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男「パン……食べるか?」 少女「……」1/2

男「パン……食べるか?」 少女「……」


男「パン……食べるか?」 少女「……」



1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:31:07.72 ID:ZHB95xhe0
隣室(ガンッ!!! ガンガン!!!!!)

男「………」カタカタカタ

隣室(…クソ!!……ッシネ!!!…ォマエガッ…………)

男「……………」カタカタカタカタカ

隣室(…ゴメンナサイッ………アッ!……)

男「…………………………騒がしいな」

男「………」カタカタ

男「……………」

男「…………………もしもし? レジデンス×× 6B号室の者ですが」

男「隣の部屋がうるさいんで困ってるんです…………ええ…………ええそうです苦情を伝えてもらえませんか?」

男「6C号室の方です……………はいお願いします……それじゃ」ガチャ



書き溜めはない



 


男「パン……食べるか?」 少女「……」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:32:55.62 ID:ZHB95xhe0
男「………ふぅ」

男「………………」カタカタカタ

男「………ここまでにして寝るか……っと電話だ」Prrr...

男「もしもし………え?10時からですか?でも授業があるんですが………2割増しですか…でも……」

男「3割?…………OK行きます」

男「はい…はい……それじゃ明日………」ガチャ

男「……寝るか」

隣室(………………ゥルセェッ!!………ガン!!!)

男「……近隣住民への迷惑を考えない不良市民」ボソ

男「…………寝よう」





 
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/01/05(木) 12:37:24.63 ID:ZHB95xhe0
ーー翌朝

男(今日も今日とて勤労学生……)

男(ん……?)

少女「………」

男(………)チラ

男(……よくエレベーターで出くわす小学生)

男(見るたびにやつれていってる気がするが)

少女「……?」チラ

男(面倒事には関わらないに限る)フイ



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:39:50.69 ID:ZHB95xhe0
ーーバイト先

女「悪いね大学あるのに」

男「目先のバイト代に釣られました」

女「また一人逃げられちゃったせいで大忙しなんだよ」

女「楽な仕事なのに毎度毎度なにが気に食わないのかねぇ?」

男「女さんのセクハラのせいだと思いますよ」

女「セクハラちがう!愛あるコミュニケーションでしょ!いわばラブハラ!」

男「ハラスメントであることは否定しないのかよ」





 
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:42:34.58 ID:ZHB95xhe0
女「今や君だけだよ私についてきてくれるのは」

男「金に釣られてるだけですけどね」

女「ふっ……そんなこと言ってぇ。私の身体目当てなのはわかっている!」

女「このわたしの豊満なわがままボデーを日夜狙っていることは周知の」

男「だまれよチビ」

女「チビ言うな!」

男「こっちの方から片付けていいんですよね」

女「訂正しろ!挿入するぞ包茎野郎!」

男「パイパン女に言われたくないですね」

女「見たのか!?どこで!いつ!?」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:45:57.28 ID:ZHB95xhe0
男「……ふぅ」

男「とりあえず急ぎはこれで終わりですか?」

女「うんありがと!あとは私一人で間に合うから」

男「じゃあ俺は大学行きます」

女「はいよー……っあ!今日は用事あるから夜はいいよ!」

男「了解です」

女「それじゃまた明日ねー!私がいないからって抜きすぎるなよー!」シコシコ

男「その腕の動きをやめろ」



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:49:22.59 ID:ZHB95xhe0
ーー大学

講師「………利他主義は様々な問題を孕みますが、その一つは『限度をどこに定めるか』というもので……」

男「…………」カリカリカリ

講師「例えば『募金』することは一般的に善行ですね。この中には道端で募っている募金箱にお金を入れたことがある人もいるでしょう」

講師「しかし、『募金』の機会は道端にのみ転がっているわけではありません。その機会は無数にあり、我々は少しの労力でそれを調べられる」

講師「インターネットなどで『募金』について調べてみて下さい。我々は大した労力もなく募金できることがわかるでしょう」

男「…………」カリカリカリ





 
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:55:41.08 ID:ZHB95xhe0
講師「そしてさらに、我々は毎晩のおかずを一品我慢してその分を募金に回せば、飢餓に苦しむ何人もの人達を救えることがわかるはずです」

講師「さて、この話を聞いて『これから毎晩のおかずを一品抜いて募金に回そう』と考えた心優しい皆さん。優しい皆さんはやがてこう考えるようになる」

講師「『おかずをさらにもう一品抜けばその分多くの人を救えるのではないか』……と」

男「…………」カリカリカリ

講師「さて優しい皆さんは世界のどこかで飢えている人達を救うために毎晩のおかず二品を諦めることにしました」

講師「しかし皆さんの優しさは天井知らずですね。その優しさは『朝御飯を抜けばよい』『昼食は必ず300円以下ですませよう』……だんだんとエスカレートしていきます」

男「…………」カリカリカリ





 
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 12:59:28.19 ID:ZHB95xhe0
講師「その優しはやがて食事にとどまらなくなっていくでしょう。服装も、家賃も削ろうと思えば削れるところはいくらでもありますよね。貧しい生活でも生きていくのには問題ない」

講師「そんな生活ですら飢餓で苦しむ人に比べればはるかに恵まれた暮らしです」

男「…………」カリカリカリ

講師「利他主義を自分自身に当てはめて生活指針とする場合には、このような『限度』をめぐる問題がでてきます」

講師「皆さんは『自分がほんの少し我慢すれば救われる人がいる』ということをよく知っています。しかし他人の利益のためにする行動には際限がない」

男「…………」カリカリカリ

講師「極まれば自分自身を破滅させるでしょう。さて、『我々はどのように他人に優しくする』のがよいのでしょうか?各自考えてみて下さい」

講師「来週は休講です。再来週は机上レポートですがノートの持ち込みは可です。それでは」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:05:28.49 ID:ZHB95xhe0
ーー電車

男(募金なんてする余裕はない)

男(学費のためにかせいで、生活費のためにかせいで、家賃のためにかせいで……)

男(余裕なんてどこにもない)

男(自分と関わりのない他人が死のうが知るか)

男(自分だけが幸せであればいいなんて言うつもりもないが……)

男(赤の他人の不幸に胸を痛めるような善人じゃないし、道端の募金箱に金を入れるほど偽善者でもない)



 
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:10:40.09 ID:ZHB95xhe0
ーー自宅

男(ようやく帰宅……っと)

男(家賃折半なのはありがたいが大学まで電車で1時間半は遠いよな)

男「……ん?」

少女「………」

男(またこの娘か……俺の部屋の前で何してんだ?)

