみでしたか?」

女「なんだか、面白そうに見えたのですが」

祖父「いや、全然楽しくなかったよ」

祖父「肝が冷えたね」

女「あらあら、肝試しでもしてなすったんですか?」

女「夏の暑さも飛んでゆきますねぇ」

祖父「そういう意味じゃお楽しみだったかもだけどね……」


244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 15:11:05.18 ID:wRILEqxk0
坊主「平常時になると口が元に戻るようですねぇ」

男「ですねぇ……」


女「ところで、お名前教えて貰えます?」

祖父「え?」

女「いつまでもアナタ、とかおにいさんではお近づきになれんでしょう?」

女「少しばかりお兄さんに興味出てきてしまいましたわ」

祖父「え? いや……」

女「なぁに、減るもんじゃないでしょう。それともなんですか、女に優しいというのは嘘で?」

祖父「あ、あぁ、いや、俺は××って名前だけど……」

女「あらら、素敵なお名前、ちなみに私は○○と申します」


男「ん?」

坊主「どうかしました?」

男「いや、この女の人、死んだ婆ちゃんと同じ名前だなって思いまして……」


252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 15:28:24.11 ID:wRILEqxk0
………
……


女「ははぁ、それはきっと、願女鬼でしょうなぁ」

祖父「願女鬼?」

女「はい、実は、今はもう亡くなっておりますが、私の大叔母、何をどう曲がり曲がったのか、
  娼妓をしておりまして」

女「その類のお話を聞いた事があります」

女「とり付かれたら最後、永遠を誓うか、もしくは、思いの通りにならぬのなら、と食ってしまうとか」

祖父「えっ……」

女「ただ、解決方法が、そうですなぁ、確か二つあると」

祖父「お、教えて……頼んます……」

女「ひとつは、今言うた通りです、永遠を誓う事ですな」

祖父「も、もうひとつは?」


男「もう一つはアレですかね、坊主さんの言った菩提樹の枝とかなんとかですかね」

坊主「いやぁ、尼さんならいざしらず、普通の女性がその方法を知っているとは思えませんが……」



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 15:35:28.49 ID:wRILEqxk0
女「そうですなぁ、ただで教えるのは、気が進みませんなぁ……」

祖父「え?」

女「タダほど怖いもんはありませんでしょう?」

女「タダより、何かしらの戻りがあったほうが、より大事だと考えられるもんです」

祖父「俺にできることならなんでもしますんで……本当お願いします……」

女「う~ん、なんだかその困った顔を見ると、もっと困らせたくなりますねぇ」

祖父「えぇ……」

………
……



祖父「ほう……目が覚めてしまったわい……」

男「んんん……あれ? もう一つの方法は?」

坊主「まったく、良い所で目を覚ますとは……」

祖父「懐かしいのう……そうじゃった。あの日、ワシは婆さんと出合ったんじゃ」

男(あれ婆ちゃんだったんだやっぱり……)

 
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 15:59:51.54 ID:wRILEqxk0
坊主「それで、もう一つの解決方法とは?」

男「それ聞かないとね」

祖父「ううむ……こう、喉まで出掛かってるんじゃが……」

祖父「枝を首に刺すとか物騒なアレではなかったのだけは確かじゃ」

坊主「……こうして今も無事な事を考えると、マトモな方法のように思えますね」

坊主「しかし、ある所にはあるのですね、解決方法が」

祖父「まぁ、思い出せなきゃ意味ないんじゃがのう……」

男「早く思い出してくれ爺ちゃん……」

祖父「あともうちょびっとなんじゃ……」

祖父「ううむ……ふむ……」


274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:26:04.92 ID:wRILEqxk0
坊主「早く思い出してください」バシンバシーン

祖父「いたっ、いたっ」

坊主「衝撃を与えると思い出す、とも言いますから」

祖父「なんじゃ……なんならさっきのお香をまたかがせてくれればえんじゃ」

坊主「連続服用は厳禁となっております。本当に永眠しますよ」

男「こわっ……」

祖父「怖いのう……」

祖父「気分転換にでも外に出てみようかのう。今日は良い天気じゃて」

男「確かに、凄い晴れてる」

祖父「うむ、なんだか眠ってたせいか、体が重くてのう。お日様の光浴びんとな」


279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:36:06.34 ID:wRILEqxk0
……


男「爺ちゃん、なんかここに変な実があるんだけど」

祖父「ほほう、これはヘビイチゴじゃな……」

祖父「しかし8月になってとは、季節ハズレじゃのう……」

坊主「これは四季成りなので夏イチゴですから……」

祖父「……ん?」

祖父「んんん?」

男「どうしたんだよ爺ちゃん……」

祖父「……これじゃ」

坊主「はい?」

祖父「思い出したわい、これじゃこれ」

男「え?」


280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:40:43.85 ID:wRILEqxk0
祖父「確か、そうじゃ」

