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勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」11/14
勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」
勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」
735
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 00:34:11.38 ID:yWQiwylQo
―――海賊船 会議室
船長「キャプテン!!まさかあの幽霊船から帰還するとは!!俺たちは信じていま―――」
キャプテン「お前ら、一週間飯抜きだ」
船長「えぇぇ?!」
キャプテン「それはさておき、ようやく手に入れられたね、念願の魔法銃」
エルフ「―――どうして?」
キャプテン「どうしてって、あたしたちが―――」
エルフ「どうしてあそこでドラゴンを見逃したの?」
勇者「……」
魔法使い「ちょっと」
エルフ「ドラゴンはボクたちのことを色々知っていた。逃がしたら魔王にボクたちのことが筒抜けになるよ?!」
勇者「連絡手段を持っていなかったとは考えられません。共に行動した時点で情報の漏洩はしているでしょう」
エルフ「でも、魔法銃があれば!」
勇者「……実は幽霊船の日誌に気になる記述を見まして」
僧侶「あの日誌ですか?」
元スレ
勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」
SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServise掲示板
736
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 00:42:58.17 ID:yWQiwylQo
勇者「貴女はじっくりと読んだみたいなので覚えているでしょう?」
僧侶「な、なにをですか?」
勇者「幽霊船の船長他多数の乗組員が魔法銃を使い魔物を虐殺している日の記述です」
僧侶「ああ……はい……」
勇者「魔法の銃も使いすぎるとダメになる。そう書かれていませんでしたか?」
僧侶「そういえば……」
魔法使い「ダメになるって、撃てなくなるってこと?」
勇者「恐らく」
僧侶「でも。一丁で十数匹の魔物を撃っていたみたいですし、まだ余裕はあるんじゃないでしょうか?」
勇者「それは何年前の銃だと思っているのですか?」
キャプテン「……」
勇者「それに当時の乗組員はストレス解消のため無駄に発砲しています。残り何発なのか分かりません」
エルフ「じゃあ……さっきのが最後の一発だった可能性もあるってこと……?」
勇者「二発目がなかった場合、あの場でドラゴンに食い殺されていたでしょうね」
魔法使い「そういうことだったの……」
737
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 00:51:21.40 ID:yWQiwylQo
キャプテン「じゃあ、意味なんてないねえ」
勇者「いや。ありますよ」
キラーマジンガ「はい。魔王はその武具を恐れていると見て間違いありません」
キャプテン「抑止力か」
勇者「その通りです。それを持っているだけでも僕たちにとってはプラスです」
魔法使い「問題はそのハッタリがどこまで通用するかね」
勇者「あの異形のクラーケンを一発で仕留められたのは大きいでしょう」
エルフ「でも、それだけじゃあ……」
勇者「魔王はただの人間を殺すのにも慎重に慎重を重ね、準備をし、勝利が磐石になったときに初めて動く」
勇者「絶対に負けない戦にしか乗ってこないとしたら、僕らが魔法銃という新兵器を手にしたことによって奴の進撃は必ず遅延するはずです」
キャプテン「更なる兵の強化が必要になるものね」
勇者「はい。ドラゴンの報告は魔王にとってこの上ない凶報になる」
僧侶「ということは……仕掛けるなら……」
勇者「今しかないでしょう。絶好のチャンスです」
キャプテン「ふふっ!!よし……!!者共!!!戦争の準備をおっぱじめなぁ!!!」
739