少女「………」チラ





 
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:12:54.25 ID:ZHB95xhe0
男「………うちに何か用事?」

少女「………」

少女「………」フルフル

男「………」

男「………そう」

男「………」バタン

少女「………」

男(鍵がなくて親の帰りでも待ってたのかな)




 
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:19:11.82 ID:ZHB95xhe0
男「………」カタカタカタ

男「………………」カタカタカタ

男「…………………………ふぅ。ちょっと休憩」

男「コンビニ行くか」

ガチャ

男(……まだいた)

少女「………」

男(……あれから3時間だぞ?)






 
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:25:26.44 ID:ZHB95xhe0
男「……………部屋の鍵もってないの?」

少女「………」

少女「………」フルフル

男「……………」

男「風邪引かないうちに部屋に帰った方がいいよ」

少女「………」

男「……………」

男(コンビニ行こ)





 
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:31:25.68 ID:ZHB95xhe0
ーーコンビニ

男(女さんがいないと途端に手抜きになるな)

男(もともとの性格がだらしないんだろうな)

店員「460円になります……はいちょうどですね。ありがとうございましたー」

男(ついでに明日の晩飯用にスーパーで食材買って帰るか)ピポパ

男「……もしもし。女さん?明日の晩飯なにがいいですか?」

女『愛情たっぷりのラブカレーにして!』

男「カレーですね。了解です」

女『ただのカレーじゃないわよ!ラブカレー!隠し味にラブジュー』プツン...ツー...ツー...

男「……さて、手早く買って帰るか」







33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:37:23.54 ID:ZHB95xhe0
ーー自宅

男(飯食ってもう2時間ほど勉強して寝よ)

男「………」

男「………………まだいる」

少女「………」

男「…………」

男(……関わり合いになるべきじゃない)

男(所詮は赤の他人だ)

男「…………」ガチャ...バタン...

少女「………」




 
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:44:20.17 ID:ZHB95xhe0
ーー翌朝

ガチャ

男「………さすがにいないか」

男「………」

男「……なんだったんだろうな」

ガチャ

婦人「あら。おはようございます」

男「あぁどうも」

男(……6C号室の人か。ここに住んで日が浅いからか初めて見たな)




 
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:52:19.37 ID:ZHB95xhe0
ーーバイト先

女「やあやあ今日も元気かね勤労ボーイ!」

男「お早うございます。今日もテンション高いですね」

女「いやー昨日は忙しくてオナニーできなかったからエナジー溜まっちゃってさ!生理前ってこともあってムラムラし」

男「やめろ絶壁女」

女「絶壁じゃねー!そんなに言うなら見せてやんよこのオナニストめ!」

男「これはこっちに戻しちゃっていいやつですよね」

女「聞けよ!」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 13:57:56.97 ID:ZHB95xhe0
男「これが最後かな」

女「おうお疲れー。それ仕上げたら帰りましょ」

男「今日は本邸じゃなくてこっちでいいんですよね」

女「うん!カレーカレー!ラブカレぇー!!」

男「ふつうのカレーですよ」

女「それじゃ私による、私のための、私から漏れでたエキスを隠し味に」

男「あんたに全部食わせるからな」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 14:05:25.19 ID:ZHB95xhe0
ーー自宅

女「たっだいまー!」

男「……」

女「ん?どしたの?きょろきょろして」

男「いや……昨日の夜小学生の女の子がうちの部屋の前にいたんで少し気になって……」

女「あー……ひょっとしてお隣さんかな」

男「知ってるんですか?」

女「うん。私より前にここに住んでる人だし。奥さんの方はたまに玄関先で出くわして挨拶するくらいだけど……」

男「けど?」

女「でも……女の子の方は以前からうちの部屋の前でよく見かけてたかな」

女「なんかワケありっぽいよ?よくは知らないけど」

男「……」





 
53 名前:書き溜めがないからゆっくり進行[]投稿日:2012/01/05(木) 14:58:57.54 ID:ZHB95xhe0

男「………」カタカタカタ

女「………」ジー

男「……………」カタカタカタカタカタ

女「……………」ジーー

男「…………………」カタカタカタカタカタカタカタ

女「ジーーーーーー」ジーーーーーー

男「何なんですかさっきから」

女「暇だからかまって」

男「勉強で忙しいんです」カタカタカタ




 
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:12:51.84 ID:ZHB95xhe0
女「かまえ!あそべ!私を抱け!」

男「抱きません。一人で慰めて下さい」

女「なんで!年上に興味ないの!?」

男「どうせ包茎ですから」

女「なに?拗ねてるの?それともお風呂覗いたことまだ怒ってる?」

男「……」

女「じゃあ寝顔をおかずにオナニーしたこと?ひょっとしてトイレのあとの匂いをかいだこと?それとも……」

男「全部です。あとやたらトイレのタイミングが被ると思ってたらそんなことしてたんですか」

女「あ………いや!今のは言葉の綾子さんだから!」




 
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:20:39.88 ID:ZHB95xhe0
男「少しは変態行為を自重して下さい。じゃないとさすがに出ていきますよ」

女「…………ッ!」

女「……わかったわよ。気をつけるから……」

男「まったくもう……。再来週は試験期間なので忙しんですよ。それが終わったら遊んであげますから」

男「…………」カタカタカタ

男(机上レポートの課題は「利己主義と利他主義をめぐる諸問題について論ぜよ」)

男(今週までのノートの内容をまとめ直そう)





 
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:28:32.12 ID:ZHB95xhe0
-
--
---

講師『……利他主義にはまた別の問題もあります。それは『自分と他者の価値基準の相違』をめぐる問題です』

講師『良かれと思ってしたことが当の相手にとっては迷惑なことでしかない、ということはしばしば起こることです』

講師『例えば宗教勧誘などはその一例たりうるかもしれません』

講師『純粋に他人のためを思って勧誘する勧誘者もいるでしょうが、それが勧誘される人にとっては迷惑というのは往々にしてあることですよね』

男「…………」カタカタカタ



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:32:42.15 ID:ZHB95xhe0
男(たとえば……)

男(たとえばの話だけど)

男(たとえば隣の部屋で小学生の女の子が虐待されているとして……)

男(僕は隣人の虐待を止める努力をすべきだろうか。警察に電話したりとか…?)