男「な、なんだよ、一人で納得してないで説明してくれよ」

祖父「うむ、確かのう」

祖父「ヘビイチゴは、味がしないんじゃ」

坊主「よく無味である、とは言われますね」

祖父「うむ、そして、昔は毒があると信じられておったとか」

坊主「誰も食べたがらなかった、と言う話は良く聞きますが……」

祖父「毒は実はない、けれど、毒がある様に見える」

祖父「これが大事だと婆さんは言うとったのう」 



284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:53:43.21 ID:wRILEqxk0
男「結局それがどうなるんだよ」

祖父「うむ、だから、騙すのじゃ」

坊主「……騙す?」

祖父「へびいちごで作った酒を三日間、食事の代わりにとり続ける、だったかのう」

祖父「そういえば婆さんが作ったのを飲ませられたわい……」

祖父「酒の匂いとへびいちごのありもしない毒気で、匂いを忘れさせる、と」

坊主「……なるほど」

祖父「確か、願女鬼はとりついた相手の匂い覚えるとも言うとった」

祖父「じゃから、その匂いを存在していないことにしてしまうと」

祖父「効果はどれぐらいあるのかは分からんが、少なくともワシはその後、
    人食い少女と出会うことは無かったのう」


285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:54:08.55 ID:z1sW3H5J0
少女もヘビイチゴのように周囲から毛嫌いされてたんかね?
昔の娼妓は流産するために毒を服用してたから
身体が毒づけなんだよね。
そんな共通点がある。


 
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:58:42.33 ID:z1sW3H5J0
あ、すまん。少女が娼妓の体で書いてた


289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 16:59:54.69 ID:wRILEqxk0
男「なるほど……」

坊主「昔の人は考えたものですね……」

男「全然意味が分からない……」

坊主「」

祖父「」

祖父「じゃからのう、とりあえずへびいちごの酒飲めばえんじゃよ」

男「それで駄目ならどうするんだよ」

祖父「そんときは仕方ないのう。諦めろ」

坊主「その時は菩提樹の枝で首に一突きしかないですね」

祖父「かわいそうじゃが、それしかないのかのう……」

坊主「もしくは永遠に鬼と一緒に過ごすかですね」

男「……でも、なんだかなんで鬼になってしまったのかを思うと、何かしてやりたくなるなぁ……」

祖父「そんな事は飲んでから考えればいいんじゃよ」



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:06:41.36 ID:wRILEqxk0
ポツ、ポツポツ

祖父「ん? 雨じゃな……」

坊主「さっきまで晴れてたのに、急に曇るとは……」

男「ちょっ、だんだん強くなってきとるがな。中に入らんと」

ザァアアアア ザァアアアア

坊主「これは二日目の祭りは延期ですかねぇ……」

祖父「じゃのう、ニュースでもそう言うとるわい」ピッ

坊主「ちょっ、勝手に人の家のテレビつけないで下さいよ」

祖父「別にええじゃろ。無駄にこんなでかいテレビ買いおって、檀家から巻き上げる商売は儲かるのだのぅ」

坊主「人聞きの悪い事を……」

ザァアアアア ザアアアア


少女「どこにいるの……」

少女「忘れない匂い……桔梗の匂い……」

少女「あぁ、なんとなく、こっちからする……」


293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:13:23.74 ID:wRILEqxk0
男「ったく、そんなテレビとか坊主さんの財布事情とかどうでもいいから
   ヘビイチゴの酒とやらを用意しないと……」

男「どこで売ってるの?」

祖父「売っとらんよ」

男「へ?」

祖父「いちご酒なら売っとるようじゃが、ヘビイチゴの酒なんぞ聞いた事ないわい」

坊主「ですねぇ。自分で作らないと」

男「いやいやじゃあ爺ちゃんどうやって用意したんだよ」

祖父「だから婆さんが作ってくれたんじゃよ。じゃが婆さんはもう三年も前に先を行ってしまったからのう……」

坊主「しょうがないですねぇ、拙僧が作りますか……」

男「大体俺未成年なんだけどそこらへん大丈夫なのか」

祖父「自分の人生と比べてどっちがええか考えてみるんじゃな」

男「飲みます」



298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:20:27.91 ID:wRILEqxk0
……