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 00:58:02.51 ID:yWQiwylQo
―――夜 海賊船 甲板
勇者「……」
キャプテン「こんなとこにいたのかい。会議が始まるよ」
魔法使い「アンタがいないとダメなんだって」
キャプテン「あ、たしは別にぃ!!」
勇者「僕たちが会議に参加する意味は殆どありません」
キャプテン「どうしてだい?」
勇者「僕たちは僕たちで魔王と戦います」
魔法使い「それって……」
キャプテン「あたしたちは陽動役かい?」
勇者「いいえ。違います。―――魔王は城から出てこないはずです」
キャプテン「そ、そりゃあ……大将だからそう簡単に……」
勇者「それだけじゃありません。ドラゴンという戦力が戻った今、魔王が前線に出てくるわけがない。きっとあの用心深さからして、高みの見物を図る」
魔法使い「まあ、そうでしょうね」
勇者「そして……危なくなったら、例の孤島に逃げ込む気でいるのでしょう」
740
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:05:14.32 ID:yWQiwylQo
キャプテン「それって……数百年前と一緒じゃないか」
勇者「そうなったら終わりです。なので、僕たちはその孤島に先回りしておきます。で、戻ってきたときにポカッと叩く。完璧です」
魔法使い「あそこはどんな船でも近づけないって話じゃなかった?」
勇者「魔法で海流を操っているのでしょうね」
キャプテン「わかった。また海を凍らせて……」
魔法使い「あれをするの?疲れるんだけど……」
勇者「いやいや。戦う前から貴重な戦力を削いでしまっては勝てるものも勝てなくなります」
キャプテン「じゃあ、どうするのさ」
勇者「空を飛べればいいんですけどねえ……」
魔法使い「馬鹿なこといってるわ」
勇者「ドラゴンの背なら5人ぐらい余裕だと思うんですけどねぇ……」
魔法使い「はぁ?」
キャプテン「あいつは帰っちまったじゃないか」
勇者「はぁ……そうなんですよね……」
魔法使い「結局、いい手がないってことでしょ?」
741
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:13:01.12 ID:yWQiwylQo
勇者「……ドラゴンを倒しましょうか」
魔法使い「え?」
キャプテン「ドラゴンをかい?!」
勇者「何気に彼女は言うこと聞いてくれそうなんですけど」
魔法使い「ほんの少しの間、一緒にいただけでしょ。情が移ってるとも思えないわ」
勇者「まあ、どっちにしても今のところ空を飛ぶ方法はそれしかありません」
キャプテン「奴が魔王のところに戻ったとするなら、ここから北にあるかつての軍事大国にいるだろうね」
魔法使い「どういう国なの?」
キャプテン「高い壁に囲まれて息が詰まりそうになる国さね。魔王の侵攻対策でそうしたみたいだけど、意味はなかったね」
勇者「国に入るもの中々厳しそうですね」
キャプテン「ああ。今は人間に代わって魔物が警備しているだろうし」
魔法使い「行くの?」
勇者「もちろん」
魔法使い「……ドラゴンに拘る理由は?」
勇者「あのドラゴンさん、可愛い女の子に変身できるんですよ?これは毎夜毎夜、僕を飽きさせない側室になること請け合いです」
742
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:21:24.64 ID:yWQiwylQo
魔法使い「もう……」
キャプテン「あっはっはっはっは!!いいね!!サイコーじゃないか!!」
勇者「それほどでも」
キャプテン「まあいいさ。とにかく細かい打ち合わせはしなきゃダメだ。会議室にきな」
勇者「了解」
魔法使い「……」
勇者「なんですか?」
魔法使い「勇者は誰かを何かを守る者、だ」
勇者「……」
魔法使い「ねえ……やっぱり……そういうことなの?」
勇者「何のことでしょうか?」
魔法使い「アンタがそこまで側室を……求める理由……」
勇者「それは老後の―――」
魔法使い「時々、貴方は空虚な顔をしているときがあるわ。さっきも夜の海を見ているときになってたわよ?」
勇者「これは僕としたことが……失礼しました。貴女たちの前では絶対に見せないよう努めていたのですが、やはり共にいる時間が長いとダメですね」
743