男(でも……止めるべきだとしたらなぜ?)

男(赤の他人のことなんて知ったことじゃないんじゃなかったのか)



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:36:18.41 ID:ZHB95xhe0
男(人は……一貫した行動指針をもつべきだと思う)

男(赤の他人の彼女を助ける努力をするなら、彼女以外の赤の他人を助ける努力もすべきだ)

男(もしその努力をしないなら僕の行動には一貫性がないことになる)

男(目の前の人間だけを助けるのなら……そんなものは一時的に良いことをして自分が気持ちよくなりたいだけじゃないか)

男(そんな行為は……偽善以外のなにものでもない)

男「……」

男「…………ふぅ。コンビニ行こ」





 
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:41:41.70 ID:ZHB95xhe0
男「女さん。コンビニ行ってきますけど何かいりますか?」

女「あんまん!」

男「了解です。じゃ行ってきますね」

ガチャ

男「………ッ!?」

少女「……」

男(夜の11時だぞ?こんな時間まで……)

少女「……」





 
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 15:48:13.08 ID:ZHB95xhe0
男「………」

少女「………」グゥゥ...

男(おそらく晩飯も食べてないんだろうな。でも……僕には関係ない)

少女「………」

男(この娘をめぐる問題に手を出しても……僕はその先の結果になんの責任もとれない)

男(関わり合いになるべきじゃない)

男(赤の……他人なんだから………)




71 名前:>>70 Yes[]投稿日:2012/01/05(木) 15:56:00.51 ID:ZHB95xhe0
ーーコンビニ

男「コーヒーと、あとお菓子……」

男「………」

男(………僕には関係ない)

男(……関係ない)

男(…関係ない、けど)

男「これくらいは」ガサ

店員「お会計630円になります」

男「あ、すいません。あんまん2つ」





 
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:01:32.65 ID:ZHB95xhe0
ーー自宅

少女「………」

男「………」

男「………あのさ」

少女「………?」チラ

男「パン……食べるか?」

少女「………」

男「晩飯食ってないんだろ?いらないならいいんだけど」

少女「………」

少女「………………ママが………人からものをもらっちゃダメだって」

男「……………」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:05:03.23 ID:ZHB95xhe0
男「………そっか」

男「じゃあこれは落とし物だ。別にたいした落とし物じゃないから、他人が食べようが捨てようが僕は構わない」

少女「………」

男「………じゃ、おやすみ」

ガチャ...バタン...

少女「………」

少女「………おやすみなさい」





 
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:09:53.54 ID:ZHB95xhe0
男「ただいまー」

女「おかえりあんまん!」

男「はいはいどうぞ」

女「イエーイあんまんげっちゅ!」

男「……玄関前にあの女の子がいました」

女「…………あー」

男「……警察に連絡すべきでしょうか?」

女「……警察とかより、児童相談所とかの方がいいかもねー」

男「………」



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:16:07.59 ID:ZHB95xhe0
男「女さんはここに何年くらい住んでるんですっけ」

女「んー5年くらいかなぁ。でも男が住み始めるまでは本邸にいる方が多かったから。前までは週に1~2回ってところよ」

男「それまでもこんなことが頻繁に?」

女「ん?んー……………まぁねー。結構見たかも」

男「………」

女「………なに?どったの?」



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:19:39.41 ID:ZHB95xhe0
男「いえ………女さんはどうして僕をバイトやこの部屋に誘ってくれたのかと思って」

女「なーに?ご不満?」

男「まさか。貧乏学生ですから、高額なバイトも格安な家賃もありがたいです。ルームシェアにも不満はありませんよ」

男「ただ、赤の他人の僕にそんなに良くしてくれるのがちょっと不思議で……」

女「そりゃあ好きだからよ!」

男「……ッ!………そう、ですか」

女「一目惚れしたんだもの。だから誘ったの!夜の営みも誘ってるの!」

男「いや、まぁありがとうございます。夜の営みは置いておきますが」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/01/05(木) 16:23:28.39 ID:kq+x0NYn0
おまえらは誘われたら断れますか? できませんね? それができる男くんはすごい!


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:23:30.59 ID:ZHB95xhe0
男「でも、5年の間……その、児童相談所に相談しようとか……考えませんでしたか?」

女「んー? んー…………………………………特には」

男「………そう、ですか」

男「そうですよね。赤の他人……ですしね」

男(……パンをあげたのは失敗だった)

男(次に顔をあわせるときはどうするんだ?また何かをやるのか?それとも無視するのか?)

男(先のことを考えずに行動するから、先のことで悩むことになるんだ)





 
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:29:09.27 ID:ZHB95xhe0
ーー翌日

女「さあ今日もはりきって労働に励もう!」

男「今日も元気ですね」

女「大学は夕方?」

男「4時頃からです。それが終わったら帰宅します。今日は本邸に?」

女「うん。一人で男を思って慰めるよ……」

男「そんな性事情はいりません」



 
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:33:21.07 ID:ZHB95xhe0
ーー自宅/夜

男(そろそろゼミ発表用の資料まとめないと)

男(あー……今日もあの娘がいたらどうしよう)

男(………)

男(……………いた)

少女「………」

男(昨日の失敗は繰り返さない………ここはスルーだ)

ガチャ

少女「あの………」

男「………?」(声をかけられたのは初めてだな……)





 
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:39:16.13 ID:ZHB95xhe0
少女「あの、パン……ありがとうございました」

男「ん、あぁ………いや、気にしなくていいよ」

少女「………」

男「…………」

男「…………それじゃ」

ギィィ

少女「あ、あの!」

男「……………なに?」



 
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:44:39.17 ID:ZHB95xhe0
少女「あの、ごめんなさい………これ………」

男(……これは?)