坊主「とりあえずヘビイチゴ採ってきましたよ」

祖父「雨臭いからさっさと風呂入らんかい」

坊主「全く……父もなんでこんな人と親交を持ったのやら……」

祖父「ええんじゃよ。ワシが檀家の取りまとめをやめても」

坊主「うっ……」

祖父「親父に似てかたっ苦しいお前で檀家の取りまとめが出来るのかのう……」

男「脅してる……」

祖父「孫の一大事じゃからな」

坊主「一大事も何もいつもこうじゃないですか……」



302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:28:57.63 ID:wRILEqxk0
坊主「ヨイショ、ヨイショ」

坊主「ふぅ……」

祖父「出来たかのう?」

坊主「まぁ、大体はですけれど」

祖父「ふむ、では今晩から三日間ずっとこれを飲むんじゃぞ」

男「うっ……」

祖父「どうしたんじゃ?」

男「色が凄い……」

祖父「我慢じゃ我慢。味は大体酒じゃから、多分」

祖父「ワシもよう覚えておらんが、そんな辛くはなかったような気がするのう、多分」

祖父「くさやなり青汁よりはマシじゃ、多分」

男「うう、酷いんだかそうじゃないんだか全然分からないよその例え……」


304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:30:07.45 ID:HexhTIwi0
酒できるの早すぎワロタwww


305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:31:28.85 ID:zG29YN4Z0
個人でアルコール製造したので坊主逮捕


306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:31:50.71 ID:R/tFBuOZ0
>>304
焼酎にヘビイチゴを入れただけの
簡易ヘビイチゴ酒



307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:32:06.09 ID:7DlStqs10
単なる果実酒だろ、梅酒的な


308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:32:48.83 ID:UCofSx640
ホワイトリカーちゃうの?


309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:33:57.02 ID:PQuD+3+M0
酒造が違法なのであってすでにある酒に漬け込むだけのは問題ない


310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:34:51.06 ID:wRILEqxk0
坊主「色が酷いのは仕方ないですよ……」

坊主「なんせ、いいちこにヘビチイゴ混ぜただけですから」

祖父「うむ、即席麺も真っ青じゃな」

坊主「まぁ同じようなもんですし大丈夫でしょう」

男「おふた方はオレの事真剣に考えてくれてます?」

祖父「大丈夫じゃよ」

坊主「えぇ、一応本格的にも後で作るので、効果なかったらそっち飲みましょう」

男「手遅れになったらどうすんだよ……」

祖父「この寺に泊まってればひとまず安心じゃろ」

坊主「え、えぇ……ここに泊まるんですか?」

祖父「そりゃあのう、解決するまでは」


313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:43:54.73 ID:wRILEqxk0
少女「……ここかな」

少女「でも、入れない……」

少女「栗の匂いが、たくさん」

少女「食べれないのに、匂いだけ……」

少女「私のお鼻が、おかしくなりそう……」

少女「でも、多分ここから、桔梗の匂い……」


坊主「えぇ、はい、すいません、ヘビイチゴもとい野イチゴはこちらから持って行きますので」

坊主「はい、すいませんお願いします」

祖父「なんじゃどこに電話しておったんじゃ」

坊主「いや、知人に酒造をしている人が居まして、へびいちごの酒を造るよう頼んでいたんですよ」

坊主「拙僧、言っておいてなんですが本格的なのは作れませので」

祖父「ええのう、ついでに芋焼酎も頼んでおいてくれんかのう」

坊主「スーパーで買えばいいじゃないですか……」


314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:46:05.93 ID:+1mdUIOYi
いいちこかよ!


315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:49:47.32 ID:HexhTIwi0
いいちこwww


319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 17:51:31.01 ID:wRILEqxk0
男「しかし、これを飲まなければ行けないと言うのか……」ゴクリ

祖父「はよせんかい」グイ

男「アフゥ」ゴクゴクゴク

男「ゲフッ、ゲフッ……」

祖父「よう飲んだのう……」

男「爺ちゃん、飲ませておいて……」

男「凄い、独特の味がするんだけど……」

祖父「はじめてのアルコールデビューじゃな」

男「まさかこんな意味不明な酒がはじめての酒だと思わなかったよ……」


325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:01:51.42 ID:wRILEqxk0
祖父「はじめてなんてのは何もかもが大抵そんなもんじゃ」

坊主「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり、とも言いますからね」

祖父「そうじゃよ、こういった事はのう、生きていれば誰でも起きるものじゃよ」

男「いや普通起きないでしょ……」

坊主「ま、まぁ気にしてもしょうがないですから」

………
……


少女「お鼻がおかしくなったのかな」

少女「桔梗の匂い、ちょっと薄れて」

少女「ううん、前のようには行かないの……」

少女「私はやっとね、またね、見つけたから」

少女「今度は絶対、信じていれば……」


326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:06:30.21 ID:hpNRCb7X0
少女下さいお願いします

 
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:20:33.82 ID:zT8R0UIii
>>326
お前、栗の花臭いんだけど


332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:22:14.41 ID:4uYvTgq20
ガラガラヘビよ、気をつけて!