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:34:31.38 ID:yWQiwylQo
魔法使い「そろそろ話してくれてもいいんじゃない?」
勇者「……」
魔法使い「どうして貴方が戦うのか、聞きたい。勇者だから?それとも……」
勇者「―――俺の故郷は魔王によって滅ぼされた」
魔法使い「え……?」
勇者「数人の村民だけが生き残っただけだった。でも、途中で魔物に襲われ、ついには俺と友人の二人だけになった」
勇者「励まし合いながら俺たちは逃げた。そして行き着いた場所が、あの街」
勇者「程なくして俺たちは生きるために二人で一緒に兵士になった。でも、ちょっとした問題があったんだ」
魔法使い「なに?」
勇者「見知らぬ土地の人間たちを守るなんてこと……俺にはできなかった」
魔法使い「……」
勇者「兵士なのに市民を守る意識が全然沸いて来なかった。だから、いつまで経っても戦闘技術は上達しないし、よく兵士長にも怒鳴られたよ」
魔法使い「よく今まで続いたわね……」
勇者「あるとき友人が、自分を守るために強くなってほしいって言ってくれた。―――この国の民を守れないなら、同じ故郷の友人を守るために強くなれと」
勇者「俺はそいつのためだけに強くなることを決めた。だけど……そいつは、死んだ。勇者として」
744
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:44:24.45 ID:yWQiwylQo
魔法使い「勇者としてって……」
勇者「努力の糧だった友人が死んだ。俺はその瞬間、きっとどこかで無様に死ぬんだろうって思ったよ」
勇者「翌日、勇者に任命されても思ってた」
魔法使い「貴方は優秀だったんでしょ?剣術は……」
勇者「ええ。誰にも負けないほど強かった。でも、守るものがないとやっぱり行き急ぐから」
魔法使い「勇者として死ぬつもりだったの?」
勇者「さっさと旅立って死んでやろうって考えていたけど……でも、やっぱりアイツの仇は取ってやりたいって思うようになって」
勇者「それで……どうするか考えた結果……」
魔法使い「側室?」
勇者「そう。お嫁さんになってくれそうな人とは生憎出会えなかったし、そもそもお嫁さんだけでは強くなれないって感じた」
勇者「なら、守る候補を多くしてやればいいって結論になって……側室探しを始めた」
魔法使い「馬鹿じゃないの?一緒に旅をしたら意味ないでしょう」
勇者「死なせたく人が傍にいるから余計に自分を追い詰めることができる。後ろの人だけは絶対に死なせない。死なせないためには強くなるしかない」
魔法使い「……」
勇者「そして、そう思わせてくれる人だったんです。貴女たちは」
745
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:50:37.46 ID:yWQiwylQo
勇者「とはいえ、褒められたことではないけど」
魔法使い「そうね。結局は貴方も私たちを同じじゃない」
勇者「そう。仇を討つために強くなりたかった。それだけのために俺は貴女たちの心を弄んだ」
魔法使い「……」
勇者「側室だのなんだの言いましたが、根底では復讐の道具として扱ってきたのも事実です」
魔法使い「そう……」
勇者「別れるとき、貴女を怒らせるためにいった台詞は、自分に対してでもありました」
魔法使い「……」
勇者「もうしわけありません」
魔法使い「最低ね」
勇者「自分でもそう思います」
魔法使い「……」
勇者「でも、ここまで来たのですから最後まで側室候補して貴女とは接します」
魔法使い「その言い方……側室にする気なんてないってこと?」
勇者「ないというか、無理でしょう?」
746
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 01:55:39.32 ID:yWQiwylQo
魔法使い「……」
勇者「側室になってくれるのですか?」
魔法使い「な、ならないわよ」
勇者「ですよね」
魔法使い「……バカ」
勇者「言っているだけです。本気にしてる人なんていないと思います。―――ああ、でも一人だけいるみたいですけど」
魔法使い「そういえば、彼女となんかあったの?」
勇者「以前、側室でもいいと言われました。どこまで本気なのかはわかりませんが」
魔法使い「ふーん……」
勇者「まあ、擬似ハーレムを作りたいだけですし、もう少しみなさんには協力してもらいましょうか」