『突然申し訳ございません.
 一週間ほど部屋を空けますので、
 その間、娘をよろしくおねがいします。』

男「………………………………………は?」

少女「………」

男「えっと、どういうこと?」

少女「………ごめんなさい」






 
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:49:50.91 ID:ZHB95xhe0
男「この手紙は………君のお母さんが?」

少女「………はい。ごめんなさい」

男「えっと………何かの間違いじゃなくて?僕宛に?」

少女「………はい」

男「君のおうちの部屋の鍵は開いてないの?」

少女「開いてます、けど……食べ物も、お金もなくて…………」

男(この娘の母親は何考えてるんだ?)



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:54:31.30 ID:ZHB95xhe0
男「えぇっと………確認したいんだけど、君のお母さんは、君を僕に1週間預けようとしてるってことかな」

少女「はい………ごめんなさい」

男「いや、でも………どうして僕に?」

少女「昨日のパン……ママにばれて………お隣のお兄さんのことを話したら………その、この手紙を渡しなさいって、家を出ていって………」

男(………おいおいおいふざけるな。冗談じゃないぞ)

男(あんなのただの気まぐれじゃないか)

男(こんなことになるなんて思わなかった。こんなことになるなら、あんなことしなかった……)

少女「………」



 

 
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 16:59:28.09 ID:ZHB95xhe0
少女「ごめんなさい………」

男「いや、君が悪いわけじゃないってのは分かってる。分かってるんだけど………」

少女「ごめんなさい……」

男(さっきから謝ってばかりだ)

男(まるで………謝らないと生きていけないみたいに、何度も何度も……)

男「………はぁ」

男「とりあえず………部屋に入る?」

少女「………はい………………ごめんなさい………」





 
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:05:43.15 ID:ZHB95xhe0
男「えっと、お茶入れるから、そのへん適当に座って」

少女「………」

男(あまりに突然の状況でまだ混乱してるが………彼女の不安は僕の比じゃないだろう)

男(とりあえず安全だってことをアピールしないとな)

男「はいどうぞ。カモミールティーだよ。リラックス効果があるんだよ」

少女「………」

男「あ、ミルク入れる?どうぞ」

少女「ありがとうございます」

男(自分の部屋なのになんでこんなに緊張してんだ)





 

 
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:09:57.89 ID:ZHB95xhe0
男「で、もう一度状況を確認するけど君のお母さんは君を僕に預けたいんだよね?」

少女「はい………ごめんなさい」

男「それで、君はどうしたいの?」

少女「………」

男「君のお母さんの気持ちは分かったけど、君はどうしたいのかな」

少女「………………わかり、ません」

男(………まぁ、そうか。まだ子どもだし、こんな状況に置かれて混乱してるだろう)

男(とは言え、追い出すわけにもいかない。食料も金もないこの娘を追い出せば大変なことになる)



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:10:39.15 ID:U72TmnD00
いや警察呼べよ


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:12:02.58 ID:v5giHOzv0
>>109
それを言っちゃあおしまいだろ


111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/01/05(木) 17:12:15.96 ID:E/YCJb5A0
昨今だと誘拐扱いにされるんだよね
マジで対応するなら警察に通報しないと、後で酷い目にあう





 
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:19:19.86 ID:ZHB95xhe0
男「………わかった。君さえいいなら1週間ここにいていいよ」

少女「あ………」

少女「ありがとうございます………ごめんなさい」

男「ただし、君のお母さんからの確実な承認をとってからね。あとで君のお母さんの携帯電話番号を教えてもらえるかな」

少女「………はい」

男「うん。ちゃんとその会話を録音させてもらう。それが無理なら、君を警察に保護してもらうことになると思う」

男「確実な承認がないまま君を預かったら、僕があとで警察の人に叱られちゃうからね」

少女「………はい」





 
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:26:49.54 ID:ZHB95xhe0
男(はぁ………馬鹿なことしてるな)

男(こんなの警察とか児童相談所に丸投げすればいいのに)

少女「………」

男(でも、彼女に『ごめんなさい』を言わせた責任は誰にある?)

男(母親にある?……もちろんそうだろう)

男(でも、僕にも責任がある)

男(100円ぽっちのパンを与えた、与えてしまった責任だ)

男(こちらから関わったんだ。なら、その行動の結果を引き受けなきゃならない)

男(もしここで彼女を放り出すなら、僕の行動には一貫性がない)





 
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:34:27.20 ID:ZHB95xhe0
男「それと、この部屋の借主は僕じゃなくて別の人なんだ。ルームシェアしててね。しかもルームメイトの方が賃料多く払ってるし」

少女「……?」

男「あーっと、つまり。この部屋にはもう一人住人がいて、その人の伺いも立ててみないといけない」

男「つまり君をここに住まわせていいかどうかは、キミのお母さんと、そのルームメイトに確認をとった上で、初めて確定するってこと」

少女「はい……わかりました……」





 
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:41:50.32 ID:ZHB95xhe0
男「じゃあ、とりあえず自己紹介しないとね」

男「僕の名前は男。××大学に通う大学3年生で21歳」

男「ルームメイトの人の名前は女。この部屋の借主で、僕のバイト先の雇主でもある24歳の女性」

男「女さんは今日はいないから、明日紹介するよ。………で、君のことも聞いていいかな?」

少女「………少女といいます」

男「えっと、小学生だよね。そこの○○小学校かな。何年生?」

少女「…………学校には、行って……ません」

 

 
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:49:33.83 ID:ZHB95xhe0
男「………………そっか」

男「えっと、それじゃあ年はいくつかな」

少女「今年で16才………だと思います。たぶん……」

男(16才!?嘘だろ………どう見たって小学生じゃないか………)

男(虐待による発育不良、か……。正直なところ僕の手には負えないな)

少女「………」

男(………けど、とりあえずやるべきことをやろう)

男「わかった。とりあえず君のお母さんに電話したいから電話番号を教えてもらえるかな」

少女「………」ゴソゴソ

少女「これ………だと思います」




 
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 17:55:10.35 ID:ZHB95xhe0
男「もしもし、隣の部屋6B号室の男といいます。ええ、娘さんの件なんですが………」

男「ええ………はい………その件ですが、あの、本気なんですか?」

男「いえ、隣人同士とはいえ、よく知らない男の部屋にかわいい娘さんを預けるなんて………」

男「………………………………………そう、ですか。はい。あの………本気でしたら、会話を録音させてもらえませんか」

男「あとで了承してないと言われても困りますので。ええ、トラブルを避けるために」

男「それじゃあーーー」





 
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 18:01:33.85 ID:ZHB95xhe0
少女「………」