333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:24:58.91 ID:LUqTEcf00
がらがらへーびがやってくるー


336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:29:37.60 ID:wRILEqxk0
男「……」

祖父「どうしたんじゃ、急に黙りおって」

祖父「はじめてのお酒で酔ってしもうたか?」

男「いや……ただ、その、少女はどういう思いをしていたのかなって」

祖父「ふむ?」

男「何百年も、ただずっとああして生きてきたんだろ?」

坊主「鬼ですから、生きている、と言う解釈はどうかと思いますが」

男「それでも、なんだか、あの目は……」

坊主「人の臓物をすすってああなったんでしょうかね……」

男「いや、それだけじゃない気がするんです」

祖父「うむ?」

男「なんだか、当時の少女たちが、力なく倒れていって、血の涙とか流して、そういう
  色にも、見えたような気がして……」



338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:35:55.18 ID:wRILEqxk0
坊主「……」

祖父「……」

男「……良かったら、どういう子たちの思いがああいう鬼を作ってしまったのか
  教えて貰えないでしょうか」

坊主「まぁ、拙僧に分かる範囲で良いのなら」

………
……


少女「昨日より、もっと匂いがうすくなってる」

少女「私のお鼻がおかしいのかな」

少女「また、居なくなるの?」

少女「今度は、見られてないよ……」

少女「なんにも、してないよ……」

少女「どうして……?」


342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:43:33.59 ID:wRILEqxk0
坊主「とまぁ、詳しく言えば、そういう子も居たりしたそうです」

男「……」

坊主「他は……そうですね、成り立ちとしては基本は前に言った通りで間違いはありません」

坊主「時代の荒波に飲まれて、息をする事ですら苦痛を伴わなければ行けない子達だったのです」

祖父「可愛そうな想いが元の鬼なんじゃな……」

男「うん……」

祖父「話を聞いて、孫も少々面食らって大人しくなってしもうたわ」

男(半分は酒だけ飲んで過ごしてるせいだけどね……)

男(おなか減った)

祖父「さ、焼き鳥でも食うかの」

男「ひ、ひどい……。俺が食えない状態だって知ってて……」


345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 18:51:45.52 ID:wRILEqxk0
坊主「う~ん、この緊張感の無さ」

坊主「良いのか悪いのか……」

男「俺はまたお酒か……」

祖父「のんべぇの素質でも開花しそうじゃな」

男「そんなのなりたくねぇ……」

祖父「どれ、ニュースでも見るかのう」ピッ

坊主「だから勝手にテレビを……」

アナウンサー「延期となっておりました後期日程の夏祭りですが、明日の再開となっております」

祖父「ほう、孫が酒を飲み始めて丁度三日目に再開とな」

男「……」


350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 19:02:11.67 ID:wRILEqxk0
男「……行ってみようかな」

坊主「危ないですよ、もしもお酒の効果が無かったとしたら、今度はそのまま連れて行かれるかも知れない」

男「いや、効果の有無を確かめるには、実際に行って会って見ないと……それに、伝えたい事もありますし」

祖父「……ふむ」

坊主「……」

祖父「まぁええんじゃなかろうかの」

坊主「……しょうがないですね……では一応拙僧も後をつけますか」

祖父「ええんかい」

坊主「錫杖も久しぶりに出しますか……遊行以来です……」

祖父「あぁ、アレかのう。あのうるさい杖じゃな」

坊主「害獣や妖怪の類を寄せ付けない、と言う意味もあるんですけどね、あの音」


353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/17(火) 19:09:00.13 ID:wRILEqxk0
少女「もう、ちょっとしか……」

少女「明日になったら、匂い、無くなっちゃう……」

少女「がんばって待ったのに……」

少女「いっしょけんめいだったのに……」

少女「どうしたらいいの……?」

少女「……おなか、減ったなぁ……」

少女「あしたは、お祭り……」

少女「きっと……」

………
……


男「ぷふぁあ、最後の一杯飲んだぞう」

祖父「これで三日間のへびいちご酒の業は終わったのう」

坊主「うっすらと夕焼け色の空が……そろそろ夜ですね」

祖父「うむ、夏祭りもこれからが本番じゃな」




 

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