魔法使い「よくこんなこと話したわね」
勇者「大好きになってしまった人に隠し事はできないでしょう?」
魔法使い「なっ……!?」
勇者「それだけですよ。―――さ、そろそろ戻りましょうか。キャプテンも待っています」
魔法使い「ああ!ちょっと!!」
748
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:03:12.86 ID:yWQiwylQo
―――海賊船 会議室
キャプテン「―――では、以下の通り行動するってことでいいね?」
勇者「まずは僕たちがドラゴンとちんちんかもかもな関係になる。そして、その瞬間を見計らい、海賊船団が一気に攻撃を始める」
キャプテン「ここであたしたちが魔王の軍勢を叩き、魔王をあぶりだすってわけだ」
勇者「ドラゴンさえ居れば魔王がどこに移動しようとも、僕たちの勝利は揺るがない」
エルフ「裏返すと、ドラゴンが居なきゃ成功はしないってことだね」
勇者「そうなりますね」
僧侶「はぁ……ドキドキします……」
キラーマジンガ「あの……」
勇者「キラちゃんはどうする?」
キラーマジンガ「私が決めてもいいのですか?」
勇者「君には心がある。君自身が決めたほうがいい」
キラーマジンガ「……」
キャプテン「何はともあれ、まずはドラゴン懐柔作戦を成功させなきゃ始まらないんだ!!しっかりやりなよ、あんたたちぃ!!!」
僧侶「イエス、ボス!」
749
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:11:40.79 ID:yWQiwylQo
―――魔王の城
魔王「魔法銃……だと……」
ドラゴン「申し訳ありません」
魔王「まさか、そのような遺産が……」
ドラゴン「ここは我が身にかえましても……やつらを……」
魔王「よい。今は勇者のことよりも重大な作戦が控えている」
ドラゴン「トロルの領地だった場所へもう一度攻め込むのですか?」
魔王「イレギュラー因子がもういないことは確認済みだ。敗走はまずない」
ドラゴン「……」
魔王「あそこさえ落とせば、隣国は支援を一切受けられない孤立状態となる。そうなればニンゲンどもに残された道は絶望的な消耗戦だけ」
魔王「一気に我の領土を広げられる」
ドラゴン「では、私は……」
魔王「ここの守りを任せたい。お前の報告を聞く限り、恐らくすぐに攻めてくるはずだ」
ドラゴン「魔王様は?」
魔王「ここを離れ、機を待つ。魔法銃の対策を練る必要もあるしな」
750
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:19:13.26 ID:yWQiwylQo
―――数日後 海賊船
勇者「見えてきましたね」
僧侶「高い壁が見えますね」
エルフ「あそこがかつての軍事大国」
魔法使い「上陸は問題ないの?」
キャプテン「警備が薄いところは把握しているよ。まあ、そこから壁の向こうにいくのはちょっと骨だろうけど」
勇者「ここまでありがとうございました」
キャプテン「いいさ。―――生きて帰ってきなよ」
勇者「未亡人にはさせませんよ」キリッ
キャプテン「もう!冗談ばっかりだなぁ!!やめろよぉ!!テレるじゃないのさぁ!!」
勇者「あっはっはっはっはっは!!かわいいお姉さんもいいものですねえ!!」
キラーマジンガ「は、はやく……陸へ……大地が恋しい……」ガタガタ
エルフ「一緒に行くって、船にいたくないから?」
キラーマジンガ「違います。マスターが心配なだけです」
僧侶「あの子……戻ってきてくれるでしょうか……?」
751
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:28:34.27 ID:yWQiwylQo
―――軍事大国 陸地
勇者「―――行きましょう」
僧侶「なんか揺れてませんか?」ヨロヨロ
魔法使い「いや、あんたの足下が揺れてるのよ」
エルフ「ずっと船に乗ってたからなんか気持ち悪いね」
キラーマジンガ「そんなことはありません。今、生きていることに感謝しましょう。アーメン」
勇者「いい考えですね。ここまで生きてこれたのは、主に勝利の女神が微笑みっぱなしだったからでしょう」
僧侶「本当ですね」
キラーマジンガ「私たちの戦力ではいつ全滅してもおかしくありません」