男「君のお母さんの了承は得たよ。拍子抜けするくらいアッサリと」

少女「………」

男「あー……夜も遅いし女さんの了承は明日にしよう」

男「お腹へってるだろ?ご飯つくるから、お風呂入ってきな」

少女「………」

少女「………あの……お風呂は週に1回だけって………ママが………」

男「………ッ!!」

男(………今日はもう遅い。明日になったら警察に行こう)





 
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 18:09:02.70 ID:ZHB95xhe0
男「それは君のうちのルールだ。僕のうちのルールでは風呂は毎日入らないといけない」

男「だからお風呂にはいっておいで。着替えは自宅にあるよね?」

少女「……服は、これしかもってないので」

男「………そっか。じゃあ女さんのを借りちゃおう。着替えは出しておくから」

少女「………はい」

ガチャ

男「………」

男「………感情移入しすぎるな。赤の他人じゃないか」

男「………」

男「………………馬鹿か。こちらから関わろうとした時点で、もう赤の他人じゃないんだ」





 
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 18:24:39.06 ID:ZHB95xhe0
男「今日は緊張で疲れたろ?」

男「今日はもう帰ってお休み。明日の朝と夜にまた来ればいい。食事とお風呂を用意しておくから」

少女「はい……ありがとうございます」

男「それじゃおやすみ」

少女「はい……」

ガチャ

男(始終暗い顔だったな。まぁここまで関わって無視はできない。しかるべき場所に虐待の事実を訴えないと)




 
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 18:31:02.31 ID:ZHB95xhe0
男「今日は疲れた。洗い物も終わったし寝るか」

男「っと、あの娘自分の服忘れてったな。明日でもいいけど、まぁあれからまだ10分ほどしかたってないし、今届けてやるか」

ガチャ...スタスタ...

男「………」ピンポーン

男「………」

男(いない、わけはないよな?)

男「失礼しまーす」ガチャ

少女「………」

男「………何やってるんだ玄関で」





 
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 18:37:16.16 ID:ZHB95xhe0
少女「いつも、玄関で寝ているので……」

男「………」

男「呼出し音は聞こえなかったのか」

少女「聞こえましたが……誰か来ても出てはいけないって、ママが……」

男「………はぁ。わかった、今日から1週間はうちで寝なさい」

少女「……………はい」

ーーこうして、少女との一日目が過ぎていった







 
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 19:36:28.28 ID:ZHB95xhe0
ーー翌朝

女「朝っぱらからヌルっと登場!マジカル美熟女『女』見参!」

女「って誰が熟女じゃい!」

女「男ー!あさめしー」ガラッ

女「…………どゆこと?」

男「そこで寝てるのは隣の部屋の娘です。相談もなくすみません。昨日いろいろありまして」

女「浮気!?浮気なのね!?謝罪と説明とセックスを要求する!」

男「謝罪も説明もしますが、浮気ではありませんし、セックスはしません」



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 19:38:07.96 ID:Q/9gCtkb0
こういう女だけど、いざセックスしようとすると焦って真っ赤になったりするともうね。


181 名前:忍法帖【Lv=9,xxxP】[sage]投稿日:2012/01/05(木) 19:43:56.81 ID:Dqjjf3+X0
>>180
じっさいそんなことあるのか?

 

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 19:48:14.95 ID:bIU92/Q+0
>>181
vipで死ねって言ってるやついるけど本当に殺すか?違うだろ

 


 

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 19:45:29.67 ID:ZHB95xhe0
女「なるほどね。事情は分かったけど私は反対。警察とかに任せちゃえばいいじゃん」

少女「………」

男「それも考えはしましたが、結局僕の行動が招いた結果ですから、その結果に責任を持ちたいんです」

男「この娘の親は、その、正直無責任だと思いますが、僕まで責任放棄しちゃったらこの娘は一方的な被害者で、僕は加害者の一員です」

男「それは後味が悪いし、なにより僕は整合性のない生き方をしたくないですから。だから少なくともこの1週間だけは彼女を与ろうと思うんです」

女「………はぁ。意外と不器用なのねあなた」

男「でもこの部屋の借主は女さんですから、女さんがダメだというなら僕はその決定に従いますよ」

女「そう。じゃあはっきり言うわ。ダメよ。すぐに警察に預けてきなさい。私は赤の他人を自分の部屋に住まわせる器量はもってないから」

男「………そうですか。それはそれで、仕方ありませんよね」

少女「………」





 
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:05:54.36 ID:V3CEGmvn0
男「それじゃ1週間ほど留守にしますね」

女「えっ?ちょっとどこ行くのよ」

男「いや、女さんがダメって言うなら出ていくしかないですから」

男「お金かかっちゃいますけど、1週間くらいならカプセルホテルとか漫画喫茶とかで何とかなります。ほら、行こう」

少女「あっ……」

女「ちょ、ちょっと待って!わかった!その娘泊めていいから!」

男「いいんですか?ほんとに?」

女「もう……そんな脅迫まがいのことされたら頷くしかないじゃない。でも1週間だけよ」



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:07:49.58 ID:V3CEGmvn0
男「ふふ。ほらこのちっこいお姉ちゃんがいてもいいってさ。お礼言いな」

少女「………ありがとうございます……ごめんなさい」

女「ちっこい言うな!あと、お礼を言うか謝るかどっちかにしなさいよ」

少女「………ご、ごめんなさい」

男「それじゃ朝食にしようか」

女「…………」



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:09:55.42 ID:V3CEGmvn0
男「はいどうぞ。簡単なものだけど」

女「いただきまーす!」

少女「……いただきます」

女「おっ!今日は西京味噌ね!わたしこのおミソ好きー」

男「うまいか?」

少女「……」コクコク

男「そんな急いで食べなくていいよ。おかわりするか?」

少女「………いいんですか?」

男「いいよもちろん」

少女「………じゃあ」スッ





 
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:14:27.19 ID:V3CEGmvn0
女「はっ……家主の前に居候がおかわりとはね」

少女「………あ」

少女「………ごめ、ごめんなさい」

男「ちょっと女さん!なんでそんなこと言うんですか!」

女「だって男ったらその娘ばっかり構ってずるいじゃん!」

男「だからって言い方があるでしょう!少女、気にすることないからな」

少女「………」





 
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:27:54.33 ID:9dC7A8hb0
男「さて、それじゃとりあえず警察に行って事情だけでも話しに行こうか」

少女「あの………」

男「なに?」

少女「警察は……困ります……」

男「うーん。ふつう16才なら自分でものを考えられる年齢だと思うから、その意思を尊重したいところではあるけど……君の場合は………」

少女「………」

男「それにやっぱりキミが虐待されていることは事実だから、そのことを伝えないといけないよ」

少女「………警察は、困ります」




 
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:29:47.76 ID:GfD9xf+NO
女さんは男の前ではわざとふざけてるだけで
実際は大人な性格なのかと思ったら
わりとマジで子供っぽい性格だったでござる



 
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:33:05.46 ID:9dC7A8hb0
男「………はぁ、分かった。とりあえずこの件は1週間後に君のお母さんと話してからにしよう」

男「それじゃ僕は大学に行ってきます。少女、夕方には戻るから」

少女「………はい」

男「女さんは昼から出勤ですよね。それまで少女のことよろしくお願いします」

女「へいへーい」

ガチャ...バタン...

女「………」

少女「………」

女「言っておくけど。男を取ろうとしたら、あなたを殺すから」

少女「………ッ!」ビクッ

女「………」スタスタ





 

 
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:43:04.76 ID:9dC7A8hb0
ーー夕方/自宅

男「ただいまー」

少女「………おかえりなさい」

男「女さんはまだ戻ってないか」

少女「はい」

男「じゃあ、晩飯にするか。何か食いたいものはあるか?」

少女「………よく、わかりません」

男「じゃあ、冷蔵庫の中身次第かな。んー、温野菜とパスタにするか」





 
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:51:19.50 ID:9dC7A8hb0
男「どうぞ。温野菜は味噌チーズソースにつけながら食べてくれ。辛いのが好きなら、ペペロンチーノにはそっちの一味唐辛子をかけるといい」

少女「………いただきます」

少女「………」モクモク

男「………どうだ?口にあうか?」

少女「………すごく、複雑な味です」

男「あー、もし苦手なようなら無理に食べなくていいからな。何か他に食えるもの作ってやる」

少女「いえ、こんなに美味しいものを食べたの……はじめて」ニコ

男(ッ!はじめて笑った!)

男「そ、そっか。今回のは自身作だったんだ。喜んでもらえてよかった」







224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 20:58:54.34 ID:9dC7A8hb0
少女「………」

少女「あの」カチャ

男「ん?なに?」モグモグ

少女「見ず知らずの私によくしてくれて、本当にありがとうございます」

男「………」カチャ

少女「何かお返しすべきですが、私には何も返せるものがありません」

少女「何か私にできることはないですか。私にできることなら、何でも言って下さい」





 
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:06:14.30 ID:9dC7A8hb0
男「………ばか」

少女「え?」

男「あのな、子どもが難しいこと考えるな」

男「子どもってのは誰かに庇護されるべき存在だ。それが当たり前であって、今日1日を生き抜くために何かをしなくちゃいけない、なんて考えるのは十年早い」

少女「………」

男「って言っても、僕もまだ21だけどね。世間一般じゃ大学生なんてまだガキに分類されるだろうけど」

男「でも僕には両親がいないから自分で学費も生活費も稼いでるし、まぁ少女よりは大人だし、たまたま君を守るお鉢が僕に回ってきただけのことだよ」





 
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:10:10.04 ID:9dC7A8hb0
少女「……でも、それじゃ」

男「……………」

男「………あー、ごめん。正直いまの嘘。建前」

男「本音を言うと、君に関わったことを少し後悔してる」

少女「………」

男「僕が君に差し出したあのパンは、ただの気まぐれだった。君が捨てられた子犬みたいだったから、気まぐれで情けをかけちゃった感じ」

男「そしたら何か勘違いした親犬がその子犬を僕に預けてきたもんだから、成り行き上しかたなく一時的に預かってる状態だよ」

少女「………」





248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:17:17.89 ID:9dC7A8hb0
男「正直なところ、君自身や、君の家族に興味はないし、今回のことも迷惑だと思ってる」

少女「…………はい」

男「僕が君によくしてるのはね。自分の信念に従ってのことだよ」

少女「?」

男「こんなこと他人に言ってもどうしようもないことだけど。僕にとって一番大切なことは、一貫していることなんだ」

男「過去の自分と未来の自分とに整合性があること。行動指針に矛盾がないこと。それが僕にとっては大切なことなんだ」

少女「………」

男「僕も人間だから失敗する。今回、君にパンをあげたのは失敗だった。でも一貫性は必要だ」

男「だから1週間だけ君を預かるという責任を自分に課すことで、一貫性を保とうとしてるんだ」




256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:23:45.06 ID:9dC7A8hb0
男「だから僕が君に優しくするのは君のためじゃなくて、僕自身のためだ。」

男「1週間後、一応君のお母さんと話をして、場合によってはしかるべき処置をとる」

男「でもその後のことまで責任はとれない。だから、君が警察に行くなというなら行かないよ。」

少女「………」

男「僕が警察や児童相談所に届け出た結果、君のお母さんと君の関係がさらに悪化しても、僕には何もしてあげられないからね」

少女「………はい」

男「まぁ要するに、僕はかなり身勝手で無責任な男だから、感謝する必要はないし、信頼されても困る」

少女「………はい、分かりました。お兄さんは、変わり者なんですね」

男「ん? んー……いや、そういうこと、でいいのか?」

少女(………)





 
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:29:34.32 ID:9dC7A8hb0
女「ただいマンモウ!」

女「おらー!風呂!酒!飯!寝る!男と一緒に!」

男「女さんお酒飲めないでしょ。晩飯はすぐできますよ」

女「よぅ!少女ちゃーん!元気してる!辛気臭い顔してたらダメよ!嫌なことがあるならオナニーでもすれば」

男「晩御飯抜きでいいですね」

女「嘘うっそー!冗談だってば。おっ!いいにほひがするー」

男「テーブルについてて下さい」

女「うん!」



262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:30:52.75 ID:bRsNQz2V0
>嫌なことがあるならオナニーでもすれば
気に入った


276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/01/05(木) 21:41:50.70 ID:XMRdBqb/0
>>261
> 女「ただいマンモウ!」

マン毛……だと……





 
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:35:23.53 ID:9dC7A8hb0
少女「………」

女「やうやう少女ちゃーん!今日1日きちんと留守番してた?」

少女「………はい」

女「…………………………………あんた男とイチャついたりしてないでしょうね」ボソ

少女「……!」ビク!