魔法使い「今から敵の本陣に乗り込むんだから、そういうこと言わないでよ」
勇者「そうだぞ、娘よ。空気を読むんだ」
キラーマジンガ「空気を読む……?」
勇者「いいかい?人とのコミュニケーションでは気持ちを察することも大事なんだ」
キラーマジンガ「ふむふむ」メモメモ
エルフ「歩きながらでもできるでしょ?いくよー」
752
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:34:28.50 ID:yWQiwylQo
―――フィールド
魔法使い「マーちゃんは着いてきてるけど、マスター居ないのにいいのかしら?」
エルフ「誰かの命令は聞かないって言ってるよ。今、僕たちについてきているのは自分で決めたことだからいいって」
僧侶「勇者様が仰いましたもの。自分で決めなさいって」
魔法使い「そっか。あいつはマーちゃんが困らないように……」
エルフ「心があるのは機械にとっては邪魔でしかないと思ってたけど、そうでもないかもね」
勇者「―――なぁなぁ」
キラーマジンガ「どうしました?」
勇者「昨日さ、彼女ができたんだ」
キラーマジンガ「本当ですか?」
勇者「これ、写真」
キラーマジンガ「うわ。ブッサ」
勇者「なにをぉ!!!死刑!!!」
キラーマジンガ「バ、バカな?!」
勇者「―――な?空気を読んで「綺麗な彼女ですね」と言っていれば、死刑にならずに済んだわけだ。空気を読むことは大事だぞ」
753
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:40:52.66 ID:yWQiwylQo
キラーマジンガ「人間社会とか中々にスリリングですね」
勇者「気をつけたまえ」
キラーマジンガ「また一つ勉強になりました」
勇者「なんのなんの」
魔法使い「それはただのお世辞でしょ?」
エルフ「うん……別じゃないかな?」
勇者「一緒ですよ。僕が演じた男性は彼女を褒めてほしくて話を切り出したわけですから」
魔法使い「まぁ、そうね」
僧侶「でも、空気を読むって自分の気持ちを殺すことでもありますから、それができないこともあると思います」
キラーマジンガ「どういうことですか?」
僧侶「周囲の人があるモノに対して嫌悪し、悪口を言っているとします。でも、自分にとってはとても大切なモノだった」
キラーマジンガ「ふむふむ」メモメモ
僧侶「空気を読むという意味では自分もそのモノに対して罵詈雑言を並べるべきなのでしょう。でも、自分の気持ちを押し込んでまで大切なモノを貶めることは難しいはず」
キラーマジンガ「つまり……そういうことでしょうか?」
僧侶「そうですね……では、実演してみます」
754
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:43:49.05 ID:yWQiwylQo
魔法使い「あの勇者、マジでキモくね?」
エルフ「わかるわかる。なんかオタクっぽいよねー」
僧侶「うんうん。ほんとにねー」
キラーマジンガ「……」
勇者「や、やぁ……こんにちは……」
魔法使い「うわ、きたよ。かえれ」
エルフ「キンモー」
僧侶「ばい菌が移るので半径50メートル以内にこないでください」
勇者「うぅ……」
魔法使い「貴女もそう思うよねー?」
キラーマジンガ「わ、私は……」
エルフ「えー?なに?もしかして、あいつのこと好きなのー?」
僧侶「えんがちょ」
キラーマジンガ「ち、ちが……!!」
勇者「……」ウルウル
755
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:47:54.66 ID:yWQiwylQo
キラーマジンガ「―――わ、悪くいうなぁ!!!」
魔法使い「はぁ?」
キラーマジンガ「た、確かにちょっと暗いところもあるけど……この人は優しい人です!!」
エルフ「なにこいつ」
僧侶「空気読んでくださいよー」
勇者「あ……あの……」
キラーマジンガ「大丈夫です。私は貴方のいいところをいっぱい知っていますから……」
勇者「うぅ……ありがとう……ありがとう……」
キラーマジンガ「いいんですよ……私が……守ります……」ギュッ
勇者「素敵……抱いて……」ギュッ
僧侶「―――はい。終わりです」
魔法使い「最後の台詞、いらないわよね?」
エルフ「うん」
勇者「感謝の気持ちに股を開くって大事だろうがぁよぉ!!!」