少女「………い、いえ。男さんは私には何の興味もないって言ってました」

女「え?マジ?そーなんだ!にょほほほ。まぁ気にする事ないわよ!その分お姉さんが優しくしてあげる!」

男「どうしたんですか女さん。機嫌よさそうですね」ゴト

女「そんなことないよー♪ あっおいしそー」





 
274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/05(木) 21:41:30.24 ID:9dC7A8hb0
少女「………」ウトウト

男「そろそろ寝るか。少女は俺のベッド使っていいぞ」

女「え!男ってばついに私と同衾を!?」

男「いえ、僕はソファで寝ます」

少女「あ、あの………わたし、悪いですから……」

男「はいはいもう決定。面倒なこと言わないように。みんなおやすみー」

女「ちぇー。また男の盗撮映像でオナニーかぁ……」

少女「………おやすみなさい」

ーーこうして、なにごともなく二日目の夜も過ぎていった





325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/01/05(木) 23:36:23.46 ID:cJ+Iu3yY0
男も女も少女の親も揃ってクズだろ



 
327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]投稿日:2012/01/05(木) 23:43:20.35 ID:wf8jolWW0
>>325
そういうコンセプトなんだ
クソみたいな人間達のなかに儚い少女が佇んでる、そんなお話なんだ。




 
397 名前:ゆっくり再開[]投稿日:2012/01/06(金) 01:52:03.26 ID:RIKR+RNG0
ーー翌朝

女「おっはビンビン!今日明日は大学休みだよね男ー!」

男「おはようございます。今日も元気ですね」

女「じゃあ今日もバリバリっと働こうぜ!」

男「それなんですが、少女の件もありますし、今日と明日はバイトは休ませてくれませんか」

女「えー………」

少女「おはようございます男さん、女さん」

男「おはよう少女」

女「………」






412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:02:29.60 ID:RIKR+RNG0
女「じゃあいってきまーす…………オイタしちゃだめよぅ」

男「しませんから安心してください」

女「………」ジロ

少女「……お気をつけて」

ガチャ…バタン…

男「さて」

少女「………」

男「俺は午前中勉強してるから、自由にくつろいでてくれ」

少女「……はい」





 
415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:11:29.23 ID:RIKR+RNG0
男「…………」カタカタカタ

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講師『利他主義にはまた『不十分な知識や予期せぬ事態』にかかわる問題があります』

講師『例えば、医療知識のない者が勝手に病人を診療すればどうでしょうか。その動機は善きものであっても、結果はよくないことになるでしょう』

講師『あるいは、知識の有無にかかわらず我々は未来を予測できません。軽い気持ちで行った善行が、最悪の結果を招く可能性は常にあります』

男「…………」カタカタカタ





 
420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:18:32.16 ID:RIKR+RNG0
男(最悪の結果……とまでいかないけど)

男(たった一つのパンの結果がこれだ)

男(身につまされる思いだな)

男(………)

男(そういえばあの娘)チラ

少女「………」

男(他に服をもってないって言ってたっけ。寝間着くらいは買ってやるか)

男「少女」

少女「……はい」

男「買い物に行くからついておいで」




 
425 名前:>>423 間違い。適当に脳内補正を[]投稿日:2012/01/06(金) 02:25:00.21 ID:RIKR+RNG0
ーー昼/街

男「少女、パジャマを買ってあげるからここで選びな」

少女「……いいんですか?」

男「いいよ。パジャマくらいなら大した出費じゃないし。好きなの選んでいいよ」

少女「………」

男「……少女?どうしたの。どれでもいいんだよ」

少女「……よく、わかりません」

男「………」

男「これとかいいんじゃないかな。……うん、似合う似合う!」

少女「………」





 
428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:32:46.85 ID:RIKR+RNG0
男「さて、昼食はどうしようか。何かリクエストはある?」

少女「……よくわかりません」

男「そうだなぁ、じゃあラーメンにしよう」

少女「……はい」

男(……自己主張のない娘だとは思っていたけど、そうじゃない)

男(きっと経験が不足しすぎてて、自分の中に選択肢がないだけなんだ)

少女「………」





 
432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:39:53.85 ID:RIKR+RNG0
ーー夕方/自宅

男「ふぅ。ただいまっと」

少女「……お邪魔します」

男「ふふ。疲れた顔してるね。普段から運動不足なんだろ?」

少女「………」

男「時間が余ったから久々にゲーセンなんて行ってみたけど。目を白黒させてたな」

少女「………///」カァ

男「はは。夕飯の準備するからくつろいでな」

少女「……はい」




 
434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:45:49.31 ID:RIKR+RNG0
少女「……」

少女「……………あの」

男「……ん?なに」トントントン

少女「パジャマ………ありがとうございました」

男「ああ、安物だから気にしなくていいよ」

少女「これ、大切にします………」

少女「ずっと……ずっと大切にします」ギュッ

男「……………そっか。気に入ってくれてよかったよ」ニコ







 
443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:51:09.91 ID:RIKR+RNG0
ーー夜/自宅

女「ただいまー!ねーねーお風呂にする?それともお風呂で食事?それともお風呂プレイ?」

男「おかえりなさい。お風呂一択なんですね。夕飯の準備しますから入ってきて下さい」

少女「………おかえりなさい」

女「へいさー!……って、あの娘昨日まであんなパジャマ着てたっけ?」

男「いや、今日買ってあげたんだよ。他に着るものもってないみたいだから」

女「………………………………………………」

女「………………へー。そうなんだ」




 
455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 02:58:45.21 ID:RIKR+RNG0
女「っぷはぁ!いやー風呂上がりのビールがうまい!」

男「お茶でしょそれ。女さんお酒ダメじゃないですか」

女「なにこの天ぷら!うますぎ!エビがぷりぷりしすぎ!もう死ぬ!」

男「大袈裟ですから」

女「男、私の婿に入れ!ついでに私の腟にも」

男「もう片付けていいんですね」

女「うっそーん。冗談!冗談だからわたしの天ぷら返して!」

少女「………フフ」ニコ

男(………また笑った。なんだ、笑えるんじゃんこの娘)




 
459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:02:20.71 ID:RIKR+RNG0
女「さってぇ、そんじゃ片付けますか」

男「珍しいですね。いつも僕に片付けさせるズボラな女さんはどこに行ったんですか」

女「ふっ。わたしも日々成長してるのだよ男クン」

女「それじゃ……ッと!わっ!」ズルッ

バシャッ!!…ガシャン!!!

男「………あっ、大丈夫か少女!」

少女「……………あ」

男「火傷は!?いや……ぬるくなってたおかげで大丈夫か。怪我はないか?」

少女「……はい。でも天ぷらのおツユでパジャマが」

女「あちゃー。ごめんね少女ちゃん。せっかくの男からのプレゼントが……」




 
470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:08:40.75 ID:RIKR+RNG0
男「こりゃ洗濯するしかないな。女さん代わりに着るもの貸してやってくれますか」

女「もちろん!私のせいなんだから当然だよ!」

女「ほんとごめんねー少女ちゃん」

少女「………いえ」フルフル

男「とりあえずお風呂で染み抜きしますから、向こうの部屋で着替えさせてきてください」

女「うん!ほら行こ少女ちゃん」

少女「………はい」




 
476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:13:23.82 ID:RIKR+RNG0
女「ほんと……ごめんねー」

少女「………いえ、大丈夫です」

女「………………」

少女「………………」

女「こんなこと、もう起きないといいね?」

少女「………ッ」ビク!

女「ね?」ニコ

少女「………はい」


ーーこうして、3日目の夜もすぎていった




 
488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:20:14.48 ID:RIKR+RNG0
ーー翌朝/自宅

女「おはー」

男「おはようございます。朝食できてますよ」

女「いやー昨日は3回も自分で慰めちゃったよ!」

男「今日もいつもどおり元気なようで結構です」

少女「………おはようございます」

男「おはよう少女」

女「おは幼女!」




 
494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:29:30.18 ID:RIKR+RNG0
女「あー男。今日は私もバイト休みにするから」

男「えっ、でも急ぎの仕事とかあるんじゃないですか?休ませてもらってる僕が言えることじゃないですけど」

女「あーいいのいいの。しょせん道楽だから」

男「お金持ちのお嬢さまは言うことが違いますね」

女「そうよー。だから狙い目よ私!あと食べ頃だよ!」

男「食べ頃かどうかは置いておいて、女さんと結婚する男性は逆玉ですよね」

女「まぁねー。ぶっちゃけ金とか腐るほどあるし、家賃や生活費だって全部私もちでもいいって言ってるのに男ってば真面目なんだから」

男「ありがたい申し出ですけど、ヒモになったら堕落しそうなので」




 
497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:36:20.95 ID:RIKR+RNG0
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男「………」カタカタカタ

男「……………」カタカタカタカタ

男(利他主義の問題………)

男(要するに「他人に優しくする」ことは手放しでは賞賛できないってことだ)

男(いろいろな問題が指摘できるけれど。少なくとも3つの大きな問題がある)




 
502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:43:50.99 ID:RIKR+RNG0
男(第一に、純粋な利他主義は自滅的なものだということ)

男(真に善人たらんとすれば、善行には際限がなくなる)

男(1切れのパンを与えるなら、その後も食事を与え続けるべきだ)

男(食事を与え続けるなら、衣と住も与えてやるべきだ)

男(1度限りの善行なんてのは、いっとき気持よくなりたいだけの行為でしかない)

男(だから真に善人たらんとするなら、際限なく、自分の身をやつしてでも善行を続けなくちゃいけない)

男(その覚悟がない善行は、例外なく、すべて偽善だ)

男(でも、そんな善行は自滅的じゃないか。誰がそんな仕方で他人に関われるって言うんだ)




 
504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:48:47.20 ID:RIKR+RNG0
男(第二に、利他主義は自分本位なものに陥る可能性を孕むということ)

男(彼女に与えたパンがきっかけで、1週間彼女の世話を引き受けることになった)

男(僕の場合、利他的な行為というよりも、自分自身の信念に従っての行為だけど)

男(でもこの現状が、本当に彼女のためになるのか分からない)

男(ひょっとすると彼女はこの状況を疎んじているかもしれないし)

男(逆に現状に満足してくれていても、1週間後の彼女の生活の面倒まで見れない以上、かりそめの安楽は彼女にとって害ではないのか)

男(よかれと思ってやったことが、相手を害する可能性は常にあるじゃないか)

男(他人の心なんて、本当のところはよく分からないんだから)




 
510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 03:56:33.14 ID:RIKR+RNG0
男(第三に、利他的行為を悪行にしてしまう第三要因が我々の周りには存在すること)

男(道端で女性を襲っている暴漢の凶行を止めるために後ろから殴ったら、実はその二人が恋人同士で、男の方は当たり所が悪く死んでしまった、という事件が過去にあったらしい)

男(暴漢を止めた人は、もみあっている二人が軽い痴話喧嘩中の恋人同士であるという事実を知らなかったし、また、殴られた男が死んだのは不運でしかなかった)

男(守ってもらったはずの女性にとって、自分の彼を殺した人はまぎれもない悪人となった)

男(……いま少女を保護しているが、僕の与り知らない第三要因によって、この現状が彼女を逆に苦しめてしまう可能性は常にあるんだ)




 
515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]投稿日:2012/01/06(金) 04:04:14.16 ID:RIKR+RNG0
男「………ふぅ。再来週の机上レポートの対策はこんなところかな。利他主義の問題点3つとその具体的事例、まぁ何とかなるだろ」

男「女さん。お昼はなにがいいですか?」

女「男が作ったものならなんでもいいよー」

男「そういうのは困るんですが……和風・中華・洋風だとどれですか?」

女「んー。じゃあ中華!」

男「わかりました。んー、ホイコーローでも作るかな」

少女「………」

少女「………あの」




 
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[ 2012/01/19 23:48 ] 養子SS | TB(0) | CM(0)
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