魔法使い「本当にキモイわね!!アンタはぁ!!」
756
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:52:47.74 ID:yWQiwylQo
キラーマジンガ「なるほど……」
僧侶「どうでしたか?」
キラーマジンガ「少しだけ理解できました。譲れないモノに対して、空気を読む必要はないということですね」
僧侶「はい。心があるのなら」
キラーマジンガ「ありがとうございます」
僧侶「いえいえ」
魔法使い「早く行くわよ」
エルフ「キャプテンに貰った地図によれば、ここから北西に向かえば関所があるみたい」
勇者「関所?」
エルフ「門だね」
魔法使い「どうやって抜けるの?」
勇者「まずは行ってみないことにはわかりませんね」
キラーマジンガ「周辺に魔物はいないようです」
勇者「そうですか。まあ、無理はせずに命を大事にしていきましょう」
僧侶「はーい」
757
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 02:58:02.01 ID:yWQiwylQo
―――関所
勇者「誰か居ますか?」
キラーマジンガ「魔物の気配はありません」
エルフ「蛻の殻なの?」
キラーマジンガ「状況的にその表現はもっとも適切です」
魔法使い「通ってもいいのかしら?」
僧侶「罠では?」
キラーマジンガ「私のセンサーから逃れる術を有している魔物が大量にいることは考えにくいです」
勇者「いないなら通りましょう。好都合です」
エルフ「いいのかなぁ……?」
魔法使い「ほ、本当にいないでしょうね……」ドキドキ
僧侶「とおりまーす……」
勇者「……」
キラーマジンガ「私の索敵は信じられませんか?」
勇者「そんなことあるわけないよ。進もう」
758
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 03:04:57.60 ID:yWQiwylQo
―――フィールド
勇者「この街道を進めば、問題の城下町につけますね」
僧侶「魔王の城と化した……お城なんですね……」
勇者「貴女がいれば余裕です」
僧侶「勇者さまぁ……」
魔法使い「仲いいわね、相変わらず」
キラーマジンガ「うーん……」
エルフ「どうかした?」
キラーマジンガ「いえ……先ほどの授業で少し気になることが」
魔法使い「なになに?なんでも言って」
キラーマジンガ「空気を読まなかった結果、皆さんとの間に軋轢が生じました。これは敵対するということですよね?」
エルフ「うん。そうなるね。意見に沿わない相手を敵視するのは当然の流れだし」
魔法使い「対立したくない人とも対立しなきゃならなくなる。そういう決断はしなきゃだめね」
キラーマジンガ「なるほど……相当な覚悟がなければできないことですね」
魔法使い「それだけ自分にとって譲れないモノなら、時にはそういう決断もいるわね」
759
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 03:09:21.95 ID:yWQiwylQo
―――魔王城 城下町
勇者「静かですね」
僧侶「城下町なのにゴーストタウンです……」ギュッ
勇者「魔物は?」
キラーマジンガ「存在しません」
魔法使い「不気味すぎるわ……どういうことよ……」
エルフ「魔王かドラゴンが呼んでいる……ってことかな?」
勇者「僕も同じ事を考えていました。もしくはこの国はもう戦略的に不要な土地となったか……」
僧侶「人が生きている感じはないですね」
勇者「黄金の国と同じでしょう。人間なんて戦って殺されるか生き延びるために逃げるかしか選択肢はありません」
魔法使い「……」
勇者「罠の可能性も十分にあります。気を引き締めていきましょう」
エルフ「うん」
僧侶「はい」
キラーマジンガ「……」
760
名前:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2012/06/23(土) 03:14:05.85 ID:yWQiwylQo
―――魔王の城 城門前
勇者「ここが……」
魔法使い「あ、あけるの?」
勇者「ここまで誰もいないとなるとご招待されているとみて間違いないでしょう」
エルフ「そうだね」
僧侶「あぁ……勇者様……」
キラーマジンガ「センサーに反応」
魔法使い「え?!」
エルフ「